Project/Area Number |
23K25824
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Project/Area Number (Other) |
23H01127 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
細越 裕子 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50290903)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | 量子スピン系 / 整数スピン / 有機磁性体 / 磁気相互作用 / ポリラジカル |
Outline of Research at the Start |
物質の物性は電子の集団運動によってもたらされ、電子の本質は量子力学的特性にある。複数の状態の重ね合わせとして記述される量子状態の理解は、物性科学の根幹をなすものである。本研究は、有機ラジカル磁性体が、電子スピンの量子効果を顕著に示すこと、分子設計性を有することを利用して、新しい量子磁気状態を創出することを目指している。整数スピン系の量子磁気状態の実験的解明、および、半整数スピンと整数スピンとの中間状態の学理探求を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
分子内に2つのラジカル基を含む有機ビラジカルの合成を行った。分子内に2つのS=1/2を配置し、このスピン間に働く分子内磁気相互作用が強磁性的であるとき、基底状態はS=1となる。ニトロキシド系安定ラジカル基を用いて、π共役系で連結する際の相対配置を変化させた一連のビラジカルを合成した。2つのラジカル基を連結する際、π共役系の長さのみならず、π共役系の形状や、π共役平面の二面角を変化させた。こうしたπ共役系の変化によって、分子内磁気相互作用の符号と大きさとを制御することに成功した。 合成した物質について磁化測定を行い、分子内磁気相互作用を決定した。分子軌道計算を行い、磁気相互作用の計算値と実験値とを比較し、計算予測の有効性を評価した。分子軌道計算は、分子内磁気相互作用を過大評価する傾向があるものの、分子骨格との間の相関を定性的に再現できることを明らかにした。 単結晶試料を育成し、単結晶構造解析と磁化測定を行った。結晶中での分子間配置と予想される磁気ネットワーク、磁気測定の結果から予測される磁気ネットワークから、有意な分子間磁気相互作用を発現する分子間配置を抽出した。分子骨格と分子間磁気ネットワーク形成の相関について知見を得ることができた。原子置換による磁気相互作用の制御を試みている。 合成した新物質が、一次元あるいは二次元磁気格子を形成することを見いだし、低温磁場中における物性を評価した。鎖間、面間相互作用の存在について考察した。磁場中で出現する新しい磁気相を観測し、磁気的な競合について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子内に2つのS=1/2ラジカル基を含む有機ビラジカルの合成を行い、分子内のS=1/2間に強磁性相互作用が働く、S=1種の合成に成功した。2つのラジカル基を連結するπ共役系によって、分子内磁気相互作用を制御することに成功した。磁化測定を行い、分子内磁気相互作用を決定し、分子軌道計算による磁気相互作用の見積もりの有効性を実証した。また、分子骨格と分子間配置および分子間磁気相互作用との相関について、分類した。以上の結果により、今後の分子設計の糸口を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた結果を元に、有機磁性体の新物質合成を行う。強い分子内強磁性相互作用によるS=1ビラジカル、および分子間相互作用と同程度の大きさの分子内強磁性相互作用を持つ、基底三重項ビラジカルの合成を行う。結晶中で形成される磁気ネットワークと磁気状態について、明らかにする。温度、磁場、圧力などの外場応答性について明らかにし、次近接相互作用や磁気的な競合が磁気状態に与える影響についても考察する。
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