Challenges of the Paris Agreement Exposed by the Energy Shift by External Factors: The Case of Renewable Energy Policies in Japan, the U.S., and the EU
Project/Area Number |
23K25467
|
Project/Area Number (Other) |
23H00770 (2023)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
辻 雄一郎 明治大学, 法学部, 専任教授 (00544892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 亨 明治大学, 文学部, 専任准教授 (60706943)
佐藤 智恵 明治大学, 法学部, 専任教授 (80611904)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
Budget Amount *help |
¥15,600,000 (Direct Cost: ¥12,000,000、Indirect Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
|
Keywords | 気候変動 / パリ協定 / ウクライナ / 適応 / 災害 / EU法 / 欧州グリーンディール / 気候変動法 / エネルギー法 / 主要な問題 / エネルギーシフト / 再エネ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ紛争等の外因により、国家がエネルギー安全保障を目的として石炭火力発電や原子力発電の再開を決める等、エネルギーシフトが見られる中、パリ協定に基づく各国・地域の脱炭素に向けた実施状況(日・米・EUの再生可能エネルギー推進政策・法)を明らかにすることにより、パリ協定の課題を法及び法社会学の観点から明らかにすることである。本研究の学術的問いは、外因によるエネルギーシフトが明らかにするパリ協定の課題は、既存の法理論・原則(予防原則・調整理論・国家の国際義務履行等)で解決できるのか、解決できない場合、どのような法理論・法政策が必要とされるのかである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
EU法及び国際法に関し、2023年度は、(1)2021年以降にCOVID19(外因)による経済的な打撃から回復する景気刺激策として計画された再エネの促進に係るEUの法政策についてパリ協定との整合性、コロナ前の法政策との相違を明らかにする。(2) 2022年のロシアのウクライナ侵攻(外因)をきっかけとしたEUのエネルギーシフト政策を調査し、外因によるエネルギー不足が懸念される中、パリ協定を踏まえた脱炭素法・政策がどのように施行されているのか検証。EU等の公式HP上で公開されている政策文書、EU法・判例データベース等を用い、再エネ導入促進を含むEUの気候変動法及びエネルギー法、EUの法政策とパリ協定との整合性に関連する国際法の法解釈・最新の学説を把握するため、マックスプランク比較公法・国際法研究所に出張。2つの外因をEUは経済社会の持続可能な成長と気候変動対策促進のための機会ととらえ、パリ協定遵守に変更はないことが明らかになった。 アメリカ法に関し、West Virginia v. EPA, 597 U.S. 697 (2022)やNational Pork Producers Council v. Ross, 598 U.S. 356 (2023)を素材にエネルギーシフトや州の再生可能エネルギーの取組を検討。 2023年度における法社会学的なアプローチ的研究に関し、日本における再生エネルギー施設導入にともなう地域社会への影響についての実地調査。日本では陸上風力・洋上風力の両方の再生エネルギー技術の導入の多くで先行する国外の会社との協定のもとに技術職員を受入れ、設備工事を行う地域があるが、地域住民と技術者との日常レベルでの交流には生活支援をはじめとしたソフトの面で多くの調整が必要なものの、技術導入偏重な状況に陥ると福利厚生が軽視されがちになる問題点が見られ、分析に取組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EU法及び国際法に関して、2021年以降にCOVID19(外因)による経済的な打撃から回復する景気刺激対策として計画された再エネ導入の促進に係るEUの法及び政策についてパリ協定との整合性、コロナ前のEUの法及び政策との相違を明らかにし、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻(外因)をきっかけとしたEUのエネルギーシフト政策の内容(化石燃料による発電再開の有無、原子力発電の位置づけ、再エネ推進政策の動向)を調査し、外因によるエネルギー不足が懸念される厳しい状況で、EUによってパリ協定を踏まえた脱炭素法・政策がどのように施行されているのか検証することができた。 アメリカ法に関して、2022年に合衆国最高裁は化石燃料から再生可能エネルギーにシフトするための行政規則が大気清浄法に抵触すると判断し、2023年には他州に対する影響をもって、それ自体が違憲とする法理を否定した。行政庁の専門性を裁判所の尊重する手法についてLoper Bright Enterprises v. Raimondoが合衆国最高裁で審理されている。これらは再エネを促進する規制を検討する格好の素材である。 法社会学に関して、再エネ新技術の導入に際し、地域社会が推進にまわる場合でも拒否感を示すいずれの場合でも、準備段階から建設段階において、地域住民とのコンスタントな調整を怠ると、住民間で否定的な言説が形づくられることとなり、そのような言説は必ずしも現実を反映しているものではないものの、修正が困難になり、技術導入後には住民との連携が得られず、ハコモノ的になりかねない可能性を常に有している。地域住民も漁業の不調や気候変動の影響を直に経験し、否定しないものの、技術導入については否定的になるという、矛盾を抱えている。エネルギーシフトに伴う地域社会の言説形成に関し、2024年度には論文の掲載と国際シンポジウムの開催を調整中。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究の第2段階として、①パリ協定の課題を法(日・米・EU・国際法)及び法社会学(法政策)の観点から明らかにし、②パリ協定の課題は既存の法理論・原則(予防原則・衡平原則・持続可能な開発・エネルギージャスティス・調整理論・国家の国際義務履行・共通だが差異ある責任原則等)で解決できるのか、法理論的・実証的に検討することを目標とする。 さらに、EU法・国際法の観点から、前年度の研究成果を踏まえ、EUの権限概念及び連帯(概念)に関するEU法理論の観点からの再検証が必要となったため、両概念の法理論的な分析及び関連する学説の動向調査を追加的に行う。 アメリカ法および法社会学では、2023年度の研究を国内・国際会議で発表するようにすすめていく。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)