移住と言語接触を視野に入れた漢語全時代形成史の歴史地理言語学的研究
Project/Area Number |
23K25322
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Project/Area Number (Other) |
23H00625 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
Basic Section 02080:English linguistics-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section02060:Linguistics-related , Basic Section02080:English linguistics-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 光暁 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30176804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 貴子 公立小松大学, 国際文化交流学部, 准教授 (00844416)
鈴木 史己 南山大学, 外国語学部, 准教授 (20803886)
八木 堅二 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (60771102)
野原 将揮 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80728056)
鈴木 博之 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (10593006)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 地理言語学 / 漢語 / シナ・チベット語 / 方言 / 言語史 / 歴史言語学 / 言語地図 / チベット語 / 考古学 / 遺伝学 |
Outline of Research at the Start |
本課題は『シナ・チベット語族歴史言語地図集』第1巻(解説部分は英語・中国語の両方で執筆する)を刊行し,漢語の領域拡張過程における周辺言語との言語接触状況および漢語や周辺言語の移動動態を跡付けることを目的とする。それは最多項目では漢語派Sinitic 1400地点,チベット・ビルマ語派Tibeto-Burman 600地点,計2000地点ほどからなり,約30項目を扱い,通時的にはシナ・チベット共通祖語(5000年以上前)からスタートし,3000年分の文献資料を50時点以上取り込み,時空間に拡がる形成過程を追うものである。遺伝学による人類集団の形成過程の動向および考古学・移民史の知見も参照する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は数字の「一~十」を取り上げ,漢語方言1300地点ほど,チベット語方言300地点ほどの音声形式をすべて区別した言語地図を描画し,音韻変化の鎖ないし方向性をつぶさに帰納した。音節頭子音と母音・末子音に分けて一項目につき2種以上の地図を描画し,更に地点密度の濃い地域では拡大地図も描画した。これにより,20項目ほどの音韻対応の実例が詳細に明らかになり,人類言語の音韻変化の普遍性の一部を供することができることとなった。 文献資料の面では上古音の諸学者による各種再構音を網羅し,時代的には通常・漢代の2段階およびタイ系言語および白語の中の漢字借用語の最古の層も利用することにより漢代および六朝の2段階も追加し,計4段階を少なくとも確保できるようにした。中古期については梵漢対音を主とした対音資料20種くらいにつき1~10の音形を網羅した。元代以降についても対音資料を主として10種ほどの音形を入力した。合計すると当初の目標であった50時点のうち35時点ほどは既に確保できることとなった。 2024年3月には3日間にわたりオンラインによる中国言語歴史地理研究フォーラムを開催し,日本と中国の46名の研究者からなる研究発表による研究交流を行った。本科研費の研究メンバーは上記2項の言語地図・文献言語史にわたる研究成果を系統的に報告し,他の発表者も本科研費のテーマに沿って発表を準備したため,音韻のみならず,語彙・語法,漢蔵語以外の中国の諸言語,移民史と言語史などに渡る総合的な見通しが得られた。 2023年9月には国立民族学博物館におけるGISに関するシンポジウムに参画し,クラ・ダイ語のうち保守的なクラ語・黎語の数詞に関して台湾の南島語に由来することを言語地図で跡づけ,考古学・遺伝学の証拠も使って移住の過程を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は3年後に30項目からなるシナ・チベット語の言語地図集を完成させることを具体的な目標としているが,初年度にその三分の一である10項目分がほぼ出来上がったため。 音韻を中心に詳しく検討することを目指して,本課題の主要メンバーは音韻が専門の者からなり,既に全音形を区別した言語地図を作成済みである。 以上で計画書に書いた計画の一年分は遂行していることになるが,更に語彙・語法および漢語・チベット語以外の中国の諸言語の専門家にも呼びかけて有機的な計画に基づく3日間にわたるオンラインのフォーラムを開催し,遥かに豊かな成果を挙げることができている。また,2023年5月にはベトナムで第5回アジア地理言語学国際会議を開催し,2023年9月には国立民族学博物館でのGISと言語学に関するシンポジウム開催に参画して,共同研究の成果も挙げている。その意味では「当初の計画以上に進展している」を選択してもよいところではあるが,本課題メンバーが直接挙げた成果に基づき「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も2025年3月に日・中の関連研究者も多く参加する中国言語歴史地理研究フォーラムを開催予定であり,それに収斂するよう2024年度の本課題の研究も進めていく。 具体的には穀物類を主とした農業関連の語彙を対象とし,Linguistic Atlas of Asia, Vol. 2に含まれた漢語・シナチベット語部分につき全語形を区別し,枚数制限なしで詳しく描画・解釈を行う。そこに含まれる語根10個ていどにつき文献音韻史資料の音形を35~50時点ていど網羅し,現代諸方言・文献音韻史にわたる音韻変化過程を詳細に跡付ける。これについては文献語彙史の跡づけもできるよう中国の研究者にも協力依頼済みである。 2024年8月には海南島での言語調査も中国のこの分野の専門家とも協力して行うよう計画している。考古学・遺伝学の面での検討も積極的に行う。言語資料の収集も引き続き行う。 また,2023年度に行ったフォーラムの中国語による論文集も2024年度内に編集を終え,電子版・紙版とも公開予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(19 results)
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[Book] 漢字文化事典2023
Author(s)
日本漢字学会 (橋本貴子:仏典音義書,
Total Pages
648
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621308356
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