Project/Area Number |
23K25249
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Project/Area Number (Other) |
22H03995 (2022-2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2022-2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90150:Medical assistive technology-related
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Research Institution | Tohto University |
Principal Investigator |
山下 和彦 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 教授 (00370198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 忠輔 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (00720088)
佐藤 満 群馬パース大学, リハビリテーション学部, 教授 (10300047)
阿多 信吾 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (30326251)
花之内 健仁 広島大学, 学術・社会連携室, 教授 (40711643)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 外反母趾 / 足部骨格構造解析 / スマートフォン / バイオメカニクス / 大規模コホート / 中足部回内 / 足部骨格3D構造解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,スマートフォンを用いた足部3D骨格構造解析システムを開発し,歩行機能や外観に影響をおよぼす外反母趾のリスクを含めた評価指標を構築することを目的とする.簡便かつ定量的ですでに普及しているスマートフォンを用いることで子どもから高齢者まで幅広い人が利用でき,外反母趾に代表される足部の関節疾患の予防の方策を提供することを目指している. 足部の骨格特性は加齢とともに変化するため,日常生活機能を維持するためのヘルステックとして本システムの有用性を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
外反母趾の発生メカニズムは十分に明らかではない.65歳以上の外反母趾の発症率は35%を超え,歩行機能を低下させ,要介護リスクを高める可能性がある.多くの場合,自分が外反母趾だと認識できておらず,痛みがひどくなってから医療機関を受診するため,対症療法にとどまるのが現状である. 外反母趾は歩行により発生,悪化し,子ども,男性でも発症する.外反母趾は足部骨格の特性,柔軟性,歩き方に関連し,履物などのフットウェアとの不整合により重症化する.外反母趾の発生メカニズムが明らかにならなかった要因に,足部骨格を3次元的に評価できなかったことが挙げられる. そこで本研究の目的は,バイオメカニクスの観点から外反母趾に関係する足部骨格構造と発症機序を明らかにするために,①スマートフォンを用いた足部3D骨格構造解析システムを開発し,②特徴量を評価するプログラムを開発する.そして③足部骨格の特徴量を大規模に解析し,縦断的研究として歩行足部コホートから拇趾角を増加させる特徴量,加齢変化,新しい評価方法を明らかにする. 本研究ではここまでに,スマートフォンによる足部3D骨格構造解析システムの基礎を開発し,舟状骨の3次元的指標(アーチ高,中心軸からの距離),拇指角など10以上の指標を構築した.計測環境の明るさなど課題が残っているが,概ね十分な精度と計測方法を確認した. そして中高年の横断的・縦断的大規模調査を実施している.40~92歳の3000人を対象に足部骨格計測,足圧分布による床面への接地状況,下肢筋力等を計測し,開発したICT活動量計により通常歩行と4 Mets以上の歩数に分けた運動強度別の毎日の歩数を記録している.すなわち,年齢ごとの足部の骨格,立位における荷重の評価,骨格構造に影響する筋力と歩行による負荷の観点から詳細に検討している.さらにレセプト情報分析による背景疾患の影響も考慮している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①足部3D骨格構造解析システムの開発:本システムで用いるスマートデバイスはiPhone端末を用いているが,android端末でも使用可能である.足部の周囲画像を取得し,メッシュを1mmとし開発している.計測精度は1.7mmであることを確認した.特徴量は,a.足拇指先端,b.足第2趾先端,c.踵骨隆起部,d.舟状骨,e.第1中足骨頭,f.第5中足骨頭等である.このうち舟状骨は対象者の足部の特徴により外観から探索が難しい場合がある.例えば,外頸骨がある場合等が挙げられる.足長の割合とする先行研究もあるため,検討を進めている.本研究では舟状骨位置を探索することが目的ではないため,外観の特徴量を総合的に判断・学習することで検討を進めている. ②特徴量評価指標の開発: A. 外反母趾を評価する指標として拇指角:a.足拇指先端-e.第1中足骨頭-c.踵骨隆起部角,B.舟状骨高(床面からd.舟状骨の高さ),C.舟状骨の回内角(b.足第2趾先端-c.踵骨隆起部-d.舟状骨角),D.回内のモーメントアーム(b.足第2趾先端-c.踵骨隆起部の中心線とd.舟状骨の距離),E.骨格のずれ(中心線(b-c)と距骨最高点の距離),F.横アーチの距離と高さ等を設定し,中高年3000人の計測から分布,特性を評価した.その結果,外反母趾の発生機序を明らかにするための指標として有力であることがわかった. ③足部骨格の特徴量解析のための大規模コホート:中高年3000人を対象に,追跡研究を行っている.追跡期間の中央値は4年(最長8年)である.その結果,外反母趾に関連がうかがえる中足部の特性に性差があり,女性は加齢とともに変形が進んでいることがわかった.この点は大変興味深く,歩数,筋力,疾病等との関連を調査している.さらに,新規疾病発症率の解析から後期高齢者のアルツハイマー病と歩数,足部の特性の関係がわかりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はいくつかの市で実施している「歩行と足部の大規模コホート研究」に組み合わせて行っている.そのため,都市部,雪国などそれぞれの持つ地域特性まで踏まえて検証を行う.本年度は特に下記の点について研究を進める. ・足部3D骨格構造解析システムの開発と評価:これまでに,本システムの足部の解剖学的指標を決定し,ほぼ自動抽出可能なレベルにまで構築した.中足部の舟状骨など判別が十分でない点は,骨格の特徴量解析に加え,外反母趾や加齢変化の特徴に注目し,疾病と歩行機能への影響度の評価を加える. ・足部骨格の加齢変化と外反母趾の解剖学的特性:本研究では,外反母趾の発生・増悪因子に,舟状骨や内側・中間楔状骨等の骨格構造,前足部の横アーチに特徴を見出した.さらに,外反母趾の機序として,①女性の加齢変化に伴う外反角と舟状骨領域の低下と内反により靭帯の緩みを誘発する要素,②中足部の骨格構造の変化により前足部の横アーチの構造に影響を及ぼす要素の2つが見出されている.そこで,動的な中足部の変化を捉え,機械的な特性を明らかにすることで外反母趾の発生・増悪する特性を明らかにする. ・横断・縦断的大規模フィールドテストの実施:3000人の中高年の大規模フィールドテストを継続している.ここでは足部の計測データに加え,年齢,性別,毎日の歩数,下肢筋力,変形性膝関節症などの関節疾患,糖尿病等の足部や足爪,歩行に影響する因子を組み合わせて縦断的に分析する.関節疾患や糖尿病などの足部に影響をおよぼす因子は国保医療費と後期高齢者医療費のレセプトデータよりICD10の中分類の医療費分析により解析する.レセプトデータ解析システムは独自に開発している. 縦断的に足部骨格の変化を捉え,毎日の運動負荷,フットウェアなどの要素を検討している先行研究は見当たらず,詳細な粒度で,かつ運動強度を分類できる研究デザインは新規性が高い.
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