Project/Area Number |
23K25271
|
Project/Area Number (Other) |
23H00574 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
Basic Section 01030:Religious studies-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related , Basic Section01030:Religious studies-related , Basic Section01040:History of thought-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久山 雄甫 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70723378)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 聖央 武庫川女子大学, 生活美学研究所, 嘱託助手 (10885205)
大橋 完太郎 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40459285)
早川 太基 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (60872801)
有澤 知世 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (70816313)
池野 絢子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80748393)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2026: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 感情空間 / 新現象学 / 雰囲気 / 呼吸 / 気 / シュミッツ |
Outline of Research at the Start |
新現象学の始祖ヘルマン・シュミッツは、西洋古典思想・文学研究に立脚して、今日の哲学的雰囲気概念の源流となる「感情空間」概念を提唱した。しかしその一方で、それ以外のさまざまな歴史文化における感情と空間の連関は、その後の研究でも詳しく検討されてこなかった。そこで本研究では「近現代ヨーロッパ」と「前近代東アジア」の二部門を設け、それぞれの複眼的視座からシュミッツの「感情空間」概念の妥当性と有効性を批判的に検証し、感情と空間の連関をめぐる比較文化史研究を進めることで、新学術領域「雰囲気学」創出・展開の基盤をつくりだす。
|
Outline of Annual Research Achievements |
全体について:新現象学の始祖ヘルマン・シュミッツの「感情空間」概念がもつ妥当性と有効性を批判的に検証し、感情と空間の連関をめぐる新たな比較文化史の土台を打ち立てるため、本年度、チーム全体では、神戸雰囲気学研究所を基盤とした月例会を11回(8月は休会)開催して研究交流を行い相互に知見を深めたほか、本科研課題に関する国際シンポジウムを以下の二度にわたり実施した。(1)2023年6月にはスロベニアで息吹・呼吸をテーマとして開催し、本科研チームからは久山、有澤、松山、池野が参加して研究発表を行った。(2)2024年に3月には台湾で「気」をテーマとして開催し、本科研チームからは久山、大橋、有澤、早川が参加して研究発表を行った。これらの国際シンポジウムは申請段階では後半の「総合研究期」に予定していたものだが、研究交流を想定以上に加速させることができたため計画の前倒しを行った。現在は、これらの口頭での研究発表の成果を各ユニットにおいて論文化している。 各ユニットについて:ドイツ・ユニットでは、ドイツ・ロストックの新現象学会と、新現象学関連資料(新現象学の始祖ヘルマン・シュミッツの未研究遺稿)共同研究を準備した。2024年9月には神戸大学で「ヨーロッパ思想史における雰囲気」を扱ったワークショップを開催し、同年11月にはドイツのハンブルク高等研究所で研究成果の発表を行った。さらにデンマーク・コペンハーゲン大学の関連研究者とも共同研究を見据えたコンタクトをとっている。日本・ユニットと中国・ユニットでは、他ユニットとも協働して、東アジアにおける「気」概念の多面的考察を行うため、台湾の中央研究院との共同研究体制を確立した。フランス・ユニットでは現代フランス思想における情動論の考察を、イタリア・ユニットでは全体主義と雰囲気の関係についての考察を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、神戸雰囲気学研究所を基盤とした月例会を11回(8月は休会)開催して研究交流を行い相互に知見を深めたほか、(1)2023年6月にはスロベニアで息吹・呼吸をテーマとして、(2)2024年に3月には台湾で「気」をテーマとして、それぞれ国際シンポジウムを開催した。 (1)では、久山がゲーテ『西東詩集』における息吹および感情空間の描写について、有澤が江戸時代の文学作品にみられる「気」の表象について、松山が現代の日本人画家水野暁における呼吸と視覚の関係について、池野がイタリアを中心とした現代芸術における呼吸の表現について、それぞれ研究発表を行った。 (2)では、久山が新学術領域「雰囲気学」における「気」概念の重要性について、大橋がヨーロッパ現代思想における情動論について、有澤が江戸時代の文学作品における「気」「心」「魂」「夢」の関係について、早川が中国文学における「気」の表現の多様性について、それぞれ研究発表を行った。 これらの国際シンポジウムは申請段階では後半の「総合研究期」に予定していたものだが、研究交流を想定以上に加速させることができたため計画の前倒しを行った。現在これらの口頭での研究発表の成果を各ユニットにおいて論文化しており、各ユニットでの研究も今年度の研究交流をもとにした大きな進展が期待できる。特にドイツ・ユニットでは、ドイツ・ロストックの新現象学会と、新現象学関連資料(新現象学の始祖ヘルマン・シュミッツの未研究遺稿)共同研究を準備しており、世界初の文献学的研究の展開が見込まれる。 以上から、当初の計画以上に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドイツ・ユニットでは、ドイツ・ロストックの新現象学会と、新現象学関連資料(新現象学の始祖ヘルマン・シュミッツの未研究遺稿)共同研究を準備した。今後も本科研のための基礎研究として、ロストックでの研究滞在による資料読解を進め、特にシュミッツ哲学と東アジア思想およびシュミッツ哲学とゲーテの関連を明らかにする。 またドイツ・ユニットでは、デンマークのコペンハーゲン大学の関連研究者とのコンタクトもとっており、2024年4月に共同ゼミナールを開催することが決まっている。 日本・ユニットと中国・ユニットでは、東アジアにおける「気」概念の多面的考察を行うため、台湾の中央研究院との共同研究体制を確立しており、2024年に中央研究院にて二度目の国際シンポジウムを開催する予定である。このシンポジウムには日台の研究者のほか、スロベニア、イタリア、ドイツなどの研究者も参加予定であり、本科研のさらなる文化横断的な展開が見込まれる。 フランス・ユニットでは現代フランス思想における情動論の考察をすすめており、これを今後は「雰囲気」をキーワードにして展開していく計画である。 イタリア・ユニットでは全体主義と雰囲気の関係についての共同研究体制を構築しつつあり、本科研の枠内で、研究協力者による国際シンポジウムを開催する計画である。
|