Project/Area Number |
23K25795
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Project/Area Number (Other) |
23H01098 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 和博 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (50362447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 望 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, その他 (30795779)
中島 陽一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (50700209)
北村 光 京都大学, 理学研究科, 助教 (60335297)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | 液体金属 / 電子状態 / 非弾性散乱 / 電子ガス / 金属非金属転移 / 気液相転移 / X線非弾性散乱 |
Outline of Research at the Start |
周期表上の大半を占める金属元素も常温常圧を超える世界ではその分類の意味を失う。液体から気体への相転移により、金属元素は絶縁体へと変化する。金属の凝集状態を大きく変化させていくとき、金属中の自由電子がどのようにして自由でなくなり、非金属化に至るのか、本課題は、金属元素を対象に、その金属状態の安定性・不安定性の鍵となる、金属中の電子ガスの動的挙動を明らかにする。得られる知見は、電子ガス、強相関物質、プラズマ、流体金属水素、溶融・蒸発時の金属状態の精密把握といった学術的にも産業的にも重要な問題とも関連し、有用な知見を提供し得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,主に単体金属の液体状態に着目し,その熱力学条件を制御して,その平均密度を変化させ,物質の凝集状態と金属・非金属性との対応関係に関する精密な知見を得ることを目指す。実験手法として,放射光非弾性X線散乱(IXS)を用い,金属の凝集力,金属状態の安定性・不安定性の鍵となる電子ダイナミクスを明らかにすることを目的とする。特に,金属結合を特徴付ける金属内電子ガスの動的挙動に着目し,様々な熱力学的条件下におけるその挙動を,IXS測定による観測により把握する。研究対象として,主に,電子ガスモデルで良く記述されるアルカリ金属液体(単純金属液体),さらに,液体シリコンのように金属性でありながら共有結合性を示す非単純金属液体を対象とする。価電子密度ゆらぎのスペクトル関数(動的構造因子)を高精度に測定することにより,液体金属中の電子の動的挙動を明らかにする。当該年度は,主として,反応性の高いアルカリ金属液体試料の取り扱い環境の構築を進め,希ガス雰囲気下において,非弾性X線散乱試料容器の狭小試料空間に液体試料を圧入する環境の構築を行った。試料容器は従来の材質を用いたものであるが,X線の透過方向に200ミクロン程度の狭小試料空間内にグローブボックス中で試料を導入する必要がある。高純度アルゴンガス雰囲気グローブボックス内に小型の内熱式真空チャンバーを設置し,アルカリ金属液体試料を試料空間に導入することに成功した。一方,液体リチウムにおける遮蔽密度応答の実時間ダイナミクスの可視化,液体シリコン中のプラズマ振動解析,融点近傍における液体ルビジウムの原子ダイナミクス(音響モード)の高分解能非弾性X線散乱実験を行い,分散関係の精密決定を行った。今後の高温条件下における測定を実現するために必要な実験環境を構築しつつ,データ解析手法についても進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,目的を達成するために,高温条件下における液体金属試料を安定に保持することの可能な試料容器の開発や,反応性の高い試料を試料容器に導入する技術の構築,さらには良好な非弾性X線散乱スペクトルを得るための散乱用チャンバーの高性能化を行うことを計画している。当該年度は,試料容器は従来型を使用しつつ,高純度アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内でアルカリ金属試料を試料容器内の狭小空間に導入する環境を構築した。今後,さらに試料容器の開発を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
高温下で安定に試料を保持することの可能な試料容器を開発する。試料容器は,これまで申請者が開発してきた金属加工技術を土台に,アルカリ金属との反応性の低い高融点の遷移金属を材質として用いる。遷移金属がX線窓となるため,可能な限りその厚みを薄膜化する必要がある。薄膜化は機械的強度を下げることから,その両立のために材質の組織を制御して,高強度化することも検討する。さらに,試料そのものが金属であり,X線の吸収も大きく,非弾性X線散乱の散乱断面積も小さいため,長時間の測定が必要となる。高温環境下で長時間の測定を実現可能な試料加熱機構を開発する。試料容器には,さらに反応性の高いアルカリ金属を導入する必要がある。試料空間は,X線による吸収をなるべく低減し,なおかつ散乱強度が高くなるように最適化するが,このことにより試料空間は厚み100ミクロン程度に狭小化する。新たな試料容器についても濡れ性が従来のものと異なるため,導入条件に影響することが予想される。この狭小空間へ,不活性ガス雰囲気中で試料を導入する機構を構築する。並行して,非弾性X線散乱スペクトルからより多くの情報を抽出するためのデータ解析手法の開発を進める。
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