Project/Area Number |
23K25140
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Project/Area Number (Other) |
22H03886 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Kyushu Open University (2024) Kyushu University (2022-2023) |
Principal Investigator |
樋口 明彦 一般社団法人九州オープンユニバーシティ, 研究部, 研究員 (30315105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 扶充子 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (50917961)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 歴史的石積み保全・再生 / 地域循環共生圏 / 文化的・歴史的景観の保全 / ストーンバンク / 歴史的技能の復興 / 歴史的石積みの保全・再生 / 歴史的石積み技能の復興 / 歴史的石積み / 阿蘇地域 / 自律分散型社会 / 分解調査 |
Outline of Research at the Start |
(1)ストーンバンクの社会実験 地域内建設事業者、自治体との協力を得て、資材置き場等をストーンバンクとして暫定的に位置付け、そこに地域内の工事で発生する石材を引き受け、ストックし、地域内での土留め壁や河川護岸等の工事に転用することが可能であるか、社会実験を通して検証を行う。 (2)歴史的石積み土留め壁を「語り」「つくる」体制の構築 これまでの標準設計では対象とされていない阿蘇の歴史的石積みを用いた構造物の修繕・再築・新築が一般的に行われるよう、技術的支援の体制および制度的枠組みの修正のあり方を明らかにする。また、阿蘇の歴史的石積みを理解し、設計に反映させることが出来る人材育成の方策を検討・構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
野面石の空積み構造であるにもかかわらず2016年4月に発生した熊本地震でも一部の損壊に留まった南阿蘇村川後田地区の歴史的石垣を対象に昨年度実施した解体調査では、構造的な安定性を生み出している積み方の特徴、ノウハウ、石材の起源等について多くのこと(歴史的石積みを「語れて作れる」ために必要となる情報)を明らかにすることができた。それらの結果を踏まえ、2023年度には同石垣の再組立(試験施工)を試みた。その中で、地元建設事業者、造園事業者等石積み作業に従事される分野の技術者、地元自治体(南阿蘇村)関連部局職員にお声がけし、「歴史的石積み研修会」を開催した。開催回数は7回、延べ参加者数は約70名。研修会では昨年度の成果(歴史的石積みの積み方の特徴その他)を説明した上で、実際に石を積んでいただいた。 参加者の多くは練り積みしか知らず、歴史的石積みを「語れず作れず」の状況であったが、実際に石を積む作業を行う中で、先入観・既成概念等と実際の歴史的積み方との乖離点の発見や歴史的積み方の合理性への驚きなど、多くの「気付き」を共有することができ、「語れて作れる」状況への一歩を踏み出すことができた。 また、研修会終了時に参加者に対して参加前後での地域の石垣景観やその保全に対する意識の変化についてアンケート調査を実施し、歴史的石積みへの認識が大きく変化したことを確認できた。これらの成果は「南阿蘇村における歴史的石積み築造の手引き」として取りまとめ中である。 これらと並行して、南阿蘇村管内に存在している地元建設事業者、造園事業者等の所有する資材置き場、地元自治体が管理する未利用値、耕作放棄地等を対象に、南阿蘇村管内での「ストーンバンク(歴史的石積みの維持・補修・再生等に必要な地場石材のストック場所)」の立地可能性についての基礎調査を実施した。 以上の成果は全て論文及びパンフレットとして公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ケーススタディ:歴史的石積みの試験施工と評価」については、前項に記したように2023年度に一箇所の歴史的石積みを対象とした試験施工(分解調査は2022年度に実施)を実施することができ、概ね所期の目標を達成することができた。これには本研究の趣旨、意義を理解してくださりご協力いただいた地域の方々、南阿蘇村役場、地元建設事業者、造園事業者他に負うところが大きい。 一方、「ストーンバンクの社会実験」については、2023年度中に南阿蘇村管内で仮設的にストーンバンクを設け、その周辺での歴史的石積みの修繕・再築・新築事案に対してそこから実際に石材を供給するという社会実験に着手したかったが、そこまでには至っていない。これは前述の歴史的石積みの試験施工と評価に大きな労力を割く必要があったためである。 ストーンバンク適地候補の選定は終了しているので、最終年度には、南阿蘇村役場等のご協力を得ながら、ストーンバンク社会実験の遅れ取り戻し、予定通りに本研究を終了させるよう努力したい。 以上から、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の柱の一つは、研究計画書に挙げた「歴史的石積み土留め壁を『語り』『つくる』体制の構築」である。これまでの研究成果を踏まえて、歴史的石積みの修繕・再築・新築が一般的に行われるよう、技術的支援の体制および枠組みのがどうあるべきかについて考察し、具体的枠組み案を提示する。南阿蘇村関係部局、熊本県関係部局、地元建設事業者、造園事業者、郷土史に関心のある地域住民等の方々に広く参加いただいた勉強会の開催、地域シンポジウムの開催等により、実効性のある枠組み構築に向けた議論を展開していく予定である。 「ストーンバンクの社会実験」については、最終年度初期に仮設ストーンバンクの選定及び石材供給先事業の選定を行い、出来るだけ早期に社会実験に着手するよう努める。そのためのプラットホームとして、砂防ダム、治山ダム等の公共事業の実施主体である国土交通省、熊本県土木部・農林部、南阿蘇村の担当者の方々、集落内石垣や農地の石垣を所有・管理されている南阿蘇村地域住民の方々と情報共有及び検討の場を設ける予定である(一部を除き構築済み)。 上記の個別研究と並行して、三年間の研究成果を取りまとめ公表する作業も実施していく予定である。
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