規則的な高密度毛細血管網が組み込まれた肝オルガノイドの構築
Project/Area Number |
23K25196
|
Project/Area Number (Other) |
22H03942 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
中澤 浩二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00304733)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (40396255)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥10,010,000 (Direct Cost: ¥7,700,000、Indirect Cost: ¥2,310,000)
|
Keywords | オルガノイド / 三次元組織体 / ハニカムフィルム / 血管ネットワーク / 肝組織 / 肝細胞 |
Outline of Research at the Start |
再生医療や細胞アッセイなどの細胞工学分野では、培養下において生体類似構造の再現や細胞の高機能安定化を図る技術開発が重要な課題である。そのアプローチの一つとして、現在、優れた三次元組織化培養の構築が国内外で活発に取り組まれている。 本研究では、ハニカム状の規則的微細孔を有する多孔フィルムを利用し、肝細胞と毛細血管網が共培養された三次元高次組織体(肝オルガノイド)を構築するとともに、その効果と有効性を明らかにする。これらの取り組みを通して、優れた新規の三次元組織化培養技術を提案する研究である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新しい三次元組織化培養技術として、ハニカム状の規則的微細孔を有する多孔フィルム内に肝細胞と毛細血管網が共培養された高次な肝組織体(肝オルガノイド)を構築し、その効果と有効性を明らかにすることを目的としている。本年度は、ハニカム多孔フィルム孔内における毛細血管網の発達・成熟化の取り組みと多孔フィルムを培養スキャホールドとして利用した際の肝細胞の機能発現評価を実施した。 毛細血管網の発達・成熟化の取り組みでは、ハニカム孔内において血管内細胞(HUVEC)と脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を共培養することによって血管様ネットワーク構造が構築できることを見出した。このようなネットワーク形成は、ハニカム孔内で伸展したADSC上にHUVECが配置し、その後、HUVECの凝集化を支えるようにASDCが遊走配置することで構築された。さらに、血管様ネットワーク構築におけるHUVECとADSCの最適な混合比および細胞播種密度を見出した。 ハニカム多孔フィルム培養における肝細胞の特性を明らかにするために、孔径の異なる多孔フィルム(3~30μm)を用いて初代ラット肝細胞の培養を行った。多孔フィルムで培養された肝細胞は凝集化が促進される傾向が強く、それに伴うスフェロイド様構造の形成と肝機能の高機能発現の維持がみられた。また、多孔フィルムの孔径15~20μmを境目として、それより小さい場合はフィルム表面に細胞が存在し、大きい場合にはフィルム孔内にて細胞が培養されることを明らかにした。 以上の結果から、ハニカム多孔フィルムを用いた毛細血管様ネットワーク形成の最適化および多孔フィルム培養における肝細胞の培養特性の一端が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、(1)ハニカム多孔フィルム孔内における毛細血管網の発達・成熟化の取り組み、(2)ハニカム多孔フィルム培養における肝細胞の特性評価であった。 (1)については、HUVECとADSCの共培養によってハニカム多孔フィルム孔内に毛細血管様ネットワーク構造を形成できることを明らかにした。また、ネットワーク形成における細胞混合比や播種細胞密度の最適化を達成でき、本テーマの根幹となる部分の基本技術は確立できた。現在、細胞外マトリクスやサプリメントなどの添加による毛細血管網の成熟化を進めている。 (2)については、ハニカム多孔フィルムにおけるラット肝細胞の培養特性として、一般的な単層培養法よりも高い肝機能発現を維持できることを明らかにした。また、ハニカム孔径によって肝細胞の培養位置を制御できることも明らかとなり、重要な知見を得ることができた。これにより、(1)と(2)の技術を組み合わせることで肝オルガノイドの基本ユニットを構築できる足掛かりを得た。 以上、本年度の実施内容はほぼ予定通りに進行しており、本研究目標の第1段階をクリアした。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハニカム多孔フィルム内に肝細胞と毛細血管網が共培養された高次な肝オルガノイドを構築すべく、2023年度は以下の三つの内容を実施する。 (1)血管網ネットワーク構造の成熟化: 血管網構造をさらに成熟化すべく、血管誘導因子や細胞外マトリクスの血管成熟因子を積極的に利用して、管腔構造の形成や毛細血管網への発達を導く。また、二次元/三次元な画像解析やDNA・タンパク質分析による細胞分化度解析を用いて、管腔構造や血管網の発達度などを定量的に解析する。 (2)ハニカム多孔フィルム/血管網導入肝組織の特徴づけ: ハニカム多孔内に血管網と初代ラット肝細胞が共培養された血管網導入肝組織を構築する。血管網と肝細胞の存在比や細胞導入密度の違い、培養経過に伴う肝細胞の機能やシグナル発現の違いなどを評価し、血管網導入肝組織の特徴づけを行う。また、血管網を構築させたハニカム孔内に肝細胞を導入して肝組織を形成する方法(段階的構築法)と血管内皮細胞と脂肪由来間葉系幹細胞と肝細胞を同時にハニカム孔内導入して肝組織を形成する方法(一挙構築法)を検討し、組織構築法の違いが細胞特性に与える効果を明らかにする。 (3)ハニカム多孔フィルム/肝組織ユニットの積層化技術: 支持体上で培養されたハニカム多孔フィルム/血管網導入肝組織を支持体から低侵襲かつ容易に回収する技術として、温度変化(温度応答性ポリマーの利用)で支持体からのハニカムフィルム/血管網導入肝組織を脱離させる技術を確立する。また、脱離した状態をハニカムフィルム/肝組織ユニットとして、そのユニットを積層化する手法を検討する。 これらの実施予定内容は、ほぼ当初の計画通りである。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)