Project/Area Number |
23K25043
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Project/Area Number (Other) |
22H03789 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
梅木 清 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (50376365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 聡秀 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (90598210)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
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Keywords | 森林のレジリエンス / 植物ー土壌微生物間相互作用 / 土壌微生物の機能群 / レガシー効果 |
Outline of Research at the Start |
森林生態系にとって、ニホンジカの食害は深刻な撹乱である。シカ食害の影響を取り除くと、森林生態系はレジリエンスを発揮し食害前の状況に戻ることが期待される。しかし、防鹿柵で囲っても樹木実生群集の回復が進まない状況が発生している。この原因として、シカによる樹木の枯死やササの消失が植物と土壌微生物群集との生物間相互作用を改変し、それがレガシー効果として森林のレジリエンスに悪影響を及ぼしていることが考えられる。本研究では、分子生物学的手法により土壌微生物群集の網羅的に把握し、撹乱のレガシー効果のメカニズムとしての生物間相互作用を把握し、レジリエンスに必要な指標となる生物間相互作用・機能群を特定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
東京大学秩父演習林(埼玉県秩父市)の既存の調査地(30サイト;各サイトにシカ柵ありプロットとなしのプロットが設置されている;各プロットのサイズは30m x 30m;2012-2013年に調査開始)で、3度目の毎木調査を行った。得られたデータを解析し、主要樹種の胸高直径成長速度と死亡率のモデルを得た。このモデルによって、主要樹種の成長速度・死亡率が、幹サイズ・他個体からの一方向的・双方向的相互作用・シカ柵の有無・年平均気温・年間降水量に依存する形で推定できる様になった。また、上記調査地に設置されたコドラート(プロットごとに9ヶ所;各コドラートのサイズは2m x 2m)で下層植生の被度を調査し、2013年に実施した同様の調査で得られた被度との差を、シカ柵の有無・斜面傾斜・斜面方位・それらの交互作用で説明するモデルを当てはめた。その結果、シカ柵があり、傾斜が緩やかな北向き斜面で、2013年にシカによる食害で激減した下層植生が回復していることが明らかになった。また、上記調査地内の6サイトで、個体識別をした実生の追跡調査を行い、得られたデータから、樹木実生の樹種別成長速度・死亡率のモデルを構築した。この解析により、樹木実生の成長速度・死亡率に対してシカ柵が大きな影響を与えていること、また、同種や多種の林冠木の存在も種ごとに異なる影響を与えていることが明らかになった。2022年秋に前述の6サイトのシカ柵が設置されているプロットで、主要樹種の稚樹の葉を採取し、窒素・炭素含量を測定し、各種環境条件との影響を検討した。その結果、下層植生の被度の回復が進んでいるプロットで稚樹の葉の窒素割合が高いことが明らかになった。同時にこれらの6サイトでRNAメタバーコーディング用の土壌サンプルを採取し、別に採取した土壌サンプルを用いて、CN比等の定量を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、RNAメタバーコーディングや物理化学特性測定のための土壌サンプリングを2022年の春と秋に行う予定であった。しかし、梅雨前までに十分な調査日程を確保することができず、春の土壌サンプルを2023年まで延期し、2022年は秋のサンプリングのみを行った。また、実験機材を揃えるために予想以上に時間を要したため、秋に採取した土壌からRNAの抽出は2023年以降に行うことにした。 一方で、上層木・下層植生・実生の測定は、予定通りに進行し、データ解析と成長速度・死亡率のモデル化も先行して実行することができた。 植物個体群動態に関する統計学的解析など計画以上に進展している部分はあるが、土壌サンプリングとその分子生物学的分析が予定より遅れているため、「やや遅れている」の区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年5月に春の土壌サンプリングを行う。2022年秋に採取した土壌と、2023年春に採取した土壌から、全RNAを抽出し、逆転写する。細菌類のrRNA 16S領域、真菌類のrRNA ITS2領域を対象にPCR増幅を行い、Illumina MiSeqによるアンプリコンシーケンス解析を行う。得られた配列をデータベースと照合し、細菌類・真菌類群集の組成を決定する。また、リアルタイムPCRによる細菌類と真菌類の定量を行う。また、2022年秋に採取した土壌と同様に、2023年春に採取した土壌の物理化学的特性の解析を行う。 モデルベース多変量群集データ解析法を用いて、環境条件(標高・優占樹種の菌根タイプなど)が土壌微生物に与える影響、および、微生物間の相互作用を定量化し、微生物機能群の再評価を行う。ベイズ統計モデリング(RとStanを使用)を用いて、再評価された微生物機能群の状況と環境条件(温度・土壌窒素含量など)が樹木実生の窒素含量・病害率・成長速度・死亡率・新規加入速度に与える影響を解析する。これらによって、どのような状況で、どのような微生物機能群が存在し、どのような微生物機能群が樹木実生群集の再生を可能にするかが明らかになる。
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