Project/Area Number |
23K25016
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Project/Area Number (Other) |
22H03762 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中田 晴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60311875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | マイクロプラスチック / 有機系添加剤 / 無機元素 / 発生源解析 / データベース / 起源解析 / プラスチック添加剤 / 市販プラスチック製品 / トレーサー / システム開発 |
Outline of Research at the Start |
用途別に分類した約300種類の市販プラスチック製品を入手し、FT-IRとPy-GC/MS・pXRF等で分析する。各製品のポリマーと有機・無機系プラ スチック添加剤の種類を把握し、後者を専用のソフトウエアでデータベース化して新たな検索ライブラリを開発する。次に、環境試料中のMPを 同様に分析し、得られた結果をライブラリと照合してその類似度を比較解析する。MPのポリマーと添加剤の種類がほぼ一致するプラスチック製 品がヒットした場合、当該製品はMPの発生源、すなわち元の姿である可能性が高い。本研究は、由来が不明なMPの起源を各製品に特異的な添加剤を目印に明らかにする新規かつ野心的な試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年, マイクロプラスチック(MP)による環境汚染とその負荷削減に注目が集まっている。MPの環境負荷を削減するには, その発生源(劣化前のプラスチック製品)を知ることが重要で、それによりピンポイントかつ効果的な対策を取ることが可能になる。そこで本研究は, プラ製品に添加された有機系化学物質を同定するとともに、環境試料中のMPを分析してプラ製品のそれと比較し、 MPの発生源を高精度に解析するシステム開発を試みた。 153検体の市販プラ製品を分析した結果、材質はポリエチレンが最も多く、次いでPMMA、PVCの順であった。GC-MSで同定された有機系添加剤は169種で, 可塑剤のBis(2-ethylhexyl) phthalateや酸化防止剤のButylated hydroxytolueneの検出頻度が高かった。次に道路塵埃中のMPを分析したところ, PMMAやPVC製のものが多く多様な添加剤が検出された。そこで, PMMA製プラ製品およびMPの有機系添加剤組成を基に主成分分析を行ったところ, 反射板や路面塗装など使用用途に応じて5つにグループ化され, MPはそのいずれかに含まれることが分かった。これは, 道路塵埃中 MPの元の製品が反射板や路面塗装, 点字ブロックであり, 製品中の有機系添加剤の情報が由来不明のMPの起源解析に有用であることを示している。 さらに、熊本市内の小河川とその周辺の道路塵埃・路面排水・底質を分析したところ, 各試料から赤色のPMMA製MPが複数検出された。これらの試料には複数のフタル酸エステル系可塑剤が含まれており, これらの組成は路面塗料に特異的であった。以上の結果は, MPの発生源が路面塗料であり, 比較的比重の大きいPMMA製MPが雨天時の路面排水によって公共水域へ流出し, 河川底質に蓄積していることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究1年目は、出来るだけ多くの市販プラスチック製品のポリマー組成とそれに含有する有機系添加剤の定性を目標としていた。その結果、150種類を超えるプラ製品について上記の情報を得ることができた。さらに、道路塵埃や雨水および河川底質等の環境試料に含有するMPを分析し、プラ製品と同様の情報が得られたことで、主成分分析をを行うことが可能になった。統計解析の結果、道路関連試料についてはMPの発生源をピンポイントで把握することができた。本研究の方向性に間違いはなく、目標が実現する見込みが立った点は評価に値すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、分析対象のプラ製品の数をさらに増やし、データベース化を試みる。また、有機系に加え無機系添加剤を分析して元素の種類と濃度の情報を収集し、データベースの充実を図る。さらに、濃度値の定量が可能な有機系添加剤の新規分析法を確立し、それらがMPから溶出することによるリスク評価を行う予定である。
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