Project/Area Number |
23K25953
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Project/Area Number (Other) |
23H01257 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17030:Human geosciences-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
瀬戸 浩二 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60252897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 文紀 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 特任教授 (00357071)
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (10377997)
香月 興太 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 講師 (20423270)
安藤 卓人 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (30852165)
山田 和芳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60508167)
辻本 彰 島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (60570554)
園田 武 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (70424679)
仲村 康秀 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (70830735)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,960,000 (Direct Cost: ¥9,200,000、Indirect Cost: ¥2,760,000)
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Keywords | 気候変動 / 気候イベント / 年縞堆積物 / 生態系構造 / 古環境変遷史 / 完新世 / 周期的気候変動 / 汽水域 |
Outline of Research at the Start |
年縞堆積物は,1年に1セットの縞模様が見られる堆積物である。樹木年輪のように1年を認定することができるため,年間堆積量を推定することができるとともに,短周期の気象現象を明らかにすることもできる。北海道の藻琴湖や網走湖は現在でも年縞堆積物が堆積している希少な汽水湖である。その隣接する別水系の汽水湖沼のボーリングコアを用い,年縞堆積物試料を超高分解能(1-5年)で分析し,約7,000年間の環境・気候イベントなどを明らかにする。これらの復元によってもたらされた気候変動・イベントによる生態系構造の時系列変化は,今後の気候変動においてどのようにそれが変化するかを予測するための有効な資料となるだろう。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,網走湖と藻琴湖のボーリングコアについて再検討と部分的な詳細解析を行なった.網走湖ボーリングコア(13AB-Bコア)は,湖水面から17m下から掘削し,そこから27mのコアを得ている.海面下35.5mまでは明瞭なラミナを伴う泥質堆積物で,海面下43.5mまでは生物擾乱を伴う泥質堆積物である.湖水面下18.84mにTa-aテフラ(CE 1739年)が,湖水面下19.10mにKo-c2テフラ(CE1694年)が挟まれている.また,湖水面下22.38mで,Ma-bテフラ(10世紀)が挟まれている.下位の生物擾乱を伴う泥質堆積物は,生物の豊富な酸化的環境であることが示唆される.この層準からは,ヤマトシジミの化石が多く含まれ,その年代測定の結果,約12kaであった.この層準は泥質堆積物であることを考慮すると比較的深い水深の汽水環境あることが推定され,海進当時から閉鎖的な汽水湖であったことが示唆される. 藻琴湖ボーリングコア(18Mk-1B コア)は,後期完新世に相当する 06 コアの 5.01m から 5.60m において珪藻分析を行った.06 コアの上部 5.01m から 5.60m の年代は堆積速度などの変化を考慮しない場合,約910から1080年前と思われる.06コア上部においては珪藻種から海水の流れ込みが強く湖水は比較的高塩分であった思われる.中部における珪藻種の大幅な変化は湖の砂嘴の崩壊,もしくは地盤の大幅な沈降がもたらした変化の可能性がある.下部において珪藻種から湖水の塩分が徐々に低下し内湾環境に移行したようだ. このことから徐々に砂嘴が形成されていた可能性が考えられる.Diatoma mesodon を用いて非常に広い流域を持つ流れ込みの影響について考察したが大きな変化は見られなかった. その他,本地域と対比できうる海跡湖について古環境変遷の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,年縞堆積物の見られる網走湖と藻琴湖のボーリングコアについて再検討と部分的な詳細解析を行なった.また,新規に行う分析のための資・試料の確認と新規購入した分析機器の環境設定と試運転も行っている.網走湖ボーリングコアについては,Ko-c2テフラ以降の層準についてCNS元素分析,XRF分析,年縞解析等を用いて古環境解析を行なった,また,年縞のない下部層準について年代を明らかにした.藻琴湖ボーリングコアについては部分的な詳細分析を行い,Ma-bテフラ付近の約1mの06コアついて珪藻分析,CNS元素分析,年縞解析等を行った.い,古環境変遷史を明らかにしている.また,これらのコアと対比しうる温帯域の汽水湖について対応さるための古環境変遷史の整理などを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今回部分的に行った詳細解析を,網走湖,藻琴湖のボーリングコアの全体について行う.特に藻琴湖のボーリングコアのCNS元素分析は全層準について行う予定で,初年度に試料の粉末化を進めてきた.環境DNAおよびバイオマーカーの分析については,冷凍してあるとはいえ,古い試料であるため,藻琴湖において新たに2mのコアを採取することになった.ここで得られた結果と藻琴湖ボーリングコアの結果を比較し,分析の正当性を検証する.その上で生態系の復元を試みる予定である.これらを経て,目的を達するための総合的な考察を行う.
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