Project/Area Number |
23K25122
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Project/Area Number (Other) |
22H03868 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 晃 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50292280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 高史 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (60766525)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
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Keywords | 電子線 / 構造化照明 / 電子顕微鏡 / 状態転写 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、振幅と位相に構造をもつ電子ビームの生成および構造化電子ビームをもちいた新しい顕微法の開発を目指し、理論的および実験的研究を行った。本研究により、1)半導体フォトカソードに照射するレーザー光の振幅の構造が放出される電子線に転写されることを実験的に確認した。2)世界で初めて構造化ビームをもちいた電子線近接場タイコグラフィーの開発に成功した。本手法は強度が極端に高い輝点を含む回折図形をもちいないこと、メソスケールの対象物に適用可能であること、電子線超分解能の可能性が期待されること、など従来のタイコグラフィーにないユニークな特徴があることが判明した。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、空間中を伝播する電子の波動関数を自在に操る技術の構築を目指し、光から電子への状態転写を利用したまったく新しい電子波の波面制御の可能性を実験的に検証する。応募者のグループがこれまで開発してきたスピン偏極パルス透過電子顕微鏡は、電子源として負の電気親和性(NEA)をもつ半導体フォトカソード型の電子銃を搭載し、光電効果で放出する電子線を電子顕微鏡観察にもちいる。このフォトカソードに振幅および位相に構造をもつレーザー光を入射することにより、振幅および位相に構造をもつ電子線を生成する。またこの技術を利用した「ZコントラストTEM法」、「電子らせん波の生成」および「構造化照明電子顕微鏡法」の実現を通して新しい電子線制御技術の開発を目的とする。 1)光電振幅転写のための光電子放出電子源の開発:半導体フォトカソードに照射するレーザー光の振幅の構造が放出される電子線に転写されることを実験的に確認した。 2)構造化ビームをもちいた近接場タイコグラフィー法の開発:世界で初めて構造化ビームをもちいた電子線近接場タイコグラフィーの開発に成功した。本手法は強度が極端に高い輝点を含む回折図形をもちいないこと、電子線照射量を低減させることができること、メソスケールの対象物に適用可能であること、電子線超分解能の可能性が期待されること、位相決定精度が高いこと、試料の深さ方向の(3次元)情報が得られること、など従来のタイコグラフィーにないユニークな特徴があることが判明した。 3)ダイレクト電子検出器による単電子検出とダブルスリット実験:SOI-CMOS検出器の電子検出効率を定量的に評価し単電子検出可能であることを実証した。さらに、ダブルスリット実験を行い本検出器により電子の粒子と波動の2重性を確認した。本検出器により光電転写された電子波面を高効率で捉えられることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光電コヒーレント転写については、任意の振幅パターンを転写する実験までは行えていないが、振幅転写の予備実験まで行えた。構造化ビームをもちいた近接場タイコグラフィー法の開発については、 シミュレーションをもちいた原理検証、実験的検証まで行え、学会等での成果発表、論文投稿まで行った。超分解能性や3次元構造の観察についても確認され、新しい計測法として期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)光電振幅転写のための光電子放出電子源の開発 10^-5Pa程度の高真空でも電子源として利用可能なLaB6およびCeB6薄膜電子源を作製し、その性能評価を行う。LaB6およびCeB6薄膜作製にはレ ーザーアブレーション法をもちいる。作製した膜に対して電子顕微鏡をもちいた構造評価および光電子分光装置をもちいた仕事関数評価を行い、その電子放出特性を評価する。またフォトカソードに照射するレーザー光の空間的分布を変化させ、放出される電子線の空間的分布を観察する。特徴的な2次元分布をもつレーザー光を拡大・縮小して生成し、その空間分布が放出される電子線にも転写されるか確認する。フォトカソードから電子線が放出される過程でフォトカソード内での散乱等で2次元パターンがボケることが予想される。そのボケ量について、フォトカ ソード 厚さ依存性、入射レーザー光の波長依存性等を明らかにする。 2)構造化ビームをもちいた近接場タイコグラフィー法の開発 本研究で開発する電子銃の応用のひとつである構造化電子ビームを用いた全視野照射型タイコグラフィーの開発を行う。入射ビームを走査することにより、異なる照明位置で、試料下の近接場(フレネル領域)で観察される一連のインラインホログラムを得る。得られたホログラムから照明ビームの波動場と試料の複素透過関数をタイコグラフィーの手法により再構築する。今年度は、本手法の空間分解能の評価を行う。本手法は光学顕微鏡の分野で開発された超解像顕微鏡法である構造化照明法と類似しており、横分解能の超解像化が期待される。まずシミュレーションをもちいた理論的検証を行い、超解像性を有するか確認する。また、本手法は波動の伝播特性 をもちいた縦分解能(深さ方向の分解能)を有することが期待されるため、3次元的な物体の再構成についても検証する。
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