Project/Area Number |
23K25046
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Project/Area Number (Other) |
22H03792 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西川 潮 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (00391136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝見 尚也 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40769767)
岸本 圭子 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (80525692)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 環境配慮型農業 / 有機農業 / 食物網 / 窒素 / DNAメタバーコーディング / 安定同位体分析 |
Outline of Research at the Start |
化学物質に頼らない水稲の無農薬栽培は、持続型農業として注目を集めているが、施肥法によっては水田の生物多様性と米の品質の低下をもたらすことがある。本研究では、広域調査とデータベース解析に基づき、水田の捕食者の生息数や多様性に及ぼす農法、餌資源量、および物理化学的要因の影響を明らかにする。次に、DNAメタバーコーディング、消化管内容物分析、安定同位体分析等を用いて、捕食者の食性を明らかにする。さらに、野外操作実験を通じて、施肥法の違いが水田の生物多様性と米粒の外観品質に与える影響を明らかにする。以上をもとに、生物多様性保全と高品質米の生産を両立する無農薬・低窒素投入型施肥法を提言する。
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Outline of Annual Research Achievements |
石川県邑知平野の水田地帯で自然栽培田(無農薬・無肥料栽培)と慣行栽培田を複数筆ずつ選定し、農法や、畔草管理法、水路構造の違いがニホンアマガエルとトノサマガエルの生息数や食性に及ぼす影響を明らかにした。一般化線形混合モデル解析の結果、ニホンアマガエルの生息数は排水路の高さと流速に対し正の応答を示した。一方、トノサマガエルの生息数は排水路の高さと流速に対し負の応答を示し、草丈および畔の無脊椎動物多様度に対し正の応答を示した。また、トノサマガエルは、7月下旬に農法の異なる水田間で胃内容物組成が異なり、慣行栽培田より自然栽培田で肥満度が高く、生息数も多かった。以上より、トノサマガエルの生息数の向上には自然栽培の取組みや、畦草の高刈り、低い水路の設置が効果的と考えられた。一方、ニホンアマガエルは、農法や畔草管理法の影響を受けず、コンクリート製水路が併設された圃場整備水田で繁栄していく可能性が示された。 金沢大学の16筆の実験圃場を用いて、施肥時期の違いが、水稲収量、米の外観品質・食味成分および水田の生物多様性に与える影響を明らかにした。有機肥料として、窒素含有率の少ない竹の粉砕物を使用した。実験の結果、竹粉の施用の有無や施用時期を変えた4処理間でイネの成長パラメーターには有意差が認められなかった。しかし、穂肥の時期に竹粉を施用した処理区では、対照区と比べて玄米収量が少ない傾向が認められ、千粒重も小さかった。水田の生物多様性調査から、竹粉の施用は水田の重要捕食者であるアシナガグモ類と、良好な水質の指標であるシャジクモ類の増加につながる可能性が示された。 水田のクモ類の食性を明らかにするため、広域調査で収集したクモ類を用いてメタバーコーディング実験の諸条件を確立し、一部のサンプルで食性解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広域調査、圃場実験、DNAメタバーコーディング解析が概ね計画通りに進められた。広域調査や圃場実験の一部のサンプルは未解析であるが、次年度に向けて引き続き解析を進めていくことで当初目標は達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)広域調査―滋賀県琵琶湖集水域の水田地帯で広域調査を行い、底生無脊椎動物および稲株のクモ類・昆虫類の定量調査を行う。併せて、DNAメタバーコーディング用のクモ類のサンプルを採集する。 2)圃場実験―前年度に続き、圃場実験を通じて、低投入型有機栽培の取組みが水稲の生育、水田土壌の理化学性、玄米収量、米粒の外観品質・成分、および水田の生物多様性に与える影響を調査する。 3)DNAメタバーコーディング―DNAメタバーコーディングを用いて、水田のクモ類の食性を明らかにする。今年度も継続してクモ類のメタバーコーディング実験の諸条件を確立するとともに食性解析を進める。 4)データベース解析―研究代表者が所有する中部日本の水田の生物データベースを用いて、農法や水管理法の違いが底生無脊椎動物、陸生無脊椎動物、クモ類の生息数・分類群多様性に及ぼす影響を明らかにする。 5)統合分析―オーストラリアの研究者と共同で、気候変動下における代替湿地の生物多様性に関する統合分析を行う。
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