Research on methods of preserving and saving cultural heritage using geospatial information.
Project/Area Number |
23K25404
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Project/Area Number (Other) |
23H00707 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
Basic Section 03070:Museology-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section03060:Cultural assets study-related , Basic Section03070:Museology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蝦名 裕一 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (70585869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 直史 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70270931)
西村 慎太郎 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (90383546)
松下 正和 神戸大学, 地域連携推進本部, 特命准教授 (70379329)
佐藤 宏之 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50599339)
鈴木 比奈子 専修大学, 文学部, 助教 (70803005)
半田 信之 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 技術員 (60817914)
吉森 和城 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 契約研究員 (70829986)
柴山 明寛 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80455451)
川内 淳史 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80767129)
水井 良暢 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 防災情報研究部門, 特別技術員 (50642435)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2027: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 文化遺産防災マップ / 災害時の文化遺産救済活動 / 広域連携による文化遺産防災 / 文化遺産に対する災害リスクの可視化 / 文化財防災 / 地理空間情報の活用 / 災害時における文化遺産の被災推定 / 文化遺産の事前防災 / 2024年能登半島地震 / 文化遺産 / 地理空間情報 / 事前防災 / オンラインマップ |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では、日本全国に存在する国や自治体が指定する文化財13万件強のほか、歴史的・文化的価値を有する未指定の文化遺産の所在データを収集し、その位置情報をオンラインマップ上に表示、これに地震時の推定震度分布や水害時の浸水想定図などの災害情報を重ね合わせた文化遺産防災マップを構築する。この文化遺産防災マップを活用し、災害時における被災文化遺産の総数や状態を迅速に推定し、被災文化遺産救済の効率化をはかるほか、文化遺産防災マップとハザードマップとの重ね合わせによって文化遺産の災害リスクを可視化し、これを活用した図上訓練などを実施して、災害前の文化遺産防災に向けた広域的な連携体制を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、文化遺産防災マップの構築作業として、国・県指定文化財に加えて、市町村指定文化財の位置情報を収集し、マップへの追加作業を進めるとともに、分担者・協力者を交えた研究会を4回開催し、文化遺産防災マップへの各種災害情報との重ね合わせ作業について協議を進めた。 本研究課題の内容については、10月12日に開催されたICOM-ICMS東京大会2023において報告した。また、本研究課題で構築している文化遺産防災マップのシステムを岩手県立博物館が導入し、2023年度より岩手県版文化遺産防災マップの運用が開始、11月24日にこれを活用し、岩手県内の文化財関係者が参加して災害時を想定した図上訓練が実施され、本研究課題の分担者・協力者もこれに参加し、文化遺産防災マップの実践的な活用について協議した。 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、文化遺産防災マップを活用して、石川県・富山県・新潟県の被災3県における国・県指定文化財の位置情報と、この地震の推定震度分布を重ね合わせ、震度5以上の震動領域に含まれる指定文化財を集計し、1月9日に東北大学災害科学国際研究所が開催した能登半島地震速報会において、約1500件近くの文化財に被災の可能性があるという推定結果を発表した。さらに、能登半島地震における被災3県の市町村指定文化財や個人所蔵の古文書群などの所在情報を加えるとともに、斜面崩壊・堆積分布データや津波の浸水段彩図などを重ね合わせ、今回の災害における文化遺産被害の多様性を指摘し、これらの状況をカルテにまとめ、被災文化財救援に関係する各機関や史料保全ネットワーク、被災地の博物館や大学関係者への情報提供をおこなった。これにより、大規模自然災害の発生に際し、文化遺産防災マップによる迅速な被災文化遺産推定が可能であり、文化遺産をめぐる被災地支援として有効な手段であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
文化遺産防災マップの構築について、2023年段階で国および都道府県指定文化財に35000件に加え、研究分担者がそれぞれ東北地方、関東地方、中部地方、関西地方、四国・九州地方における市町村指定文化財の所在情報を収集し、17都道府県分の所在データを調査し、約30000件のデータを追加した。また、能登半島地震に対応し、同地域の被災地に存在する未指定の古文書群約800件の情報を追加で登録した。 文化遺産防災マップの社会実装としては、2023年より岩手県において本研究で構築した文化遺産防災マップを実際に活用し、それぞれの文化遺産に対する災害リスクを把握し、災害発生時の地域間連携について議論するなど、災害発生前における文化遺産防災体制の構築に寄与することができている。 実際の災害発生に対応した文化遺産防災マップの活用について、2024年1月に発生した能登半島地震に対応して、被災文化遺産の数やその多様性について、迅速に推定、これを公表することができた。これにより、被災地に対する被災文化遺産救済に向けた情報支援が実施できたとともに、その推定結果から被災地の文化遺産が多数被災していること、多様な被災状況にあることを公表した事で、その推定結果について新聞などのメディアに取り上げられ、これを通して被災地の文化遺産に対する保全の必要性や廃棄の抑止などを提言することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降の本研究課題の推進について、第一には現在構築中の文化遺産防災マップの機能拡充をさらに進める。現状の文化遺産防災マップについて、特に未調査の市町村指定文化財について所在情報の収集作業を続け、これに加えて未指定の歴史資料群や建造物といった文化遺産の情報も適宜追加し、より多くの文化遺産の所在情報の登録作業を進めることにする。さらに、文化遺産防災マップの情報が悪用されないよう、IDやパスワード制による管理の徹底や、より多人数の使用を想定したマップ機能の利便性の向上に取り組む。 第二に、実際の自然災害時における文化遺産防災マップの活用方法については、特に2024年に発生した能登半島地震を事例に、文化遺産防災マップから推定した文化遺産の被災状況と、実際の被災地における文化遺産の被災状況を照らし合わせ、どれだけの確度をもった情報が提供できたか、また現在進行中の被災文化遺産のレスキュー活動にどのように活用できるかなど、実際の災害発生時における文化遺産防災マップの活用についての課題を明らかとする。 第三に、文化遺産防災マップを活用することによる災害発生前の文化遺産防災にむけた広域的連携の構築について、2023年に開始した岩手県版文化遺産防災マップの運用と図上訓練の例から、同様の活動を他地域でも実施することを試みる。これについては、現在、各地の自治体などから公表される自然災害のハザードマップの情報を、文化遺産防災マップに登録し、文化遺産が直面する自然災害リスクを可視化する作業を進め、特に南海トラフ巨大地震など、将来の災害発生が確実視されている地域に主眼をおき、文化遺産防災マップを活用した災害発生前の文化遺産防災体制の構築を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)