Project/Area Number |
23K25030
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Project/Area Number (Other) |
22H03776 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諸橋 直弥 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70344819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 徹太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (70241536)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | カリックスアレーン / ホスト分子 / 有機分子分離 / レアメタル分離 / 有機結晶 / 二置換ベンゼン |
Outline of Research at the Start |
近年,低エネルギーコスト,低環境負荷な物質分離法の一つとして,多孔性固体材料の利用が注目されている。目的物質を難分離性混合物中から高効率かつ高選択的に捕捉し,さらに,その選択性を制御できるような材料や方法論が開発できれば,分離プロセスの高効率化につながる。本研究では,環状ホスト分子などが形成する結晶の性質と新しい手法の融合により,相互分離が難しい様々な有機分子やレアメタルをそのサイズや性質を識別して高効率・高選択的に分離する方法と,その選択性を簡便に制御する方法を確立することで,適用性が広く精密な物質分離法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
カリックスアレーン(CA)類などの結晶を用いた難分離性有機分子およびレアメタルの精密分離法の開発に関して計画した課題に対し,本年度は下記の成果を得た。 1.カリックス[4]アレーンの結晶を用いた置換芳香族化合物異性体の溶液中からの包接における包接比の時間依存性の評価や各種平衡解析などから,ゲストの構造が定量性や選択性に与える影響を評価できることを明らかにした。また,種々のホスト-ゲスト包接結晶のX線結晶構造解析や熱分析から,ゲストの構造と生成する包接結晶の形態ならびに性質との関連性に関する知見を得た。カリックス[4]アレーン誘導体の結晶による置換シクロヘキサン類の選択的包接法の確立と選択性発現機構の解明から,ホスト分子の簡便な化学修飾によって選択性が制御できることを明らかにした。CA類縁体などのホスト分子結晶の有機分子包接能に関する知見も得た。 2. 配位性官能基を有するカリックス[4]アレーン類の結晶によるレアメタル捕捉法の開発において,塩結晶の利用の有効性,ホスト分子ならびに対象金属の適用性に関する重要な知見を得た。例えば,ジアミノカリックス[4]アレーンの塩酸塩の結晶が,酸性溶液中から,Pt(IV)を効率的に捕捉できることを見出した。また,金属イオン捕捉効率に与える酸の種類・濃度の影響の調査,抽出率の時間・温度依存性の調査から,抽出機構に関する知見を得た。さらに,他の白金族元素存在下においてもPt(IV)が捕捉可能であることを明らかにした。また,金属イオン捕捉後の結晶の各種解析から抽出化学種を推定した。一方,ジホスホン酸誘導体のアンモニウム塩結晶の水中からのイオン捕捉能を適用できる金属イオンの種類を拡張することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホスト分子の結晶を用いたゲスト包接においては,生成する包接結晶の形態や選択性を制御することは容易ではない。カリックス[4]アレーンの結晶を用いたゲストの包接における各種解析や生成する包接結晶の構造解析などから,ゲストの構造や外的因子が包接結晶の形態や性質に与える影響を明らかにし,上述の課題を解決するための重要な知見を得た。また,ホスト分子結晶のゲスト認識能を制御するためには,通常,複雑な化学修飾が必要であるが,簡便な化学修飾による選択性制御にも成功した。さらに,従来困難とされてきたホスト分子の結晶による水中からの金属イオン捕捉において,塩結晶の利用の有効性を明確化した。また,特定の金属イオンを効率良く捕捉できることも明らかにし,その抽出機構に関する知見も得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の課題を継続して行いながら,現在まで得られた成果をもとに,下記の課題に取り組む。 カリックス[4]アレーンの結晶による置換芳香族化合物異性体などの包接において,各ゲスト包接結晶の生成速度調査,X線結晶構造解析,熱分析等や包接に関わる各種平衡解析を網羅的に行い比較することで,ゲストの構造がホスト-ゲスト間の相互作用や包接結晶の性質に与える影響,外部因子が選択性に与える影響を詳細に調査し,明確化する。さらに,包接結晶から効率的にゲストが回収でき,ホスト結晶も再生できる方法を探索する。また,包接結晶の構造から認識可能なゲストを予測し,適用性の拡大も図る。これらの知見と実験条件を組み合わせることで,高効率・高選択的にゲストが分離でき,選択性も制御可能な分離プロセスを確立する。また,方法論の適用性の拡張を指向し,カリックスアレーン類縁体などを含むホスト分子の結晶を用いた難分離性有機分子の選択的捕捉法の開発と包接機構の解明にも取り組む。配位性官能基を有するカリックス[4]アレーン類の塩の結晶を用い,イオン交換を駆動力としたレアメタル分離法の開発,機構解明,選択性制御法の確立を継続して行う。例えば,ジアミノカリックス[4]アレーンの塩酸塩の結晶を用い,Pt(IV)を酸性溶液中から効率的・選択的に捕捉・分離する手法を確立する。捕捉効率,選択性に与える外部因子の影響の調査により抽出条件を最適化し,金属イオン捕捉後の結晶の構造解析などにより,詳細な抽出機構の解明も行う。また,金属捕捉結晶からの金属イオンの逆抽出法の確立や,他の白金族イオンに対する抽出能の評価も行う。一方,ジホスホン酸誘導体のアンモニウム塩の結晶が抽出可能なレアメタルの探索ならびに選択性評価を引き続き行う。
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