Project/Area Number |
23K25424
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Project/Area Number (Other) |
23H00727 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高岡 貞夫 専修大学, 文学部, 教授 (90260786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苅谷 愛彦 専修大学, 文学部, 教授 (70323433)
泉山 茂之 信州大学, 先鋭領域融合研究群山岳科学研究拠点, 特任教授 (60432176)
東城 幸治 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)
竹中 將起 信州大学, 理学部, 特任助教 (00854465)
百原 新 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (00250150)
三宅 尚 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (60294823)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,670,000 (Direct Cost: ¥5,900,000、Indirect Cost: ¥1,770,000)
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Keywords | ジオ多様性 / 生物多様性 / 水生動物 / 分子系統地理学 / 古生態学 / ジオダイバーシティ / 高山地域 / 野生動物 / 進化生態学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は自然地理学と生物学の知見と手法を組み合わせて、水生動物の遺伝子レベルにおける生物多様性とジオ多様性(非生物的自然の多様性)との関係を流域スケールで明らかにすることを目的としている。長野県梓川の上流域から乗鞍岳にかけては、地殻変動、火山活動、斜面変動などで地形の変化の激しい地域であった。また、気候変化に伴い植生が変化を遂げてきた地域である。このような地域において最終氷期の最盛期以降の気候変化や植生変化のなかで、どのように生物多様性が創出されてきたのかを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本地域の山地性池沼の分布の特性について、生物分散の観点から把握するため、標高データとリモートセンシングによるGIS解析を行った。溶岩流上の凹地に形成された乗鞍高原地区の池と上高地地区の主稜線付近の線状凹地や圏谷底に形成された池とでは、池間の距離、標高差、起伏量などに違いが認められた。地形は池を利用する水生動物の移動、遺伝子の交流に影響を与える要因の大小に地域差を作り出していると推測される。 水生動物のうち止水性の環境を利用する両生類については、試料採取場所の選定のために文献調査と現地での予察調査を実施した。止水性両生類の産卵時期の情報を論文、SNS情報、現地調査により収集し、産卵時期の時空間的な分布を把握した。その結果、中部日本における産卵時期の季節の進行と標高との関係や、孵化までの期間の標高による違い、年による産卵時期の変化が把握された。 上高地地区、蝶ヶ岳南方の線状凹地内に形成された池沼の 汀線付近で表層地質の採取を行い、長さ60 cm のコアを得た。 コアの多くの部分が腐植に乏しい岩屑層であったが、地表付近と深度50~60 cm はやや腐植に富んでおり、深度40~50 cm 部分から得た試料の14C 年代は5901~5730 cal y BP で あった。池沼の汀線付近では完新世半ばに植生が存在して線状凹地の埋積物に腐植を供給していたが、その後、植生が一時衰退して斜面上の岩屑の移動が活発化した可能性がある。 同じく上高地地区の西穂高岳南方の2か所の線状凹地内の池の汀線付近から得た試料について、試料中の花粉化石の分析を行った。それぞれ4260 cal yr BP以降および3500 cal yr BP以降の出現花粉の変遷が明らかにされたが、これら2か所は距離が大きく離れていないにもかかわらず出現花粉に違いが認められ、花粉の堆積過程も含めて、今後の検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地形発達史や古植生を明らかにするための掘削による地質試料採取に関しては概ね計画通りに進行しているといえるが、得られた試料の中には予想外の年代のものが含まれていた。このことを踏まえて、今後の調査計画を考えていきたい。地質試料中の植物化石の分析も、予定通り進められている。また、生物試料の採取については、試料採取場所の選定がほぼ終わり、本格的な試料採取に移行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて調査を進めていく。上高地地区の地質試料の採取については、主要な場所での採取を完了できたので、今後は乗鞍高原地区など周辺地域での試料採取を進めていく。標高の異なる複数の池沼を対象にして、掘削調査を実施する。生物試料採取については、上高地地区および乗鞍地区を含む周辺地区を対象として、特に止水性の両生類に焦点を当てて採取調査を進めていく。
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