Project/Area Number |
23K25855
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Project/Area Number (Other) |
23H01158 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14020:Nuclear fusion-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
和田 元 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30201263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
剣持 貴弘 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (10389009)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | プラズマー固体壁相互作用 / 粒子反射 / 表面吸着 / スパッタリング / 負イオン表面生成 / 負イオン / 表面生成 / プラズマ-壁相互作用 / 表面反射 / 粒子吸着 / 仕事関数 / 表面構造 |
Outline of Research at the Start |
核融合装置のダイバータ部や,イオン源電極表面での粒子反射・吸着データは,二体衝突近似模型にもとづいた解析により,数10 eVから数keVまでのエネルギー範囲で,ある程度の精度で予測可能である.また,このエネルギー範囲であれば,実験から得られるデータとも比較できる.本研究ではデータの取得が困難な,5~100 eVの水素正・負イオンをCs-Moや12CaO-7Al2O3エレクトライドなどの分子構造体表面に入射し,反射粒子に占める負イオン量がどのように変化するか実験的に調査する.その上で得られたデータを定量的に説明する物理モデルの構築を試み,低エネルギー粒子―表面相互作用の物理機構を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
同志社大学に小型の実験装置を新規設営するため,R5年度は新装置設計期間とし,年度中の実験データ採取には核融合科学研究所に設置した装置を用いた.モリブデン(Mo)とC12A7(12CaO-7Al_2O_3)エレクトライド材料を用いた実験を行い,得られたデータの解析を行った結果,表面粗さに起因する角度分布の変化と,表面仕事関数の大きさに依存した正イオン/負イオン比率の変化が観測されることが明らかとなった.結果の一部をまとめ,Journal論文原稿として提出した. 加速器用負イオン源実機に現れる表面生成の効果を調査するため,J-PARCイオン源研究チームと共同研究を行い,高速エミッタンスメーターを開発してこれを使用し,表面生成に起因して発生する水素負イオンビームの空間分布時間発展を調査した.実験結果はシミュレーション計算結果と比較・検討した.内容を国際イオン源会議に発表し,論文(会議抄録)にまとめた. 設計中の小型装置主要部分となる磁気四重極型質量分離機/低エネルギービーム収束系については,簡易計算による概念設計を終え,三次元磁場計算に基づく詳細設計に入った.低エネルギーイオン源については静電レンズ系を取り去り,引き出し電極構造により磁気レンズ系に合わせる構造とするため,軸対象系のビーム引き出しシミュレーションが行えるまでの,プログラム開発を行った. 今年度の実験に用いた核融合科学研究所に整備した大型装置では,入射角の精度を高める目的から入射イオンの飛行距離を数mとしている.低エネルギービームの空間電荷による発散のため,本大型装置を用いた実験ではビームエネルギーを下げることが困難である.そこで小型の,90度磁場偏向型質量分析器を備えたイオン源を核融合研に設置した装置に取り付け,その性能評価を行ったところ,十分な強度・分解能が得られないことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時の計画通り,核融合科学研究所に設置した装置で分子イオンを用いることにより,目標とする100 eV/p(陽子あたり100 eV)のデータを得ることができた.また,当初期待された通り,低仕事関数セラミックであるC12A7エレクトライドとMoからの粒子反射を比較することにより,正負イオン比率に特徴的な差異が生じることを確認できた.さらに分子イオンと原子イオンとでは異なる角度分布となる傾向が認められることを新たに発見した.J-PARCイオン源グループとの共同研究では,水素の表面生成に起因すると考えられるビーム系の時間変化の追跡に成功し,計画どおりかそれを上回る進展であると考えている. 入射ビームの低エネルギー化作業については,磁気四重極系の設計で問題に直面し,R5年度中他の研究項目と平行して設計見直しに費やすことになった.分子ビームに対する表面散乱角度依存性が新たな研究課題が追加される形となって研究項目が増えたが,本学術領域の進展に寄与する研究テーマであると考えており,素過程データの採取については全体として,研究計画通りか,計画を若干上回るペースで進行していると評価している. 低エネルギービーム系用磁気レンズ系については,当初よりR6年度からのフル稼働を予定していた.R5年度は核融合研の装置に,単純偏向型(四重極集束構造無)の質量分析器を取り付けて試験してみたが,十分な性能が得られず,新構造の質量分析・ビーム収束系の設計が不可欠であることが確認された.装置の小型化とノイズシールド・磁場空間分布の精密制御をどのように担保・両立するか課題が山積しているが,R6年度中期の装置完成は十分達成可能と考えている. 反射・吸着の計算モデルについては文献を整理し,基礎理論を研究計画通り構築中である.また,計算の並列化などについて,既存コードを用いた確認を完了している.
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度で行った選考試験では,核融合科学研究所の装置を改造しても十分な強度・精度が得られない見通しとなった.更なる調整・改造によっては設置したビーム系によって100 eV以下のビームが十分な強度で得られる可能性はあるものの,必要な性能を実証するには調整実験と,性能確保のための設計検討が不可欠である.R6年度は時間を節約して資源を集中させるため,より高い稼働率が期待される同志社に整備中の小型システムに低エネルギーイオン源を再移設する予定である.また,現状においては十分対応が可能な状態にあるものの,磁気エネルギー分析/ビーム収束系の設計作業に遅れが出ている.完全3次元による系全体での設計を一度中止し,要素ごとの解析に切り替えて, R6年夏休み期に組み立て作業に入れるよう研究計画の調整を行う.尚,三次元解析については実際のビーム輸送系を作成している間,研究を継続して性能予想を行う. 秋学期開始の9月下旬より低エネルギー系の実験装置を稼働させる.期間的に装置性能データや,初期データレベルで止まる可能性はあるが,秋期中の学会報告を目指す.第一次の組立・運転性能評価により改善点を洗い出し,直ちに性能強化の改善に取り掛かる.また,低エネルギービーム系の解体中に,夏休み期までの納期により入手予定の質量分析装置を取り付け,水素吸着の一次データ取得を行う.性能向上のための部品群を冬休み前に受け取り,冬休み期間中に低エネルギービーム系を再組立て・調整する.1月期にデータを採取し,R6年度の基礎データ採取・まとめに入る. モデル計算については,原子吸着を取り込み,反射モデルの見直し作業を継続する.分子入射については,実験データと比較可能な表面反応過程について,現状のACATに組み込み可能な簡易モデルの構築を目指す.
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