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平安時代後期・鎌倉時代の金銅仏鋳造技法の実証研究ー多臂金銅仏を中心にー

Research Project

Project/Area Number 23K25277
Project/Area Number (Other) 23H00580 (2023)
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeMulti-year Fund (2024)
Single-year Grants (2023)
Section一般
Review Section Basic Section 01060:History of arts-related
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

宮崎 甲  千葉大学, 教育学部, 名誉教授 (60272291)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松本 隆  沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (00267345)
山田 修  奈良県立大学, 地域創造学部, 特任教授 (30571723)
三枝 一将  東京藝術大学, 美術学部, 准教授 (60529949)
米沢 玲  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 主任研究員 (80726993)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2027-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2024)
Budget Amount *help
¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Keywords鋳造技術 / 金銅仏 / 造像技術 / 平安時代後期・鎌倉時代 / 木造原型焼き抜き法 / 造像法 / 平安鎌倉 / 込め型 / 焼き抜き法 / 鋳造仏 / 木造焼き抜き / 鎌倉仏 / 割り込め型
Outline of Research at the Start

金銅仏の需要が再興した平安時代後期以降の鋳造法に関しては、これまで木造(彫)仏を原型とした型取り技法「割込め型」を使ったものと されてきた。しかし、この時代の鋳造法を一つの技法のみで説明することは難しい。事前に行なった調査において、木造原型をそのま ま鋳型の中で焼いてしまう方法が併用されたと考えうる事例を発見した。平安時代後期から鎌倉時代に制作された金銅仏の技法面からの詳細調査を行い、技法検討上特に重要とみなされる複数の鋳造仏を対象とした3Dデータ・X 線CTデータなどの収集・解析から、使われた鋳造技法を想定し実際に検証鋳造を行う。これにより平安時代後期・鎌倉時代の仏像鋳造技術の全体像を 明らかにする。

Outline of Annual Research Achievements

今年度の調査は多臂仏に限らず様々な金銅仏を詳細に分析することを目的とし、以下の文化財について行った。MOA美術館(銅造阿弥陀如来)山武市歴史資料館(銅造阿弥陀三尊像)林西寺(銅像十一面観音)(銅造地蔵菩)善明寺(鉄造阿弥陀如来立像)(鉄造阿弥陀如来坐像)小松寺(銅造十一面観音)宝金剛寺(銅造大日如来)大覚寺(銅造如来)普明寺(銅造菩薩)金銅仏に限らず鉄仏、高麗・明からの請来仏など広範な調査とした。特に小松寺十一面観音の調査は、東京国立博物館の協力を得て3Dスキャニング、X線CTスキャニングなども行いより詳細なデータを取得した。
検証実験は那古寺像の右脇手前列の木造原型焼き抜き法の実験をおこなった。430度以下の焼成で原形が85%ほどに収縮し鋳型から難なく抜き取れたことから鋳型焼成の温度帯に留意することで原型を収縮させることができると確認した。また、小松寺十一面観音坐像左脇手のX線CTデータを活用した実証実験は、別鋳造されたと思われる3パーツを鋳造し、今後の鋳掛実験の準備を行った。
分担者山田は金銅仏を3D計測する手法について、3Dスキャナー、写真測量の2通りの利点や欠点について検討を行い、双方の利点を活かしたデータ処理を行う手法を検討した。また、3DデータをOSやプラットフォームに依存せずWebブラウザ上で閲覧、解析するソフトウェア「ナラメモリ(naramemory.com <http://naramemory.com/>)」を作成した。
発表活動は、宮崎、松本、三枝が、那古寺像脇手の焼き抜き法についての論文をアジア鋳造技術史学会誌にの掲載発表し、分担者松本が中心となり、再現鋳造を終えた那古寺銅造千手観音像脇手一部の仕上げを行った結果について、鋳造技術史学会において口頭発表した。また分担者松本は、実験を伴う古い時代の立体製作技術研究の発表を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平安時代後期から鎌倉期の鋳造技術の全体像を掴む目的から、今年度は研究の中心である多臂仏に限らず様々なタイプの当該時代の金銅仏(重要文化財5点、その他の指定文化財5点)について調査を行った。中でも小松寺十一面観音坐像の調査は、寄託先の東京国立博物館の協力を得て3Dスキャニング、X線CTスキャニングなども並行して行いより詳細なデータを取得できた。
本研究の特徴となる検証実験としては那古寺像脇手の木造原型焼き抜き法の2回目の検証作業をヒノキ材の原型で行い、鋳型焼成の温度帯に留意することで、鋳型粘土の構造水を脱水すること無く原型を収縮させることができることを確認した。また、次年度計画している小松寺十一面観音坐像左脇手の再現鋳掛の準備として、X線CTデータ解析から別々に鋳造されたと思われる3パーツを木造原型の焼き抜き法によって鋳造した。
また分担者山田は金銅仏の3D計測する手法について、3Dスキャナー、写真測量の2通りの利点や欠点について検討を行い、両者を併用し、双方の利点を活かしたデータ処理を行う手法を検討した。計測した3DデータをOSやプラットフォームに依存せずWebブラウザ上で閲覧、解析するソフトウェア「ナラメモリを作成した。このことで研究者間の立体物の視覚データ共有が容易になった。
発表活動では、これまでの研究成果を論文としてアジア鋳造技術史学会誌「FUSUS]にの掲載発表したほか、分担者松本が中心となり、再現鋳造を終えた那古寺蔵銅造千手観音菩薩立像脇手の一部の仕上げを行い、アジア鋳造技術史学会奈良大会にて口頭発表した。これらの内容は本研究の推進上初年度として計画していた内容を十分みたしている。

