海底開発での環境影響評価のための海中フラッシュライダー3Dマッピング技術の開発
Project/Area Number |
23K25010
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Project/Area Number (Other) |
22H03756 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63040:Environmental impact assessment-related
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
染川 智弘 公益財団法人レーザー技術総合研究所, レーザー計測研究チーム, 主任研究員 (00508442)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥13,390,000 (Direct Cost: ¥10,300,000、Indirect Cost: ¥3,090,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | ライダー / ラマン散乱 / 水中モニタリング / ラマン分光 / 海中モニタリング / フラッシュライダー |
Outline of Research at the Start |
日本の領海や広大な排他的経済水域では、海底鉱物・メタンハイドレートなどの埋蔵資源掘削や、CO2を海底地層に圧入するCCSなどの有益な海底利用が計画されている。また、石油・天然ガスを輸送する海底パイプラインは、エネルギー資源の安定供給を可能にしている。海底開発では資源探査だけでなく、漏えい事故による海洋生態系・環境への影響評価が必要とされているが、現状のサンプル採取測定では頻度とエリアに限度があり、海中での効率的なモニタリング手法の開発が不可欠である。そこで、ラマン散乱信号の2次元断層像を深さ方向に連続的に取得し、対象物質の濃度を3次元マッピングする水中フラッシュラマンライダー技術を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本の領海・排他的経済水域は国土面積に比べて12倍程度と広く、海底鉱物資源・メタンハイドレート掘削、CO2を海底地層に圧入して大規模削減を目指すCCS、石油などのエネルギー資源を輸送する海底パイプラインなどの有効な海底利用が実施・計画されている。海底開発では資源探査手法だけでなく海洋生態系・環境への影響評価が必要とされているが、現状の採取・採水測定では頻度とエリアに限度があり、海中での効率的なモニタリング手法の開発が必要である。そこで、安全で有意義な海底開発に貢献するために、レーザーを用いたリモートセンシング技術であるライダーを利用した効率的な海中モニタリング技術を開発する。水中のガスや油などのラマン散乱信号の2次元断層像を深さ方向に連続的に取得し、対象物質の濃度を3次元マッピングする水中フラッシュラマンライダー技術を開発し、効率的な海中モニタリングを目指している。 R4年度は水の透過率が高い波長532 nmのレーザーを焦点距離200 mmのレンズで拡散照射し、水・油のラマン信号画像の取得が可能なフラッシュラマンライダー装置を開発し、水中伝搬距離5 mに設置した水中油の可視化に成功した。このフラッシュラマンライダーはカメラの前の干渉フィルターを取り換えながらラマン画像を得るチューナブルバンドパスフィルター方式であったため、油、水の観察画像は同時刻ではないという欠点があった。そこで、R5年度はグレーティングを用いたイメージング分光器を利用したハイパースペクトル光学系を検討した。また、新しい応用として海洋プラスチックごみへの適用可能性の検討として、プラスチックのラマン分光測定とライダー計測を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
R4年度は効率的な水中リモートセンシングが可能なフラッシュ方式のライダー技術を開発し、水中伝搬距5 m先に設置した油の可視化に成功した。この手法は、カメラの前の干渉フィルターを取り換えながらラマン画像を得るチューナブルバンドパスフィルター方式であったため、油、水の観察画像は同時刻ではないという欠点があった。そこで、R5年度はイメージング分光器を利用したハイパースペクトル光学系を検討した。 レーザーはシリンドリカル凹レンズを利用して、直線形状で拡散照射する。得られる直線形状のラマン散乱光は、イメージング分光器で直線形状と垂直な方向に分光され、カメラに結像する。カメラの水平軸に1次元の位置情報が、垂直軸に波長情報が記録され、直線状のレーザー光を直線と垂直方向に走査することで、2次元の分光情報の取得が可能になる構成とした。 プラスチック製品ごみが海洋に流出した「海洋プラスチックごみ」による海洋汚染は地球規模で深刻化している。この被害や発生経路を正確に評価するために、効率的・効果的なモニタリング手法が求められており、本ラマンライダー技術が適用可能かを検討した。 海洋プラスチックごみになりうるプラスチック製品としてビニール袋、緩衝材の発泡ポリエチレン・スチロール、PETボトルのラマン分光測定を実施した。プラスチックからは1000~3200 cm-1の領域で特徴的なラマンスペクトルが得られている。PETボトルからは蛍光が見られるが、特徴的なラマンスペクトルの識別が可能である。また、ポリエチレン板を6 m先に設置して遠隔計測も実施した。ラマン散乱光は直径127 mmの望遠鏡で集め、エッジ・ノッチフィルターでレイリー光を除去した後、ICCDカメラでスペクトルを計測した。ポリエチレンの特徴的なラマンスペクトルの測定に成功し、ラマン散乱で遠隔の海洋プラスチックごみの識別が可能であることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標であったフラッシュラマンライダーによる水中油の可視化に成功し、さらに複数の測定対象の同時評価が可能なグレーティング方式によるハイパースペクトルイメージングラマンライダーの開発を進めている。この測定対象としては、現在新しく応用を検討しているプラスチックを検討しているが、引き続き水中の油やCO2ガスの検出も実施する。また、現有の30 cm角、長さ6 mの長水槽では水深や距離などが制限されることから、大型の実験水槽や実際の海上での実証試験を計画している。そのため、現状のシステムを可搬型のシステムに改良する必要がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)