Factors of expanding distribution during the Satsumon Culture based on exploitation dynamics
Project/Area Number |
23K25386
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Project/Area Number (Other) |
23H00689 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
國木田 大 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (00549561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 克範 北海道大学, 文学研究院, 教授 (00347254)
熊木 俊朗 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20282543)
太田 圭 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (30908520)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60452546)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2027: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 擦文文化 / 炭素・窒素安定同位体分析 / 炭化種実 / 土器圧痕レプリカ分析 / ZooMS |
Outline of Research at the Start |
本研究は、北海道に展開した擦文文化の分布拡大要因を生業動態から解明するものである。先行研究では、交易社会論に基づき、北方産品の獲得がその背景にあったことが議論されているが、本研究では、①土器に付着した炭化物を用いた炭素・窒素同位体分析、②植物種子の土器圧痕レプリカ分析、③ZooMSを用いた微小動物遺存体の同定を主な研究手法として、新たな角度から研究を深化させる。また、研究課題としては、A.日本海側ルートで北上した集団の生業動態、B.道東部に展開した集団の生業動態、C.動植物遺存体から探る生業動態、D.その他の文化集団との比較検討の4つを設定し、擦文文化の生業動態の実態解明に取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北海道に展開した擦文文化の分布拡大要因を生業動態から解明するものである。主な研究手法として、①土器に付着した炭化物を用いた炭素・窒素同位体分析、②植物種子の土器圧痕レプリカ分析、③ZooMSを用いた微小動物遺存体の同定を用いる。研究課題は、A.日本海側ルートで北上した集団の生業動態、B.道東部に展開した集団の生業動態、C.動植物遺存体から探る生業動態、D.その他の文化集団との比較検討の4つを設定している。 2023年度は、元素分析計を導入し、炭素・窒素安定同位体比を測定する環境を整備した。実施計画に沿って、研究課題Aでは、日本海側の豊富遺跡(豊富町)、離島である青苗遺跡(奥尻町)、香深井遺跡(礼文町)等を対象として分析を実施した。青苗遺跡をはじめとした奥尻島の遺跡群では、続縄文文化(前期)、擦文文化(後期)、オホーツク文化(十和田式期と刻文期)の間で非常に類似した傾向があり、食性に大きな違いはなかった。離島に展開した擦文文化は、その他の文化と同じく、高い海洋適応を果たしていた可能性が高い。研究課題Bでは、オホーツク海側のシブノツナイ竪穴住居群(湧別町)、モヨロ貝塚(網走市)等の分析を実施した。また、内陸部の元町2遺跡(美幌町)や、太平洋側の穂香竪穴群、温根沼2遺跡(根室市)等の試料採取を行った。研究課題Cでは、トコロチャシ跡遺跡(北見市)の炭化種実を実見し、一部を年代測定試料として採取した。研究課題Dでは、噴火湾沿岸の小幌洞窟遺跡、礼文華遺跡(豊浦町)、恵山貝塚(函館市)、旧豊平川右岸丘陵地(江別市)等の出土資料の分析を実施し、擦文文化の前段階である続縄文文化期の食性について検討した。今回の結果では、噴火湾北岸と、それ以外の地域で内容物に多少の差がみられたが、引き続きデータを蓄積して考察を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、分析装置の導入および研究施設の環境整備を行うとともに、主要な遺跡について分析データを得ることができた。 研究課題Aでは、奥尻島における研究成果を「日本文化財科学会第40回記念大会」にて発表した。奥尻島の擦文文化は、オホーツク文化のような海産物に強く依存した特徴の持つ点で注目される。離島などへの分布拡大要因として海産物利用は重要な視点となる。 研究課題Bでは、試料採取および一部の遺跡で分析を実施している。オホーツク海側のシブノツナイ竪穴住居群では、土器付着炭化物にC4植物(アワ・キビ・ヒエといった雑穀類)の影響が顕著に確認され、道東に進出した際にも雑穀利用をしていたことが実証できた。研究成果は、遺跡の調査報告会で速報として発表した。 研究課題Cでは、研究分担者や研究協力者と共同で、報告事例を集成している段階であり、今後道外地域も対象に含めて分析を予定している。 研究課題Dでは、道央および道南地域における研究成果を「第23回北アジア調査研究報告会」にて発表した。擦文文化の前段階である続縄文文化の分析を行い、擦文文化の食性がどのように形成されてきたのか検討を行った。 その他に、研究手法や先行研究でのデータ等を、一般概説書で紹介している。また、関連する遺物の基礎的な研究についても論文を公表した。研究成果は順調にあげられているが、研究テーマ全体を通してみると、まだ分析数が不足しているため、継続してデータの蓄積を進める予定である。また、研究成果を関連学会にて発表することができたが、今後考察を深めて、論文投稿に深化させていく必要がある。これらの状況を考慮して、進捗状況の区分は(1)ではなく、(2)の「おおむね順調に進展している」に区分した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は、4つの方策に重点を置き進める予定である。①「研究実施の環境整備」、②「プロジェクトの情報発信」、③「若手育成」、④「国際発表」である。 ①「研究実施の環境整備」では、2023年度に元素分析計を導入し、炭素・窒素安定同位体比を測定する環境を整備することができた。今後、化学処理に必要な機器の整備、分析のルーチン化を進め、データを蓄積する予定である。 ②「プロジェクトの情報発信」では、10月に日本文化財科学会、3月に北アジア調査研究報告会において発表する際に、情報発信に努めた。今後も、学会活動を通じた広報活動や、一般向けの講演等により、研究活動を周知していく予定である。 ③「若手育成」では、次世代の若手を育成する試みとして、試料採取や分析の際に、若手研究者の参画を予定している。研究機期間の後半には、若手研究者に向けたワークショップ等も計画していく。 ④「国際発表」では、研究期間の後半に国際学会での成果報告を予定している。 4つの推進方策を遂行することにより、研究を進展させ、研究活動を充実させる予定である。また、学会発表や論文投稿のみならず、プロジェクトの情報発信や、若手育成を進めることにより、将来的な研究の深化にも貢献していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)