Strategy for Future Research Activity

研究の最終段階では金銅仏造像法解明のための多角的視点として統合されることになるが、研究の道筋は多岐に渡る。以下にその方向性を示しながら今後の取り組みを記す。
1, すでに数体を残すのみである平安時代後期・鎌倉時代の銅造多臂仏の基礎調査は、対象寺院との調整を図りながら可能な限り2024年度まで継続する。また、これまでに基礎調査が終了している兵庫県常勝寺十一面千手観音や新潟県大泉寺千手観音などの詳細調査を2024、2025年度中に実施し、データの分析と技法想定などを行う。2, データに基づく検証実験鋳造としては以下の2種類。すなわち千葉県小松寺十一面観音の調査結果と3Dデータ、X線CT画像解析などをもとにした脇手の検証鋳掛と千葉県那古寺千手観音脇手の2度目の実験鋳造を実施する。3, 平安後期・鎌倉期の鋳造技術の検討に不可欠な「鉄仏」や多臂仏以外の金銅仏、請来仏などについての基礎データ収集や詳細調査を継続する。この取り組みは材質や地域性、形態や大きさによる技法の違いと共通性を明確にする上で重要である。これについてはすでにいくつかの調査を終えているが今後さらに複数の調査が不可欠であり、2025年度まで継続する。 4, 善光寺式阿弥陀三尊は、その造立縁起が金銅仏であることもあり、他の仏像に比して突出した数が鋳られている。そのため善光寺式金銅仏に関する調査と研究は「原型としての木像と鋳造仏の関係」について研究を進める上で重要な課題である。各地の善光寺式三尊像の調査を2026年度はじめまで継続する。
上記4項目に関する研究を行い2025年度後半からは本研究全体を総括し成果をまとめる。最終的に調査した鋳造仏の調査報告書を作成するが、「木造原型焼き抜き法」「込め型法」「分割型木造原型内抜き方(仮称)」などの鋳造技法や原型素材の詳細についても可能な限りもりこむものとする。

Report

(1 results)
  • 2023 Annual Research Report
  • Research Products

    (5 results)

All 2024 2023 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ピッコルパッソ『陶芸三書』における ガラスフリット「マルツァコット」の製作術 ―その1:原材料のワイン澱・酒石を中心に―2024

    • Author(s)
      藤﨑悠子、松本隆、飯塚義之2024年3月刊行
    • Journal Title

      沖縄県立芸術大学紀要

      Volume: 32 Pages: 1-18

    • Related Report
      2023 Annual Research Report
    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 千葉県館山市那古寺蔵手観音菩薩立像(重要文化財)の造像法研究-脇手の木造原型焼き抜き実験からー2023

    • Author(s)
      宮﨑甲、松本隆、三枝一将
    • Journal Title

      FUSAS

      Volume: 15

    • Related Report
      2023 Annual Research Report
    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 那古寺銅造手観音菩薩立像脇手の造像法-木造原型焼き抜き鋳型を用いた鋳造実験と検証ー2023

    • Author(s)
      松本隆
    • Journal Title

      アジア鋳造技術史学会研究概要集

      Volume: 16

    • Related Report
      2023 Annual Research Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 那古寺銅造手観音菩薩立像脇手の造像法-木造原型焼き抜き鋳型を用いた鋳造実験と検証ー2023

    • Author(s)
      宮﨑甲、松本隆、三枝一将
    • Organizer
      アジア鋳造技術史学会
    • Related Report
      2023 Annual Research Report
  • [Remarks] ナラメモリ

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Published: 2023-04-18   Modified: 2024-12-25  

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