Project/Area Number |
23K25817
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Project/Area Number (Other) |
23H01120 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳永 祐介 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (50613387)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,630,000 (Direct Cost: ¥15,100,000、Indirect Cost: ¥4,530,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥16,770,000 (Direct Cost: ¥12,900,000、Indirect Cost: ¥3,870,000)
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Keywords | 多極子強秩序 / 電気磁気効果 / マルチフェロイクス / 交差相関物性 / キラリティ |
Outline of Research at the Start |
本研究ではこれまでに研究例の多い電気双極子・磁気双極子の組み合わせ以外の複数の多極子強秩序が混在する絶縁体の系を開拓する。そのうえで、電気磁気効果などの間接的なバルク測定に加えて、電気磁気光学効果や電場誘起旋光性・電場誘起ファラデー効果などの線形光学効果を相補的に用いた各多極子強秩序ドメインの直接観察・外場駆動を行うことで、多極子自由度間の相関・結合を実験的に明らかにする。これらを通じて、新しい交差相関物性応答を開拓することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の多極子強秩序が共存する物質の開拓並びに、多極子自由度間の結合状態の解明と、これを通した新しい交差相関物性の実現を目指した。 令和5年度は複数の多極子強秩序の共存が期待されるいくつかの物質を対象に、単結晶合成と多極子強秩序に由来する物性の研究に取り組んだ。その結晶・磁気構造から強電気トロイダル双極子(フェロアキシャル)秩序、強磁気単極子秩序、強磁気トロイダル双極子秩序など、複数の多極子強秩序の共存が期待される共線反強磁性体PbMn2Ni6Te3O18については、反強磁性秩序温度以下で強磁気トロイダル双極子秩序や強磁気単極子秩序に対応する線形電気磁気効果のテンソル成分の検出に成功した。また、光学測定を通してこの物質が強磁気トロイダル双極子秩序に由来する非相反的方向二色性を示すことを明らかにし、これを用いて強磁気トロイダル双極子ドメインを可視化することに成功した。さらに、試料冷却時の電場・磁場印可の条件を変えたり、光の入射方向を入れ替えたりしつつドメイン観察を行うことで、この物質における磁気単極子・磁気トロイダル双極子・電気トロイダル双極子という、3つの多極子強秩序ドメイン間の結合の様子を実験的に明らかにした。また、外場による強磁気単極子秩序の位相反転を介して強磁気トロイダル双極子ドメインを反転するという交差相関物性応答の観測に成功した。 フェロアキシャル秩序を持ち、磁気秩序由来の強誘電性も示す三方晶Mn3WO6については、磁気秩序に伴い、c軸成分のみならず、結晶の3回対称性を破ってc面内の電気分極成分が現れることを実験的に明らかにした。加えて、中性子回折実験から、この物質がこれまで類縁のMn3TeO6で報告されていたc軸方向に伝搬するらせん磁気構造とは異なり、c軸に垂直な磁気伝搬ベクトルを持つ格子不整合な磁気変調構造を取ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで複合多極子強秩序状態の実現の舞台として注目されてこなかった共線反強磁性体PbMn2Ni6Te3O18において、非相反的方向二色性により強磁気トロイダル双極子ドメインの観測に成功し、これを用いて強磁気トロイダル双極子ドメインと他の多極子強秩序ドメインとの間の結合の様子を実験的に明らかにするなど、当初の目的に沿って研究は順調に推移しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、複数の多極子強秩序の共存が確認できたPbMn2Ni6Te3O18やMn3WO6の類縁物質を中心としつつも、その他の候補物質についても探索・合成の幅を広げる。これらの物質に対して、X線回折による構造解析ならびに、前年度に新たに導入した回転プローブを組み込んだ電気磁気効果の測定系も用いて、複数の多極子強秩序の共存と多極子自由度間の結合の様子について明らかにしてゆく。また、多極子強秩序に伴い活性となる電界誘起ファラデー効果、電界誘起旋光性などの光学効果を、前年度に導入したsCMOSカメラを用いた電界変調差像法により検出することで、磁気トロイダル双極子以外の多極子強秩序ドメインについても同時に可視化できるようにし、多極子自由度間の結合の様子をより直接的に明らかにすることを目指す。また、異なる多極子強秩序間の結合を利用した、新しい多極子強秩序ドメインの検出方法の実証にも取り組む。
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