Research on 4D mechanical field that determines early malignant transformation and invasion of cancer cells and its application to invasion suppression therapy
Project/Area Number |
23K25197
|
Project/Area Number (Other) |
22H03943 (2022-2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70376515)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥16,900,000 (Direct Cost: ¥13,000,000、Indirect Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
|
Keywords | がん細胞 / 力学的微小環境 / 3次元培養モデル / 浸潤 / 増殖 / 癌細胞 / 多層スフェロイド / 組織透過性 / 子宮頸癌 / 癌細胞スフェロイド / アガロースゲル / 圧縮応力 / 結腸線癌 / 子宮頸がん / 力学的環境 / 上皮-間葉形質転換 |
Outline of Research at the Start |
癌細胞は健常組織中に発生し,細胞塊を形成して増殖,浸潤,他臓器の転移へと進行する. 癌細胞が発生して細胞増殖期から健常組織への浸潤を開始する最初期においては,癌細胞は細胞同士の接着が強固な形態から浸潤性が高まる形態に形質転換する.この最初期の形質転換こそが癌という病態の悪性化と浸潤と転移のスタートと言える.本研究は,この癌の最初期における細胞周囲の力学的環境の変化が形質転換のトリガーの一つであるという仮説を提示し,これを実証することを目的とする研究である.
|
Outline of Annual Research Achievements |
癌は発生の最初期においては上皮系細胞の性質を持ち,細胞は旺盛な増殖性を示す増殖型にある.このため周囲の健常組織との相互作用は乏しく細胞-細胞間接着が支配的な状態となる.本研究では,この最初期の環境を再現するために,周囲基質として細胞接着分子を含まないアガロースゲルを周囲基質として癌細胞の細胞塊(スフェロイド)を剛性の異なるアガロースゲルに包埋して,周囲の力学的環境を変化させた閉じ込め腫瘍モデルを構築している. 本年度はこのモデルを発展させて,子宮頸がん細胞と血管内皮細胞の多層細胞スフェロイドを構築し,周囲基質の剛性が血管新生に及ぼす影響を調査した.その結果,多層細胞スフェロイド培養体では,周囲基質の剛性がある一定の範囲を示すときに組織成長速度が癌細胞単独からなる単層の細胞スフェロイドの5倍から10倍程度まで大きくなることを明らかにした.さらに,蛍光デキストランを用いた癌細胞スフェロイド内への物質浸透性を調査したところ,血管内皮細胞を外層に有する多層細胞スフェロイドの方が高い浸透性を示した.これらは血管内皮細胞を介在とした組織透過性の向上とそれによる癌組織の成長および浸潤性の亢進を示すものと考えられる. また,癌細胞スフェロイドが周囲基質のアガロースゲルから受ける応力を観測することを目的として,癌細胞スフェロイド培養体の蛍光観察が可能となるようにライトシート光学系を正立型顕微鏡に組み込んだ.このライトシート顕微鏡を用いて,細胞スフェロイド周囲に蛍光ゲルビーズを分散してその時系列の位置変化を観測することでゲル内部のひずみを評価可能な観察システムを構築した.本観察システムを用いることで癌細胞スフェロイド周囲の応力場の観測が可能となり,癌細胞に形質転換を生じさせる力学的微小環境を明らかにすることが期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は癌組織を対象として癌の発生の最初期を模擬した生体外培養モデルを構築し,時間軸を加えた4次元の力学的微小環境と癌組織の浸潤の関係を明らかにすることにある.計画1年目に癌細胞スフェロイドを剛性の異なるアガロースゲルに包埋することで閉じ込め腫瘍モデルを開発し,周囲基質の剛性がある一定の範囲の値を示すときに組織成長性が亢進されることを明らかにしている.さらに計画2年目である2023年度にはタイムラプス観察が可能となるライトシート光学系を正立型顕微鏡に組み込んだライトシート顕微鏡を構築し,時系列の観察が可能となる観察系の構築にも成功している.同じく同年度にはヒト由来の子宮頸がん細胞および血管内皮細胞からなる多層スフェロイドをアガロースゲルに包埋した,血管新生の過程も含む癌の発生過程を模擬する生体外モデルの構築も達成しているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究ではこれまでに癌発生の最初期の環境を再現するために,周囲基質としてアガロースゲルを採用し,このゲルの内部に癌細胞のスフェロイド培養体を包埋する閉じ込め腫瘍モデルを構築している.アガロース下の剛性を変化させることで,周囲の力学的微小環境を変化させることを可能にしている.このモデル内では,スフェロイド内の細胞が増殖し,スフェロイドサイズが大きくなるとアガロースゲルを押しのける動きの反作用として圧縮応力に曝されことから,力学的微小環境は3次元的に形成される.さらにスフェロイドの成長に伴って力学的微小環境も時系列で変化することから,時間軸も含めた4次元的な力学微小環境が癌細胞スフェロイドに及ぼす影響を観測可能としている. 今後は力学的微小環境を生体内環境を模擬した動的な変動場として影響を明らかにすることを予定している.具体的には大腸癌を想定して閉じ込め腫瘍モデルに大腸内の蠕動運動を再現した圧縮変形を印加可能な培養装置を開発し,癌細胞スフェロイドの成長に伴って周囲基質から受ける圧縮応力に重畳する形で作用する動的な力学的刺激が癌細胞スフェロイドの成長に与える影響を明らかにする.癌細胞が形質転換する際に発現する遺伝子を調査することに加えて,細胞周期にも着目する.観察にはタイムラプス観察を可能とするように自作したライトシート顕微鏡を用いて行う.さらに,スフェロイドおよび周囲のアガロースゲルの変位場を観察して,癌細胞スフェロイドが特異的な成長を開始する力学的微小環境の条件を明らかにする.
|
Report
(2 results)
Research Products
(12 results)