Project/Area Number |
23K25128
|
Project/Area Number (Other) |
22H03874 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤森 伸一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (70343936)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,790,000 (Direct Cost: ¥8,300,000、Indirect Cost: ¥2,490,000)
|
Keywords | 強相関電子系 / 光電子分光法 / 電子構造 |
Outline of Research at the Start |
超伝導は物性物理学において最も顕著で魅力的な巨視的量子物理現象の一つであるが、特にスピン三重項超伝導体は、トポロジカル超伝導体の候補として注目を集めている。その中でも、2018年末にスピン三重項超伝導体であることが発見されたUTe2は量子ビットとしての応用可能性が見いだされている。本研究課題では、大型放射光施設SPring-8軟X線ビームラインBL23SUにおいて、その詳細な電子構造を直接観測可能な「軟X線電子構造解析ステーション」を構築し、UTe2の電子状態を世界で初めて明らかにすることによって、その超伝導発現機構の解明に繋げることを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、UTe2をはじめとする強相関トポロジカル超伝導体の候補物質に対して軟X線放射光光電子分光実験を適用し、フェルミ面形状とフェルミ準位近傍の準粒子バンド構造を決定することを目的とする。フェルミ面形状からUTe2の超伝導体対称性を明らかにして、その超伝導機構の解明を目指す。 2023年度は、これまでに整備を行ってきたSPring 8 BL23SU光電子分光装置を利用して、実際に近年育成されたUTe2高純度単結晶に対して放射光角度分解光電子分光実験を行った。特に実験を行った。近年dHvA実験によって二次元のシート状フェルミ面が観測されたが、一方でブリルアン・ゾーンの垂直方向の境界に、有効質量が大きい閉じたフェルミ面が存在するかどうかが焦点となり、実験的・理論的研究が行われている状況にある。そこで、特にこのフェルミ面の存在の有無を明らかにすることを目的として、入射光エネルギーを掃引してkz方向の角度分解光電子分光実験を行った。実験の結果、このフェルミ面は観測されず、基本的には二次元的なフェルミ面から構成されていることが明らかとなった。 成果発表に関しては、2023年11月に台湾で行われたAsia-Pacific Conference on Condensed Matter Physics 2023においてUTe2の電子状態に関する招待講演を行った。また、f電子系超伝導体であるCeIr3に対する共鳴光電子分光実験の結果について論文発表を行った。また、2023年6月には姫路市でThe 10th International Workshop on the Dual Nature of f-Electronsを開催し、国内外から約100名の参加者があり、研究成果の普及と国際的な情報交換を行うことが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改良を行った実験装置は順調に稼働しており、目的としたデータが得られている。成果発表の面では、国際会議における招待講演3件(2024年11月予定1件含む)の他にも国内外の学会、研究会においても複数回講演を行っている。2023年度の論文としては、主著論文1報、共著論文5報となっている。2023年6月には国際会議を主催した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度に目指していた実験は順調に進行した。成果公表の面でも順調に進行している。 最終年度となる2024年度は、さらに詳細な実験を進めるとともに、これまでの研究の総括として、大量に得られたデータ解析や論文や国際会議における講演など、成果発表を中心とした活動を行う。2024年11月には米国で行われるAVS 70th International Symposiumにおいて、本研究課題によって得られた研究成果について招待講演を行う予定である。
|