Project/Area Number |
23K25575
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Project/Area Number (Other) |
23H00878 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
Basic Section 80030:Gender studies-related
Sections That Are Subject to Joint Review: Basic Section80030:Gender studies-related , Basic Section08010:Sociology-related
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 祥子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (00961947)
廣川 和花 専修大学, 文学部, 教授 (10513096)
山田 富秋 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (30166722)
松岡 弘之 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (30877808)
蘭 由岐子 追手門学院大学, 名誉教授 (50268827)
桑畑 洋一郎 山口大学, 人文学部, 准教授 (50532686)
田中 キャサリン 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (50740049)
坂田 勝彦 群馬大学, 情報学部, 教授 (60582012)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
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Keywords | 隔離と療養 / 全患協 / ハンセン病療養所職員 / 入園者自治会 / 国立療養所行政 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、この間進展を遂げてきた社会学・歴史学・文学の知見を総合し、ハンセン病の新たな歴史像とオルタナティブな説明モデルの構築をめざす。ハンセン病国賠訴訟熊本地裁判決(2001年)以降、ハンセン病は感染症患者への最も深刻な人権侵害とみなされ、患者は「隔離される客体」、ハンセン病療養所は「患者を隔離・殲滅する」空間と定義される傾向が顕著となった。しかし、裁判という法的利害の文脈で定義されたこの説明モデルは、同訴訟から20年を経た現在、学術的検証が不可欠な段階にある。本研究がめざす説明モデルはハンセン病者が「療養する主体」として模索し続けた個人的・組織的実践や思想を掘り起こすことにより構築される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、この間進展を遂げてきた社会学・歴史学・文学の知見を総合し、ハンセン病の新たな歴史像とオルタナティブな説明モデルの構築を目標としている。具体的には、①近現代ハンセン病関連法制とその社会的実態、②ハンセン病療養所の自治会活動、③戦後の全患協運動、④精神疾患患者の処遇との比較、⑤療養所職員の思想と実践などを主たる題材として、各分野から横断的に研究をすすめている。 本年度はまず④に関連して沖縄県で活動する精神保健福祉士をゲストに招き、精神病における療養のあり方を検討・議論した。スティグマ性、疾患の慢性的経過を伴う点で、ハンセン病は精神病と類似しており、長期療養や「施設依存」にみられる両疾患の課題の比較検討を行うことができた。 ①②⑤の論点にかかわる本年度の成果として、山田論文では沖縄・宮古での診療所を拠点としたオルタナティブな療養形態が病の構造的スティグマを克服する事例が、蘭報告では1931年法下での在宅療養の実態が示されるなど、ハンセン病療養所外での多様な「療養」の現実が明らかにされた。廣川報告ではそうした状況と地続きの療養所での「療養」を、病者-家族関係を軸に考察した。また田中報告はハンセン病文学の中に現出した帝国日本の諸相を、松岡論文は本研究の基礎をなす療養所内の記録の保存と活用に関する諸課題を考察した。③に関しては、坂田論文が「療養」をめぐる全患協の運動戦略を検討した。これらの成果を通して、本研究がかかげる「療養」の視座の有効性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の到達目標であった、問題関心の共有、各テーマに関する基礎的な調査の実施、および研究報告会における今後の研究推進の方針の検討・協議等は、滞りなく行われたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、各自が調査等を継続しつつ、前年度の研究活動の過程で収集した情報や資料等の知見にもとづき、個別事例の分析と蓄積を進める。具体的には、「療養する主体」の構築において療養所内の文化活動や信仰が果たした役割、各療養所自治会や全患協による患者運動の実態、「隔離」と「療養」をめぐって療養所内外で形成された思想、療養所職員の思想や実践などについて、それぞれ検討を行う。また、「隔離」と「療養」の法制史的検討、他疾患・障害施策との比較検討など、「療養する主体」を規定する構造的条件についても引き続き分析を深める。その上で、本研究がめざす「オルタナティブなハンセン病の歴史像」と「説明モデル」の構築を追究してゆく。 これらの研究活動を、各メンバーが個別に推進すると同時に、クローズドな研究報告会などを開催して研究グループ内での分析や知見の共有をはかる。また本研究の中間報告として、積極的に学会報告や論文刊行などを行い、フィードバックを得られるようつとめる。
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