Project/Area Number |
23K25941
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Project/Area Number (Other) |
23H01245 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向川 均 京都大学, 理学研究科, 教授 (20261349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石岡 圭一 京都大学, 理学研究科, 教授 (90292804)
山崎 哲 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 研究員 (20633887)
野口 峻佑 九州大学, 理学研究院, 助教 (90836313)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
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Keywords | ブロッキング / 予測可能性 / アンサンブル予報 / 球面大気力学モデル / 力学安定性解析 |
Outline of Research at the Start |
大気ブロッキングは、中高緯度における異常気象の主要因となる極めて重要な大気現象である。また、ブロッキング発生期間中に、数値天気予報の予測精度が急低下することで特徴づけられる予測障壁がしばしば出現することはよく知られているが、予測障壁が出現する条件やそのメカニズムは不明である。このため本研究では、大気大循環モデル(AGCM)を用いて多数の初期値から予測を行うアンサンブル予報と、大気力学モデルを用いた線形安定性解析を組み合わせた解析手法を用いることにより、予測障壁の出現条件とメカニズムの解明や、不安定擾乱がブロッキングの時間発展に及ぼす影響や、その力学特性の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は以下の研究を実施した: (1)顕著ブロッキング事例検出方法の検討:気象庁長期再解析データ(JRA-3Q)を用いて顕著ブロッキングを検出する手法について吟味した。流線トポロジー解析を用いる位相幾何学的手法についても詳細に検討したが、我々には取り扱いが難しいと判断し、従来の南北等圧面高度差に基づくScherrer et al.(2006)の手法を採用することとした。 (2)順圧渦度方程式を用いたブロッキング発生時の線形安定性解析:2009年1月と2010年1月のブロッキング発生時に実施した既存のアンサンブル予報実験結果を利用して、順圧渦度方程式に基づくアンサンブル平均予測値を基本場とする線形安定性解析を実施し、両者のブロッキングの安定性が大きく異なることを確認した。 (3)大気力学モデルの構築:3次元スペクトル法を用いた大気大循環モデル力学コアを用いて、ベンチマーク実験設定でQBO的振動が生じるかどうかを調べ、さらに差分法のモデルとの比較により、QBO的振動が発生するかしないかは鉛直離散化手法および解像度に大きく依存することを明らかにした。また、2022年のトンガの噴火で検出されたPekerisモードの等価深度を精密に与える手法を提案した。 (4)アンサンブル予報実験の準備と、その予備解析:大気大循環モデルAFESを用いてアンサンブル予報実験を実施できるように、AFES動作環境のチェック、再解析データなどの導入手続、予報結果の出力形式などについて調査した。また、2021年6月のブロッキング事例について予備的なアンサンブル予報実験を行った。アンサンブル再解析 (ERA5 ENS) において、複数の成層圏突然昇温事例を対象に、その生起前後の解析スプレッドの変動特性を調査し、一部事例においては、上部成層圏で特徴的な不確実性増大がみられることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り扱う顕著ブロッキング事例を検出する手法を確定できた。アンサンブル予報実験結果を用いて、ブロッキング毎にその線形安定性が大きく異なることが確認できた。3次元スペクトル法を用いた大気大循環モデル力学コアの特性を評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の研究課題について取り組む予定である。 課題Ⅰ.顕著ブロッキング事例の抽出:JRA-3Qを用いて、2008年以降に南北両半球で生じた顕著なブロッキング事例を全て抽出する。 課題Ⅱ.AFESを用いたアンサンブル予報実験による全ブロッキング事例の予測可能性評価:課題Ⅰで抽出された全ブロッキング事例の発生期間について、大気大循環モデルを用いてアンサンブル予報実験を実施して予測可能性を評価し、予測障壁が出現する事例を検出する。また、大気気大循環モデルを用いた数値実験によって、不安定擾乱の非線型発展を解明し、不安定擾乱がブロッキングに及ぼす影響を明らかにする。 課題Ⅲ.ブロッキングに伴う予測障壁の出現条件と力学の解明:抽出した全ブロッキング事例について、球面順圧モデルや球面大気力学モデルを利用して線型安定性解析を実施し、予測障壁と対応するブロッキング領域に局在化して大きな成長率を持つ不安定擾乱が存在するか否かを検証する。また、流れ場の特徴から、予測障壁の出現条件を解明する。さらに、ブロッキングに内在する予測障壁の力学のエッセンスを詳らかにする。 課題Ⅳ.球面大気力学モデル構築と数値計算高速化:線形安定性解析で用いる球面大気力学モデルとその線形化モデルを構築する。また、球面調和関数変換プログラムの更なる高速化にも挑戦する。
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