| Project/Area Number |
23K25961
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| Project/Area Number (Other) |
23H01265 (2023)
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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| Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩野 英樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (80959487)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
坂田 周平 東京大学, 地震研究所, 助教 (20772255)
折橋 裕二 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70313046)
浅沼 尚 京都大学, 人間・環境学研究科, 講師 (90852525)
仁木 創太 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 研究員(学振PD) (21003956)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥14,690,000 (Direct Cost: ¥11,300,000、Indirect Cost: ¥3,390,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
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| Keywords | U-Th非平衡 / アパタイト / 年代測定 / マグマプロセス / LA-ICP質量分析 / 放射非平衡 / 火山噴火 / 火山岩 |
| Outline of Research at the Start |
火山学の進展には、10万年より若い火山噴出物、特に安山岩質から玄武岩質岩の年代測定に適用可能な手法開発が急務である。本研究では、アパタイトを利用したU-Th放射非平衡年代測定法を新たに開発する。その利点として、(1)アパタイトが玄武岩から安山岩、さらに流紋岩質マグマまで幅広く存在する、(2)アパタイトはマグマ中で早期に結晶化する、(3)晶出期間が比較的短いと想定できる、があり、これらの特性はマグマだまりでの結晶分化早期のタイミングを推定する上でジルコンよりも優れている。この手法を日本の火山に適用し、5万年から10万年前の火山噴火の年代測定と噴火に至る前のマグマプロセスの年代測定として構築する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、10万年前から数千年前までの火成岩鉱物年代測定を行うため、アパタイトを対象とした新規手法(U-Th放射非平衡年代測定法)を開発する。ジルコンU-Th分析で開発した分析法(質量数230に対するスペクトル干渉除去技術であるコリジョンセルを搭載した四重極型ICP質量分析計とフェムト秒レーザーサンプリング装置を組み合わせたシステム)をアパタイトに応用した。このシステムを使って、アパタイトでは100ミクロン×100ミクロンの領域を高速サンプリングすることで、微量な230Thを検出できる条件として決定した。正確な年代算出のために必要な標準物質(U、Th濃度既知)として、複数のDurango apatiteを準備し、一部を溶液分析することでTh, U濃度の値付けを行った。その結果、Th/Uとして~20を得た。以上の測定基盤に立って、まず放射平衡標準試料のDuluth Complex FC1(USA), Fish Canyon Tuff(USA), Temora2(オーストラリア)に対して、(230Th/238U)放射能比が1になることを確かめ、年代測定の実践段階に進んだ。具体的な年代測定として、年代既知の島根県三瓶山火山からの噴出物である三瓶池田火山灰(約50ka)とゼロ年代をもつ北海道昭和新山のアパタイトを使った分析を行った結果、前者はジルコン年代と一致する年代が、後者はゼロ年代を示す結果が得られている。日本の各地(北海道、東北、九州)から採取した火山試料の鉱物分離作業を進めており、データ蓄積の段階に入っている。研究成果の一部は、9月に開かれる国際熱年代学会議(Thermo2025, 金沢大会)で発表を行う予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本研究では、従来放射年代測定が難しいとされた年代領域(特に10万年より若い)での火山岩鉱物年代測定基盤を開拓するため、特にアパタイトを対象とした新規手法(U-Th放射非平衡年代測定法)を開発する。ジルコンU-Th年代分析のために開発されたコリジョンセルを備えた四重極ICP質量分析計とフェムト秒レーザーサンプリング装置を組み合わせたシステムを用い、アパタイトに応用した。さらに正確かつ精密な年代算出のステップとして次の3つのアパタイト標準物質を準備した:Th/U比(~20)を値付けしたDurango産巨晶2固体(14 ppm Uと9ppm U)と、アブレーションブランク補正用にThとUを含まない人工アパタイト(<1 ng g-1)。日本の火山試料の年代測定を開始し、長崎県の雲仙火山の一つである雲仙眉山溶岩ドームの年代測定を行った。この試料はジルコンとアパタイトを含むが、ジルコンもアパタイトもそれぞれ個別ではアイソクロンが決定できなかった。最終的に、2鉱物データの組み合わせから12ka(1万2千年前)の鉱物アイソクロン年代を決定することができた。この結果と既報噴出年代(4.6calkyrBP)との差から、マグマの滞留時間(約7,000年)が推定された。アパタイトだけでなくジルコンとの組み合わせによって、安定したマグマプロセス年代測定として使えることが示唆された。現在、ジルコンU-Th年代分析時に得たU定量値から、ジルコンF T年代分析を進めている。この結果は、眉山火山の噴出年代(冷却年代)を同時に得られることを意味し、完新世試料でも14C年代やTL年代がなくとも噴出年代(FT年代)と鉱物結晶化年代(U-Th年代)を推定できることを示す。以上のように、本研究は当初の計画通りに進展していると考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の実践対象として、初年度採取したアパタイト試料(北海道洞爺火山、東北恐山および十和田火山)、次年度採取した九州雲仙・阿蘇・姫島火山試料について、アパタイトU-Th年代、そのほかジルコンやイルメナイトU-Th年代やジルコンFT年代データを蓄積する。それらのデータを、カルデラ形成を伴う巨大噴火試料、火砕流を出した試料、噴火には至らなかった溶岩ドーム試料という噴火規模の分類で、噴出年代とアパタイト晶出年代のギャップ、すなわちマグマ滞留時間の大小を比較・検討する。これまでの分析結果から、アパタイトの238U/232Th値は集中的であり、信頼できるU-Thアイソクロンを決定するにはしばしば困難なケースもある。例として、九州の阿蘇-4 テフラ(87 ka)の分析では、本質軽石のアパタイトから均質な 238U/232Th比データが得られたが、アパタイトデータだけでU-Thアイソクロンが決定できなかった。このテフラには本質ジルコンが含まれないことから、アイソクロンのアンカーとしてメルトの Th/U比の決定や、イルメナイトの Th/U 比との結合が年代測定の鍵となる。火山ガラス(メルト)やイルメナイト分析はレーザーアブレーションによる固体サンプリング法と溶液分析を並行し、確度の高い年代測定を目指す。さらに、U-Th年代の高精度化を目指すため、高U濃度の標準物質が重要となる。その候補として、マダガスカル産アパタイト巨晶(50ppm U)とスリランカ産グリーンジルコン巨晶(3500ppm U)を候補とし、その評価を行う。最後に、本研究を効果的・効率的に進めるための体制として、京都大学でもU-Th分析システムの立ち上げを進めている。
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