Competing charge, spin, and molecular lattice interactions lead to quantum glass phases in strongly correlated pi-electron systems
Project/Area Number |
23K25811
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Project/Area Number (Other) |
23H01114 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20241565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 主任研究員 (30376652)
中 惇 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (60708527)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
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Keywords | 強相関パイ電子 / 量子液体 / 赤外分光 / 中性子散乱 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,BEDT-TTF分子系分子性導体が特徴的に有する2次元ダイマー三角格子強相関パイ電子系の電荷/スピン自由度と分子格子構造自由度の相関と競合が生み出す新しい量子液体・グラス状態,すなわち,高次ダイマー構造(テトラマー化)が誘起するバレンスボンド形成を伴った量子的グラス相の発見と解明を目的とする.量子グラス・液体状態の起源として分子格子構造の高次化(テトラマー)の重要性を明確にし,量子グラス・液体相発現への新ルートを提案する.本研究の進展により強相関パイ電子系の量子サイエンスの発展・深化に加えて,液体・グラス科学への貢献・展開が期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,BEDT-TTF系分子性導体を対象として有機物質に特徴的な分子格子構造と強相関パイ電子状態の相関・競合により誘起されるスピン/電荷ゆらぎと格子系ランダムネス効果により増強された新しい量子液体・ガラス創出,特に高次ダイマー構造化-バレンスボンド形成によるテトラマー化-との相関解明,およびその量子的グラス相の探索・解明を行うことである.この目的達成のために,熱電-ノイズ-誘電-中性子散乱-赤外分光手法を複数駆使したスピン/電荷/格子ダイナミクスの観測による量子グラス状態の検出・発見を目指した実験,理論研究を展開する.特に,中性子施設における中性子散乱実験および多面的理論検討を国際的な共同研究により実施するものである. 本年度は,特に次の項目を実施した. [1]分子性導体単結晶育成と物質パラメータ制御・基本物性評価を協力研究者である米山教授(山梨大学)と行い,中性子散乱実験などに必要となる単結晶試料の育成と評価を行った. [2]中性子散乱実験によるスピン/電荷相関の観測:電荷/スピン自由度と格子系が結合したダイナミクス観測のために中性子散乱実験を欧州熱中性子実験施設(ILL(仏)等)において行うための利用申請と実験準備を研究分担者(松浦)と行い,2023年度末に現地おいて対面での実験を実施した. [3]実験結果の統合,とりまとめと物理モデル化のための理論検討:研究分担者(中)が中心となり代表者,分担者と共に実験結果の統合的な解析を行う.電荷ダイナミクス情報を相図上にマップし,臨界性やゆらぎ,量子液体・グラス相出現とランダムネス効果の相関性を明らかにして,理論モデルの構築を目指した議論を複数回行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画当初は,ヨーロッパ中性子実験施設(ラウエ-ランジュバン研究所,フランス グルノーブル)における実験の申請と試料準備を行い,実験は2024年度を予定していたが,申請,採択,準備が順調に進んだため2023年度末に現地で対面実験を行うことができた.現在,これらの実験結果の解析を研究分担者と進めている.このため,計画全体としておおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度末に実施した量子スピン液体候補物質であるk-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3の中性子非弾性散乱実験で得られた格子フォノンに関するデータの解析を進めることで,パイ電子スピン/電荷揺らぎによる量子ガラス的状態の検証を行う. この物質に対してエックス線照射によるランダムネスを導入することで誘起されるガラス状態からリラクサー的クラスター状態への変遷をとらえるために,低周波数ノイズ-低周波数誘電測定を行う. 研究計画においては中性子強度が弱いため予定していなかった日本の熱中性子実験施設JRR-3(茨城県東海)での中性子実験実施について共同研究者,施設担当者との議論の結果,実験可能性が予測できた.試料準備と合わせて十分な予備検討を行い,これまで未観測であったBEDT-TTF系有機物質の反強磁性モット絶縁体状態における磁気散乱の観測を行う.その観測成功後に,次の段階としてエックス線照射によるランダムネス導入で誘起されるスピン液体状態への変遷を中性子磁気散乱測定による解明調査を計画する.
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)