Project/Area Number |
23K25871
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Project/Area Number (Other) |
23H01175 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 一博 九州大学, 理学研究院, 教授 (50284154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 央 九州大学, 理学研究院, 助教 (20881569)
南部 保貞 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (40212112)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 重力の量子性 / 実在性の破れ / オプトメカニクス / 巨視的量子現象 / 量子もつれ / レゲット・ガーグ不等式 / 重力量子もつれ / デコヒーレンス / 重力の量子力学的性質 / レゲット-ガーグ不等式 / オプトメカ系 / 量子重力 |
Outline of Research at the Start |
量子重力理論の出発点である「重力は量子力学の枠組みに従うのか、それを確かめる方法と実験への展望、その量子重力理論への意義」を解明するため、重力の量子性の検証法と意味を多角的に研究し、量子技術の発展を利用した実験の可能性を明らかにする。量子的重ね合わせ状態の粒子や振動子が重力相互作用する量子力学系を中心として、時間的相関、量子もつれ、非可換性、ウィグナー関数に現れる重力の量子性の特徴を整理し、非局所性や実在性の破れにより特徴付けられる重力の量子性の検証が、場の理論的アプローチによる量子重力理論とどのように関係するか探求する。オプトメカ系等を用いた実験と結びつく量子重力の新しい研究分野を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、第一に量子状態にある調和振動子が示すレゲット-ガーグ(LG)不等式の破れを評価し、二時刻擬確率関数の具体的な振る舞いを様々な量子状態や二値変数および射影演算子を採用して調査した。その結果、先行研究のコヒーレント状態ではLG不等式の破れが現れない基底状態およびスクイーズド状態に対して破れを示すだけでなく、従来より強い破れを示す二値変数の選び方や、運動量による二値変数を用いたLG不等式の破れ、またいつどのような場合にLG不等式が破れるのかといった直感的な振る舞いの理解を得ることができた。スクイーズド・コヒーレント射影演算子を用いた二値変数の擬確率関数が取り得る最も大きな二時刻LG不等式の破れの98%に達することを明らかにするとともに、これらの結果を場の理論に拡張し、場の局所モードが示すLG不等式の破れを発見した。これらの成果は学術論文としてまとめ発表、あるいは投稿中である。さらに重力の量子性と場の理論の関係の解明に関しては共同研究によって、それぞれ局在化した波束の重ね合わせ状態にある二つの粒子と動的な自由度である重力波の量子場の3体系に着目し、粒子間の量子もつれ形成における量子場の役割を調べた。先行研究で相対性理論の性質である因果律と量子力学の性質である相補性がどのように無矛盾になるか定量的に調査しており、本年度の研究でこの無矛盾性は、動的な場の不確定性関係が真空揺らぎをもたらし、2粒子間は量子もつれ状態とならないことにより保証されることを明らかにした。さらに、2粒子と重力場の3体系における量子もつれのトレードオフ関係を考察し、2粒子間に量子もつれが現れる場合は、そのもつれの強さに応じて、粒子と重力場の量子もつれの強さも変化することを定量的に示した。また、オプトメカ系を組み合わせて重力量子もつれが生じる条件を解析し、実験に必要なパラメーターを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は時間的相関に着目し、巨視的量子系の量子性とそれがつくる重力の量子力学的性質の探究にある。現在までの進捗状況として、様々な量子状態にある調和振動子に対し、色々な二値変数および射影演算子を採用して擬確率分布関数の計算法を確立した。また、二時刻レゲット・ガーグ(LG)不等式の破れの基本的な振る舞いと破れが現れる直感的な理由の理解が得られた。それは、調和振動子の古典的な運動の予想からずれた意外性として理解され、量子力学の状態の重ね合わせに基づいて説明されるものであることが分かった。この成果は、場の理論の局所モードに対する定式化とLG不等式の破れや、運動量やルーダーの限界と呼ばれるLG不等式の最大の破れに近い二値変数を与える射影演算子に対する定義への拡張も行なった。さらに、重力相互作用する調和振動子と位置の重ね合わせ粒子が作るハイブリッド系に対して、量子もつれに付随した二値変数を与える射影演算子を利用し、重力が作る量子もつれと関連づけたLG不等式の破れについても解析を現在進めている状況である。このように、場の理論や重力まで含む巨視的量子系に対してLG不等式を用いた巨視的実在性の破れを広く示し、その直感的理解まで成果が得られている。また、重力量子もつれ生成と重力場の量子論との関係についても、共同研究により2つの粒子と重力場の3体系における量子もつれの観点から考察が得られた。さらに、オプトメカを利用した重力量子もつれ生成に関して、実験的に現実的な散逸が優勢なオプトメカを用いた重力量子もつれ生成に必要な条件を明らかにした。将来の重力量子もつれの実験を議論する上で重要な成果であった。研究計画の進捗としては概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
量子状態にある調和振動子及び場の理論に対しレゲット・ガーグ(LG)不等式の定式化を応用し、巨視的量子系における実在性の破れという量子力学的性質の検証と重力の量子性の研究を進化させる。令和5年の研究で、量子状態にある調和振動子はLG不等式に破れが生じることを示した。今後は、実験への応用を念頭において、オプトメカ系におけるLG不等式の破れの検証法についてさらに検討を進める。特に、散逸を含む場合への拡張と、量子力学的な調和振動子における二値測定をどのように行うのか、またLG不等式の大きな破れを引き起こす方法について検討する必要がある。また、空間的に局在した量子的重ね合わせ状態の粒子と量子状態にある調和振動子が重力相互作用するハイブリッド系の模型に着目し、LG不等式を用いた解析により重力相互作用の量子力学的性質、特に量子もつれに関わる特徴づけを行う。非可換性や拡張ウィグナー関数の視点からのLG不等式の破れとの関係性についても引き続き調査する。また重力量子もつれをつくる粒子と重力場の量子もつれにも着目した解析が、場の理論としての量子重力理論と重力の量子性の間の関係解明に必要である。LG不等式の破れを場の理論における実在性の破れの検証へ応用する枠組みを令和5年度に行っている。この量子場に対するLG不等式を用いた量子性の検証について広く検討を進め、場の測定に関する理解を探究する。その量子場として重力波に対する応用も、新しい重力波の量子性の検証法をとして可能性を検討する。オプトメカ系の理論模型の研究は、重力波だけでなく重力量子もつれの理論評価にも必要であるため、オプトメカを用いた量子系の理論解析を進め、重力の量子性との関係を明らかにする。これまでに明らかにしたオプトメカ系を組み合わせた系で重力量子もつれが生じる条件に基づいて、重力の量子性を確かめる有効な実験的検証法についても探求を進める。
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