Project/Area Number |
23K25934
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Project/Area Number (Other) |
23H01238 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 元雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 調査役 (40606109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 直樹 神奈川大学, 理学部, 准教授 (00599805)
木村 眞 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任教授 (20142226)
上椙 真之 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主幹研究員 (20426521)
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), グループリーダー代理 (30335418)
大東 琢治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (50375169)
今栄 直也 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (60271037)
山口 亮 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (70321560)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | 炭素質小惑星 / 軽元素同位体 / 地球外有機物 / 含水鉱物 / NanoSIMS / 地球外物質 / 有機物 / 軽元素同位体組成 / 隕石 |
Outline of Research at the Start |
小惑星は、太陽系形成初期から現在の姿に至るまでの物質科学的情報を保っている。これらに起源を持つ始原的隕石や小惑星からの帰還試料を分析することで、その起源と形成史を読み解くことができる。本研究では、始原的隕石、はやぶさ2による小惑星リュウグウ試料に含まれる有機物、含水・無水鉱物の包括的な分析を行い、太陽系に普遍的に存在する炭素質小惑星の故郷と形成史の解明を目的として、有機物の物質科学的変異を辿る。
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Outline of Annual Research Achievements |
小惑星は、太陽系形成初期から現在の姿に至るまでの物質科学的情報を保っている。これらに起源を持つ始原的隕石や小惑星からの帰還試料を分析することで、その起源と形成史を読み解くことができる。本研究では、始原的隕石、はやぶさ2による小惑星リュウグウ試料に含まれる有機物、含水・無水鉱物の包括的な分析を行い、太陽系に普遍的に存在する炭素質小惑星の故郷と形成史の解明を目的として、有機物の物質科学的変異を辿る。 本研究課題では『炭素質小惑星を構成する鉱物と有機物は、いつ、どこで、どのような環境で形成したのか?』を達成目的とする。太陽系形成史を遡り、低温の分子雲であった最初期、複雑な熱史を経ている小惑星上の熱変成・水質変成過程や高温期に起きたと考えられる非平衡化学反応の痕跡を微小な鉱物や有機物から解読する。特に、母天体が既知のリュウグウ試料と多様な炭素質隕石を詳細分析することで、より明確に小 惑星を構成する固体物質の起源と進化の描像を得ることができる。 そのため、熱変性度や水質変質度の異なる炭素質隕石と小惑星リュウグウ試料を全く同じ手法で分析し、(1)鉱物、および有機物 の軽元素同位体比、炭素の官能基と周囲の含水ケイ酸塩鉱物との共生関係を解き明かし、(2)炭素質隕石種ごとの熱履歴や相対年代を決定する 。そして(3)炭素質隕石と帰還試料の分析結果を統合し、普遍的な炭素質小惑星の形成過程の理解する。そこで、2022年より行なっている小惑星リュウグウ試料の研究成果(上述の1と3を中心とした成果である)の論文投稿、一部分析データの整理(ラマン分析の結果)とまとめを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2022年より行なっていた小惑星リュウグウ試料の研究成果の論文投稿、一部分析データの整理(ラマン分析の結果)とまとめを実施した。その過程で、Nature Astronomy誌(2報:改訂中、1報:査読中)とNature communication誌(1報:再査読中)、またMeteoritics and Planetary Science誌に一報が受理された。またイギリスとの国際チームと共同で、ダイヤモンド放射光施設での小惑星ベンヌの試料、国立極地研究所から配分された南極隕石(始原的な炭素質コンドライト複数個)分析申請書が受理されるなど、国際共同研究と成果創出が持続的に行われているため、概ね順調に進展していると考えている。 一方、有機物の分析に関しては、NanoSIMS機器の不具合も重なり、次年度からの分析計画の再検討が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下の研究を予定する。 A) 炭素質隕石(CI, CM, CYコンドライト)の鉱物学的記載とその酸素同位体比の研究(山口、今栄、木村、白井、伊藤):2024年5月に英国ダイヤモンド放射光施設DIADにおいて南極産の炭素質隕石(CI, CM, CYコンドライト)と小惑星ベンヌの鉱物学的記載を行う(伊藤、研究協力者のグリーンウッド博士:オープン大学)。南極産の炭素質隕石に関する鉱物学的記載と主要元素分析は、極地研究所にて行う(山口、今栄、木村、白井)。DIADでは、各サンプルに含まれる鉱物の同定、それらの量、および三次元構造を決定する。その後、オープン大学の超高精度酸素同位体比分析ラボラトリーにて、各サンプルの酸素同位体比を決定する。 B) 炭素質隕石中の有機物の研究:有機物に対するイオンビーム、電子線、放射光X線などによる照射ダメージの検証を進めることで、有機物を含む炭素質隕石や帰還試料に対する試料作成、分析における条件の最適化を行う。既に、この問題の検証に取り組んでおり、解決すべき重点項目である。伊藤(NanoSIMSによる同位体分析)、富岡(FIBによる試料作成とTEMによる組織観察)、大東と上椙(STXMによる化学種分析)により実施する。なお、実験Bに使用する炭素質隕石は、実験Aで使用したものと同じ破片を使用することで、放射光X線実験の前後のサンプルを分析することが可能である。この機会を利用して、照射ダメージの検証を行う。 C) NanoSIMSイメージング分析ソフトウェアの高度化(伊藤):これまでは同位体と元素の二次元可視化を主としてイメージング分析ソフトウェアの開発を行ってきたが、本年度はソフトウェアの改修を行うことで、三次元での可視化を試みる。
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