CO2分離回収材料への応用を目指した低分子ゲル化剤によるイオン液体ゲル膜の構築
Project/Area Number |
23K25035
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Project/Area Number (Other) |
22H03781 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡本 浩明 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (10274185)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | イオン液体ゲル / ガス分離材料 / 低分子ゲル化剤 / 二酸化炭素吸収 / 液晶材料 / 有機ゲル化剤 / CO2分離 / ゲル膜 / イオン液体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術におけるCO2分離・回収材料の開発を最終目的として、圧力変化により選択的にCO2を吸収・排出することが知られているイオン液体のゲル化が可能な低分子ゲル化剤を開発する。本研究で開発する低分子ゲル化剤は、①1%程度の濃度でイオン液体のゲル化が可能、②CO2吸収によるpH変化にも安定なイオン液体ゲルを形成する。さらに、低コスト・高効率を実現可能な膜分離材料として応用するために、加圧・減圧操作に際してイオン液体が漏液しないイオン液体ゲル膜を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術におけるCO2分離・回収材料の開発を最終目的として、圧力変化により選択的にCO2を吸収・排出することが知られているイオン液体のゲル化が可能な低分子ゲル化剤を開発する。本研究では、従来の含浸型液体膜の固体化の方法とは異なるコンセプトに基づいた、CO2選択透過性の優れたガス分離材料を開発する。 そのために、これまでに開発してきた低分子ゲル化剤を基盤として、市販のイオン液体をゲル化できる低分子ゲル化剤を検討した。さらに、構築したイオン液体ゲルのゾル-ゲル転移温度を低分子ゲル化剤の濃度に対してプロットした。これらの結果をアレニウスの式から熱力学的パラメーターを求め、熱力学的特性について考察を加えた。 その上で、構築したイオン液体ゲルの二酸化炭素の圧力変化に伴う二酸化炭素吸収量について、磁気浮遊天秤を用いて定量的に測定した。さらに、同様の方法を用いて、窒素の吸収量を測定し、イオン液体ゲルに関する基礎物性(熱物性、ガス吸着特性)の解析手法を確立することができた。 その上で、次年度以降のイオン液体ゲルの性能評価を実現するために、低分子ゲル化剤の大量合成の方法を確立した上で、10g程度の低分子ゲル化剤を合成した。 一方、低分子ゲル化剤の分子構造の微細な違いにより、構築したイオン液体ゲルの力学特性(レオロジー特性)が異なることが示唆され、CO2分離材料として非常に重要な知見が得られたとともに、学術的にも非常に興味深い結果が得られている。 以上の結果から、サーモトロピック液晶材料に類似した分子構造がゲル化に対して重要なことが判明し、この解析結果を礎に低分子ゲル化剤の分子設計を再構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、CO2選択透過性の優れたガス分離材料の開発を最終目的とする。そのために、(1)構築したイオン液体ゲルの諸物性(熱物性および力学特性)を解析する。その上で、(2)イオン液体ゲルのガス吸着特性を解明し、(3)イオン液体ゲル膜を構築し、ガス分離特性を解析する。その上で、項目(1)~(3)の解析結果を礎に、CO2選択透過性に優れたイオン液体ゲル膜の分子構造を最適化し、低分子ゲル化剤を基盤としたガス分離材料としてのイオン液体ゲル膜を構築することにある。 すでに、(1)構築したイオン液体ゲルの諸物性(熱物性および力学特性)の解析方法は確立しつつあり、当初の目標としていた1%程度の添加量でイオン液体をゲル化する低分子ゲル化剤を開発した上で、大量合成法を確立した。さらに、構築したイオン液体ゲルは、固体化しているにもかかわらず、イオン液体と同様のガス吸収特性を示すことが分かった。 一方、低分子ゲル化剤の分子構造のわずかな違いにより、イオン液体ゲルの力学特性が大きく異なることが判明(当初予期していなかった点)し、低分子ゲル化剤を基盤としたガス分離材料としてのイオン液体ゲル膜を構築するために非常に有益な情報が得られた。 さらに、低分子ゲル化剤の応用に関しては、本研究での研究成果を元に国際共同研究に発展しつつある。具体的には、本研究開発で得られた分子設計指針を礎に、新たな分子構造をもつ低分子ゲル化剤の開発が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
CO2選択透過性の優れたガス分離材料を開発するにあたり、ガス吸収特性や熱物性だけでなく、力学特性(レオロジー特性)も非常に重要な因子である。 一方、2022年度の研究により、低分子ゲル化剤の分子構造のわずかな違いが、構築したイオン液体ゲルの諸物性(熱物性および力学特性)に与える影響が極めて大きいことが判明したために、2023年度には、ゲル化のメカニズムの解明に関する検討を進める。具体的には、赤外線やX線などを用いた分光学的手法と計算化学的な手法を併用した構造解析を進める。 一方、レオロジー特性(チキソトロピー性など)がガス吸収特性に及ぼす効果が判明していないために、力学特性の異なるイオン液体ゲルのガス吸収特性に関する解析を進める。具体的には、定常流粘性測定によるチキソトロピー性とガス吸収時の吸収速度等の相関関係の解明に努める。 さらに、イオン液体ゲルをCO2選択透過性の優れたガス分離材料として応用するためには、イオン液体ゲルの熱物性が非常に重要である。したがって、高い熱安定性(ゾル-ゲル転移温度)および少量の添加量でゲルを形成する低分子ゲル化剤の開発を進める。 これらの結果を礎に、イオン液体のゲル化に構造最適化した低分子ゲル化剤およびイオン液体ゲルの実験データを元に知的財産権を形成する。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)