Project/Area Number |
23K25938
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Project/Area Number (Other) |
23H01242 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
堤 英輔 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 助教 (70635846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 啓彦 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50284914)
伊藤 幸彦 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80345058)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥13,650,000 (Direct Cost: ¥10,500,000、Indirect Cost: ¥3,150,000)
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Keywords | 沿岸湧昇 / 西岸境界流 / 流れ・地形間相互作用 / 熱・物質循環 |
Outline of Research at the Start |
鹿児島県の大隅半島、千葉県の房総半島、東北の三陸沿岸など、起伏に富む海岸地形の傍を黒潮や津軽暖流といった西岸境界流が流れる海域では、沖合に比べて冷たい海水が沿岸に見られることがある。このような低温の海水は海の深い場所から浅い場所へ「湧昇」したものであり、気象・気候や海洋生態系に影響していると考えられている。沿岸での湧昇は海岸に沿って吹く海上風によって引き起こされることが多いが、上記の海域では海上風ではなく沖合を流れる西岸境界流によって引き起こされているという仮説を考え、この説を海洋観測と数値シミュレーションから検証することで西岸境界流が生じる沿岸湧昇の実態と発生機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、鹿児島県大隅海峡の南岸、千葉県房総半島の南岸、岩手県三陸沿岸において、夏季に発生する水温の局所的な低温化を研究対象とする。その発生メカニズムについて、沖合を流れる西岸境界流に起因する地形性湧昇が主要な役割を果たすとの仮説を立て、この検証することで明らかにする。本年度は以下の取り組みを行った。 大隅海峡においては、沿岸湧昇の時空間スケールについて、ひまわり8号による海面水温のデータ解析から典型的な発生パターンと時間スケールについて同定した。また、主要な湧昇メカニズムの同定のために、大隅海峡を高解像度(水平100m、鉛直2m格子)で解像する数値海洋モデルを構築し数値実験を行った。この実験からは、大隅半島先端の佐多岬において高気圧性渦が潮汐と大隅分枝流によって発生し、この渦内で著しい湧昇が生じている結果が得られた。これらの結果に基づき、2024度に大隅海峡において実施する係留観測の計画を策定した。房総半島においては、2023年9月の学術研究船「新青丸」KS-23-16次航海において、房総半島周辺の水塊構造(水温、塩分)、生化学パラメータ(クロロフィル濃度、硝酸塩濃度)と流速場に関する観測データを得た。三陸沿岸においては、沿岸定置水温観測データと共に衛星海面高度計による地衡流データを合わせて解析し、夏季三陸の沿岸冷水形成時の海況情報について整理した。その結果、三陸沿岸では毎年、海域の西岸境界流である津軽暖流が勢力を増す8月に冷水化現象が生じている実態が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、2023年度には翌年度に実施する係留観測の準備を主として行う予定であったが、計画通りに流速計、係留ブイ、音響切離装置等の観測機器を調達することができた。また、研究実績の概要で述べたように、研究対象とする各海域において、数値実験やデータ解析を進め、西岸境界流と地形間の相互作用によってこれらの海域で沿岸湧昇が生じているという本研究の仮説検証に向けて、観測データの収集と解析、及び数値実験を進めることができた。以上のことより、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、大隅半島南岸における湧昇の直接観測を目的として、超音波流速計・多層水温計を用いた係留観測を6月から8月にかけて実施する。これにより大隅海峡を流れる大隅分枝流の内側域において、夏季に形成される冷水帯の形成過程が明らかとなることが期待される。この結果を基に、2023年度に実施した高解像度数値モデル実験結果と合わせて、湧昇過程の解明を統合的に行う。夏季大隅半島南岸で生じる冷水帯の主要な発生機構を同定することを2024年度の研究目標の1つとする。房総半島については、既存の観測データセット及び海洋再解析データを基に湧昇過程を評価する計画であるが、2024年6月及び8月に学術研究船「新青丸」による常磐沖航海への乗船機会が得られたことから、これらの2航海において、房総半島南岸の湧昇過程の評価に資する現場観測データの取得を行う。三陸沿岸についても、過去に実施した現場観測データと数値実験結果を統合的に解析することで、夏季三陸沿岸の冷水帯の主要な発生機構の同定を行う。
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