Process of the Transition from Neolithisation to Urbanisation in the Eastern Wing of the Fertile Crescent
Project/Area Number |
23K25389
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Project/Area Number (Other) |
23H00692 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小高 敬寛 金沢大学, GS教育系, 准教授 (70350379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健裕 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (30898309)
早川 裕弌 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
西秋 良宏 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (70256197)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
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Keywords | メソポタミア / 肥沃な三日月地帯 / 新石器化 / 都市化 / 遺跡調査 |
Outline of Research at the Start |
最古の都市化の舞台であるメソポタミア低地は、周囲をとりまく「肥沃な三日月地帯」で新石器化を遂げていた農耕民の進出により、前7千年紀後半から開発された。その発端は広域的な社会再編であったと目されているが、因果関係を実証的に跡付けられる考古資料は希薄である。そこで、「三日月地帯」の東翼においてメソポタミア低地と近接する、イラク・クルディスタン自治区シャフリゾール平原での遺跡発掘調査を通じ、この課題に取り組む。出土資料の実証的研究により、新石器化から都市化への移行プロセスを定点的かつ通時的に追跡することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
当初はシャフリゾール平原に所在する小規模なテル型遺跡、シャイフ・マリフの発掘調査を実施する予定であったが、2023年は臨在するダム湖の水位が高く、遺跡へのアクセスが困難であったため、代わりに近隣にあるシャカル・テペ遺跡の発掘調査を行なった。この遺跡では、以前の調査で裾部から前7千年紀後葉~末と前5千年紀半ばの文化層を検出した遺丘が知られていたが、周辺の踏査と詳細な地形計測を行ない、新たに3つの低い遺丘を伴うことが分かった。既知の遺丘と新発見の遺丘の一つにそれぞれ調査区を設けて発掘した結果、後期新石器時代末頃および後期銅石器時代に比定される文化層の検出に成功し、豊富な考古資料を得ることができた。 採取した炭化物試料の放射性炭素年代測定の結果、後期新石器時代末頃の文化層は前5550~5390年頃、後期銅石器時代の文化層は前3950~3650年頃の堆積であることが分かった。後期新石器時代末頃の当地域は、ハラフ文化がその地理的分布の最東端として到達していたと目されていたが、本遺跡の場合、その示準遺物であるハラフ土器が豊富に出土したものの、中核地とされる北メソポタミアの例と異なる地域色が顕著であった。なかにはハラフ文化圏から外れた東方のイラン南西部、マヒダシュト平原との関連を窺わせる属性もみられ、メソポタミアと「肥沃な三日月地帯」の結節点として、物質文化に多方面からの影響が認められた。これは後期銅石器時代についても同様であり、都市化の進行によってメソポタミア低地からの影響を強く受けつつも、イラン北東部ウルミア湖南岸との関係を示す土器などが散見された。 出土資料の詳細な研究はいまだ途上にあるが、新石器化から都市化へと移り変わった時代の一部を編年的に埋め、シャフリゾール平原における物質文化の内容と地域性を考察できる新規の資料を着実に獲得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に発掘を予定していたシャイフ・マリフ遺跡の調査は実施できなかったが、代わりに調査したシャカル・テペ遺跡において、補って有り余るほどの新資料を得ることに成功した。特に、後期新石器時代末頃の資料の獲得は想定外の成果であり、後期銅石器時代の資料もシャイフ・マリフ遺跡では出土しないことが予想されるため、本研究の射程が広がったといえる。 こうして、発掘によって層位学的・理化学的に年代が裏打ちされた複数の時代にわたる資料を新たに加えたことで、結果的にはシャカル・テペ遺跡だけで前7千年紀後葉~末、前6千年紀半ば、前5千年紀半ば、前4千年紀前葉という、新石器化から都市化へ移行する時代の各時期の資料を揃えることができた。メソポタミア低地と「肥沃な三日月地帯」の結節点において、初期農耕牧畜社会の再編からメソポタミア低地の開発期に至る過程を定点的かつ連続的に追跡できる、一連の考古学的証拠が整いつつあり、本研究はその目的に向かって順調に進捗しているといえる。また、研究分担者らとの研究会を開催するとともに、ここまでの研究成果の公表を予定通り進めており、論文や学会発表として発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施できなかったシャイフ・マリフ遺跡の発掘調査を実施する。研究代表者は既に予備的研究を進め、表面採集遺物の型式学的検討から、平原内でみつかっていない前6千年紀前半にあたる文化層の堆積を推定している。この推定を発掘で得られる層位学的情報の分析や理化学的年代測定によって検証するとともに、更に遡る前7千年紀前半の文化層の有無を確認する。そして、考古学的空白を埋め、物質文化の内容と地域性を把握する。 同時に、遺跡周辺を改めて踏査し、散布遺物と先史遺跡分布の悉皆調査を実施する。特に前7千年紀前半の遺跡は無土器である可能性が否めないので、石器資料の散布に注意を払い、未知の遺跡の発見に努める。 なお、遺跡はダム湖の水位上昇によって侵食が進んでいる。そこで、地形計測や地質調査を実施し、地形変化の激しい遺跡での発掘調査を支援するとともに、遺跡形成時の古地形や古環境の復元に取り組む。 また、シャカル・テペ遺跡出土資料を含めて、遺跡から出土した資料を現地で調査する。とりわけ編年研究に有効な土器資料と石器資料は、型式学的な属性分析を中心に進め、物質文化の内容把握に努める。実測図や写真等の調査記録類は、国内に持ち帰ってデジタル情報化等の整理を行なう。 更に、発掘調査時や出土資料調査時には、必要に応じて年代測定や考古科学的分析用の試料を採取する。これらを現地の文化財保護制度に準ずる範囲で日本に移送し、分析を実施する。特に、編年研究に欠かせない層位学的情報の伴う炭化物試料の放射性炭素年代測定、地域間交流の評価に有効な物資流通の情報を得るための土器薄片試料を用いた胎土分析を重点的に行なう。他にも、フィールド調査の結果に応じて他の考古科学的分析を検討し、適宜実施する。社会再編期における生業や食性の変化に迫るための動植物遺存体や遺物付着物の同位体分析、石器石材の産地分析が候補にあがる。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)
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[Presentation] Excavations at Shakar Tepe2023
Author(s)
T. Odaka, O. Maeda, T. Miki, Y. S. Hayakawa, Y. Itahashi, R. K. Salih, H. Hama Gharib
Organizer
Bestansur Community Event 2023
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