Project/Area Number |
23K25829
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Project/Area Number (Other) |
23H01132 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
徳永 陽 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, リーダー (00354902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 芳範 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
川崎 郁斗 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究副主幹 (90552307)
角田 一樹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (20882369)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥12,870,000 (Direct Cost: ¥9,900,000、Indirect Cost: ¥2,970,000)
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Keywords | 重い電子系 / トポロジカル量子相 / 複合自由度 / 電子構造 / トポロジカル物性 / 高純度単結晶 / NMR / 光電子分光 |
Outline of Research at the Start |
本研究では「重い電子の運動量空間のトポロジー」をキーワードに, 世界最高水準の高純度単結晶育成技術と, 最先端の光電子分光及びNMR実験技術, さらに第一原理計算も組み合わせながら, 新たなトポロジカル量子相の探索と電子構造の解明を行う. 重い電子系の持つ複合自由度を磁場や圧力, 元素置換によって制御することで物質の基底状態を変化させ, それによって重い電子で構成されるバンドのトポロジーがどのように変化し, さらにそれが巨視的な物性にどの様に反映されるかを明らかにする. 本研究ではより遍歴性の強い5f電子系へと研究の領域を拡げることで, トポロジカル量子物理の新領域を開拓する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「重い電子の運動量空間のトポロジー」をキーワードに, 世界最高水準の高純度単結晶育成技術と, 最先端の光電子分光及びNMR実験技術, さらに第一原理計算も組み合わせながら, 新たなトポロジカル量子相の探索と電子構造の解明を行なっている. 重い電子系の持つ複合自由度を磁場や圧力, 元素置換によって制御することで物質の基底状態を変化させ, それによって重い電子で構成されるバンドのトポロジーがどのように変化し, さらにそれが巨視的な物性にどの様に反映されるかを明らかにする. 従来の希土類の4f電子系からより遍歴性の強いアクチノイドの5f電子系へと研究の領域を拡げることで, トポロジカル量子物理の新領域を開拓する. 初年度となる令和5年度は, まず重い電子系トポロジカル超伝導体UTe2において, 磁場中での多重超伝導相の特性を明らかにし, さらにNMR実験により多重超伝導相が出現する起源を探った. UTe2は最近フェルミ面の形状が実験的に明らかになり, バルクとしてトポロジカル超伝導を研究できる物質として注目を集めている. UTe2はスピン三重項超伝導であるため超伝導状態において内部自由度を持っており, その結果, 圧力を印加することで多重超伝導相が出現する. 本研究により新たに磁場中でも15テスラ付近に相境界を示唆する異常があることを確認し, さらにその付近から物質内の磁気励起の増大が現れることを見出した. 本年度はさらに反転中心のないアクチノイド化合物ThRh6Ge4の単結晶育成に成功し, ドハース・ファンアルフェン振動の観測により, 電子状態のトポロジーを明らかにした. また5f電子の電子相関による局在化プロセスを調べるために, 強磁性ウラン化合物UCu2Ge2に対するARPES実験を実施し, この物質の強磁性が遍歴的な5f準粒子に起因していることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の途中に補助事業者1名の転出に伴う変更があったが, 同じ光電子分光分野の専門家であり, 重い電子系化合物について多くの実績を持つ川崎郁斗氏を新たに研究分担者として加えることで, 研究計画の遂行に問題は生じていない. バルクとして重い電子系のトポロジカル超伝導を調べることができるUTe2を中心に研究を展開しており, 順調に成果があがっている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き(1)物質探索及び純良単結晶育成(芳賀)と(2)NMR(徳永)及び光電子分光(川崎)測定を両輪として研究を推進する. トポロジカル超伝導体として注目される重い電子系超伝導体UTe2については, 超純良単結晶を用いたNMR測定により, 超伝導対称性と発現機構の解明を進める. また希土類セリウムモノプニクタイドCeX (X: P, As, Sb, Bi) 物質群では, 研究分担者である芳賀がブリッジマン法を用いて作成した純良単結晶を用いて光電子分光測定がすでに行われ, CeSb からCeBiの間で通常の物質相(非トポロジカル電子相)からトポロジカル電子相へ転移するトポロジカル相転移の直接観測に成功している. この時重要な要素となったのが, プニクトゲンのスピン軌道結合とキャリア補償型の半金属的なバンド構造であり, 非自明なバンドトポロジーの素になるバンド反転が発生する姿が実験により捉えられている. 今後はこの研究をさらに一歩進め, より遍歴的で重いバンドの出現が期待される5f電子系のモノプニクタイドThX, UX (X: P, As, Sb, Bi)において, 5f電子とプニクトゲンs, p 電子バンドの混成が引き起こすトポロジカル相転移現象をARPES 実験によって観測する. さらに令和5年度に単結晶育成に成功し, ドハース・ファンアルフェン振動の観測により, 電子状態のトポロジーを明らかにしたThRh6Ge4については. 今後, 同型の重い電子系CeRh6Ge4との関連について検討を行う.
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