多文化共生社会の構築に向けた文化政策のパラダイム転換に関する試論
Project/Area Number |
23K25285
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Project/Area Number (Other) |
23H00588 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
閔 鎭京 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80431386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 祐香 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(PD) (30914791)
南田 明美 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (50886687)
楊 チュンティン 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 特任助教 (70893220)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 文化政策 / 在留外国人 / 多文化共生 / コミュニティ / アート / ミュージアム / 文化的権利 / 在日コリアン / ドキュメンタリー演劇 / 市民参加 / 劇場・音楽堂等 / 社会包摂 |
Outline of Research at the Start |
本研究の核心をなす学術的問いは、「芸術文化は多文化共生社会の構築に寄与できるのか」、「もしそうならば、今後の政策的思想の根幹やその要素はどのようなものなのか」である。それらの問いを通じて、日本社会の多文化共生社会の構築に向けた文化政策のパラダイム転換を考察する。すなわち、日本社会の現状を照射しながら、異なる文化的背景を持つ人々(コミュニティ)が文化芸術活動を通じて交わり創造的な解決策を模索しつつ、新しい文化を生み出すための政策理論構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究チームは、静岡文化芸術大学 多文化・多言語教育研究センター主催フォーラム「多文化共生社会に向けて劇場は誰と何ができるのか~静岡編~」(2023年12月19日)、インターカルチュラル・シティ浜松シンポジウム2023「研究者・実践者から聞く!多文化共生の先進地、浜松で考える“アートを活かしたゆる~いまちづくり”-きく・つなぐ・ひらく-」(2023年9月18日)の企画に協力し、研究発表をおこなった。 分担者(南田)は、7月、9月、3月に渡星し「人種調和の日」に関して現地調査を実施、人種調和の意味づけの変遷を追究した。国内調査では、10月と12月に兵庫県小野市にて「ワークショップ!にほんごであそぼう」に関する現地調査を実施し当事業が小野市の多文化社会構築に向けてどのような影響を与えたのかについて考察を深めた。各研究について学会発表等を実施した。 分担者(楊)は、劇場の文化政策を中心に調査し、東京芸術劇場のフィールド調査を行った。本年度は移民や難民が出演する演劇を手がけるドイツ・デュッセルドルフ市立劇場の芸術監督バッサム・ガジを招聘したプログラムが東京芸術劇場で展開された。バッサムへのヒアリングから、ドイツの劇場では多文化の専門家を「ダイバーシティマネージャー」として専門職を置くことがあることが明らかになった。日本の劇場において多文化共生の専門家をどのように取り入れるべきか、具体的な参考事例を得ることができた。 分担者(山口)は、日本における多文化共生とミュージアムの関連に着目し、本年度は在日コリアンが数多く関西地域の機関や文化団体の取り組みを中心に、フィールドワークと関係者への聞き取りを行った。その結果、ミュージアムが有している地域社会の歴史文化における多様性を可視化する機能について考察を深めることが出来たので、次年度は理論的な補強を加えながら具体的な成果発表に移る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究チームは、2023年9月13-15日に在日コリアンが多く居住している京都東9条で共同フィールドワークを行い、現状及び課題を共有した。当初計画では国際フィールド調査地としてオーストラリアを考えていたが、円安により当該年度の予算では渡航が難しいと判断し、最終年度に実施することで検討を進めている。そのため「おおむね順調に進めている」と回答した。 代表者(閔)は、可児市文化創造センターala主催「多文化共生プロジェクト」の参加者を対象にアンケート及びインタビューを行い、参加理由・期待していること等を把握した。分担者(南田)と共同で、「やさしい日本語落語公演」に参加した9つ劇場の職員を対象に、公演実施前・後のアンケート調査を実施し、意識変化を分析した。 分担者(南田)申請当初は保見団地の調査担当であった。だが、2021年から実施している小野市の事例研究を継続した結果、2024年度は4つの論文にまとめられそうである。また、本研究の基盤を成す「多文化共生社会構築」に係る鍵も掴んでいる。シンガポールの現地調査では、国際情勢を鑑みながら多文化共生の意味づけを変えていることが分かった。 分担者(楊)は、共同フィールドワークにおいて京都の文化政策や文化施設(劇場E9を含む)に関するヒアリングを行った。また、東京芸術劇場における「(ドイツ・バッサム氏との協働による)多文化社会における演劇ワークショップ開発」のフィールド調査を2023年11月及び2024年1月に実施した。そのほか、2023年5月は武蔵野市国際交流協会へのヒアリングを実施した。 分担者(山口)は、共同フィールドワークにおいて国内の在日コリアンに関わる歴史展示の状況や、大阪・京都のミュージアムや文化団体の取り組み等、関係者の聞き取りを行った。そして、80年日本の在日コリアンによる博物館設立運動の事例について2件の報告を行った
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Strategy for Future Research Activity |
本研究チームは、6月5日に北海道にて在日コリアンをテーマとした映画『アリラン ラプソディ ~海を越えたハルモニたち~』の上映会を開催し、分担者山口により在日コリアンに関するレクチャーも合わせて実施する予定である。 代表者(閔)は、引き続き日本国内で行われている「多文化共生×アート」の事例を把握するとともに、劇場・音楽堂等の運営財団の在留外国人の採用状況及び募集要綱等の内容を分析し、課題を導き出す予定である。 分担者(南田)は、2024年度前期において、「ワークショップ!にほんごであそぼう」に関するインタビュー分析の結果を、①単身滞在者の生活変化、②家族滞在者にとっての意義、③日本人の意識変容、④演劇の効用にわけ随時公表していく。また、昨年度のシンガポールの調査を基に、日本国際文化学会にて口頭発表を行う(7月)。後期では、「ワークショップ!にほんごであそぼう」のワークショップのビデオ分析とシンガポールでの調査結果を公表する。 分担者(楊)は、東京芸術劇場におけるドイツ・バッサム氏の招聘プログラムについて引き続きフィールド調査を行う。また、都市型劇場とは異なる文脈において設立された文化施設、ウポポイ民族共生象徴空間のフィールド調査を2024年6月に行う。移民、難民ではなく、日本の少数民族に焦点をあてた文化施設の実態を把握し、日本国内の文化施設の違いを比較する一次情報を充実させる。2024年度は東京芸術劇場に関する論文投稿を行う予定である。 分担者(山口)は、国内における在日コリアンの歴史展示をめぐる比較検討のため、2024年6月に国立アイヌ博物館の学芸員に聞き取りをする予定である。また、多様な民族的文化的背景を持つ住民が住む神戸市長田区でコミュニティ・ミュージアムの設立を目指す市民団体関係者と協議を進めており、9月のカルチュラルスタディーズ学会大会で共同のパネル発表を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)