Project/Area Number |
23K25397
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Project/Area Number (Other) |
23H00700 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
矢野 健一 立命館大学, 文学部, 教授 (10351313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 道夫 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (40234512)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,440,000 (Direct Cost: ¥8,800,000、Indirect Cost: ¥2,640,000)
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Keywords | 水中考古学 / 湖底遺跡 / ROV / AUV / ロボット / 葛籠尾崎湖底遺跡 / 3D |
Outline of Research at the Start |
日本の水中考古学の出発点となった琵琶湖の葛籠尾崎湖底遺跡は、縄文時代以降の各時代の土器が数多く漁網で引き揚げられてきたが、水深が深いために湖底の状況が把握できず、土器水没の理由も解明されていない。本研究は、自律型水中ロボット(AUV)による悉皆調査と遠隔操作型水中ロボット(ROV)や水中ドローンによる近接調査を併用して湖底の土器水没地点を広域的に把握し、土器水没状況画像地図を作成し、ロボット調査による水中遺跡調査モデルを作成する。あわせて、地質学的調査や回収された土器の調査、漁師への聞き取り調査や土器付着鉄分の成分分析など、可能な方法を駆使して、遺跡成因を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的であるロボットを用いた水中遺跡調査法のモデルを確立することにある。そのために、次の(1)~(3)の研究項目を実施する予定であったが、予算・日程等を勘案して変更せざるを得ない部分があった。 (1)AUV「ほばりん」を湖底から2mの高度に維持して往復自動航行を繰り返し、葛籠尾崎湖底遺跡東側水域に設定した約6万平米の調査予定区画を2回に分けて悉皆調査し、取得した湖底画像を合成して、調査区画の湖底画像地図を作成する予定であった。2023年12月19-28日に実施した。AUVは東京大学・九州工業大が保管・運用する「TUNA-SAND2」を使用した。調査面積は約1万㎡にとどまった。これは、高度を下げて1.5mに設置したことに加え、機器の不調で調査ができなかった時間が生じたためである。湖底画像は予定の4万点の倍近い約73300点を取得した。ただし、画像の鮮明化処理が終わったものは約1万点で、すみやかに鮮明化処理を進める必要がある。鮮明化処理前の画像はすべて確認しており、土器の可能性のあるものを52点抽出した。これらを鮮明化された画像で再確認する予定である。 (2)土器推定物体が検出された地点にROVや水中ドローンを投入し、土器詳細を確認し、詳細画像を取得する予定であったが、これについては2024・2025年度に実施する。 (3)超音波ドップラー流向流速計(ADCP)による水流測定と、サブボトムプロファイラー(SBP)による湖底土砂堆積構造調査をあわせて実施する予定であったが、前者のみ実施し、後者は2024・2025年度に実施する。 その他、土器に付着している湖成鉄の化学的調査、長浜市湖北町や西浅井町への聞き取り調査による回収地点確認、回収された土器の実測・撮影と3D画像化については、3D画像化について16点完了した。 調査成果の学会発表申し込みも完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土器画像の鮮明化がやや遅れているが、これは2024年5月中に完了する予定。また、ROV・水中ドローンによる土器近接画像を取得すべき地点のリストは完成しており、2025年夏に土器近接画像取得が実現できる見込みである。現在、ボーリング調査の具体的な調査方法と日程について計画中であり、これについても実施の見通しは立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
東京大学・九州工業大学との連携によるAUV航行と画像取得については、初めての共同研究であったが、順調に推移している。今後は、下記の通り、研究を進める予定である。 (1)土器の可能性のある物体に関する近接画像取得のためのROV・水中ドローンに加えて、サブボトムプロファイラーも活用し、種々の方法を試行し、効果的な画像取得を試みて、潜水調査を使用せずに、水深の深い湖底遺跡の調査方法モデルを確立したい。 (2)湖底遺跡成因については、土器に土砂が堆積しないという湖沼学的、地質学的理由を追及する必要がある。湖底のボーリング調査については葛籠尾崎湖底遺跡の範囲内では初めての試みであり、水深の深い地点でのボーリングコア取得は技術的にも高度な技術を必要とする。この点に関しても、業者や手法について調査中であるが、複数の専門家に相談できているので、今年度中に実施したい。 (3)土器の集積については、土器以外の漂流物も土器発見地点に集中するかどうかも、検討の必要がある。この点については、当初の計画書に記載していなかったが、現在、湖底画像で確認できる人工物すべてと木の枝などの漂流物すべてをチェックしている。この分析は、この遺跡では初めての試みであり、遺跡成因に関して新たな知見が得られる可能性が高い。 (4)葛籠尾崎湖底遺跡資料館等所在土器については、湖成鉄付着状況可視化に3D画像化が最適なので、可能な限り、多くの土器の3D画像撮影を進めたい。この画像の最適な公開方法についても検討中である。
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