Project/Area Number |
23K25319
|
Project/Area Number (Other) |
23H00622 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
Basic Section 02080:English linguistics-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section02060:Linguistics-related , Basic Section02080:English linguistics-related
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
品川 大輔 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (80513712)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 勝勲 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20770134)
古本 真 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (20796354)
米田 信子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (90352955)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2027: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
|
Keywords | バントゥ諸語 / 系統内類型論 / マイクロバリエーション / パラメター連動 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は,すでに構築している国際共同研究ネットワーク,およびその共有資源であるバントゥ諸語の類型的多様性に関するデータベースを基盤に,バントゥ諸語の共時的な構造的多様性とその背景原理の解明に挑む.詳細な文法素性をパラメターとして類型化することでミクロレベルの構造的なバリエーションを明らかにし,パラメター間の連動関係に着目することでバリエーションの背景にある普遍的傾向に迫る.このようなパラメター駆動型の類型論を方法論的な基盤として,バントゥ諸語の共時的多様性と普遍性に関する実証的な知見の拡張を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「パラメター連動に基づくバントゥ諸語類型論:多様性と普遍性の原理的理解に向けて (The Parameter-driven approach to cross-Bantu typology: Exploring the variation and universals in Bantu languages; PACroBaT)」の目標は,サハラ以南の広大な地域に拡散しながら500を超える言語に分岐していったバントゥ諸語の構造的多様性 (variation) と可変性 (variability) に関する諸相の解明,すなわち「バントゥ諸語は (i) 構造的にどのように多様で,(ii) その多様性は原理的にどのように説明されうるのか」という2つの課題領域に対し,すでに構築している国際共同研究ネットワークおよびその共有資源であるバントゥ諸語の類型的多様性に関するデータベースを基盤に実証的な知見を提供することにある. 研究初年度である今年度においては,まず課題領域(i)に関する活動として,各参加研究者が現地調査による記述資料の拡充を行なった.また課題領域(ii)に関しては,本課題のパイロット的成果に位置付けられる複数の国際共著出版が発信された.とくに顕著なものとして,a) Gibson et al. (2023) Morphosyntactic variation in East African Bantu languages. Berlin: Language Science Press, b) Shinagawa and Marten (2023) A micro-parametric survey on typological covariation related to focus marking strategies: based on the Bantu Morphosyntactic Variation database. Linguistique et langues africaines 9(1) が挙げられる.その他,本研究課題のすべての研究分担者,また海外の研究機関に所属する共同研究者を招聘して,国際研究ワークショップ “Dialogues in Swahili and Bantu linguistics” を開催し,本研究課題に関する各研究者の最新の知見を共有するとともに,個別の分析課題に関する議論の深化を図った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に示したとおり,現地調査の実施,また成果発信という点においては当初の見とおしを上回る進捗状況にあると評価できる.とりわけ2点の国際共著出版は,本研究課題による研究成果をバントゥ諸語研究コミュニティにとどまらない国際的な文脈で発信し得たという点で高く評価してよいと思われる.また上述の国際ワークショップの際には,参加研究者でありバントゥ諸語歴史研究の第一人者であるKoen Boeston教授(ベルギー・ゲント大学)によるトークイベントを京都大学言語学研究室の協力で開催し,本邦の言語研究者一般に向けたアウトリーチ活動も行った. 一方で,とりわけ課題領域-(ii)については,次年度以降より実質的かつ集中的な研究活動の実施が期待される.これに関しては,2025年8月にタンザニア・ダルエスサラームで開催される第10回国際バントゥ諸語学会 (10th International Conference on Bantu languages) において,研究代表者の品川と本課題の研究協力者であるLutz Marten (ロンドン大学SOAS教授) とをconvenorとするワークショップ「バントゥ諸語における情報構造表示ストラテジーの視点を再考する (Revisiting the perspectives on information status marking strategies in Bantu)」が採択されており,そこで本研究課題の成果発信を行うと同時に,ワークショップ参加研究者との間で新たな知見の構築と深化を目指す.またこのタイミングで研究分担者および海外に拠点を置く研究協力者との共同研究セッションを開催,類型的パラメターの質的再検討,またパラメター間の連動関係に関する議論の深化など,より実質的な共同研究の成果構築に向けた議論を行う.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の課題設計,すなわち課題領域-(i)「バントゥ諸語の構造的多様性に関する知見の拡大」,課題領域-(ii)「構造的多様性を説明する類型論的背景原理への接近」からなる研究枠組みのもと,前者に関してはフィールドワークに基づく類型的パラメターに関する個別言語の記述データの収集,後者については,そのように量的に拡張されたデータをもとにしたパラメター間の連動関係の分析とそれにもとづく類型論的一般化を試みる.そしてそのようにして得られた類型論的作業仮説に対して,歴史言語学的,また理論言語学的な知見からの検証をとおして,バントゥ諸語の構造的多様性とその背景原理への接近を試みる.とくに後者については,これまでも国際的な共同研究をとおした成果構築とその発信を行なってきたが,今後も同様の研究方策をもってプロジェクトを推進していく. 具体的な分析対象としての形態統語システム内の個別領域としては,i) 節タイプ,ii) 一致,iii) 結合価,iv) 時制・相・法,v) 構成素配列の5カテゴリーを主要な分析対象として設定している.これまでの進捗としては,これらのうちのi)とv)に関する分析が多く,一方でiii)やiv)にフォーカスを当てた分析は未だ十分に開拓されていない.その意味で,後者の領域をカバーすべく分析範囲を拡張していくことが,プロジェクトお今後の重要な課題のひとつに位置付けられる.また,現地調査にもとづいて新たに収集される資料を含むデータの質的検証,さらには類型的パラメターの質的再検討についても現状では手付かずの状態であり,これらについてもプロジェクトの今後の活動で推進していく必要がある.
|