Project/Area Number |
23K25983
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Project/Area Number (Other) |
23H01287 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 聡 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60615251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (40728276)
武藤 俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (80849951)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
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Keywords | 大量絶滅 / 海洋無酸素 / 嫌気性細菌 / ハロゲン元素 / 古生代ー中生代 / ハロゲン / 光合成 / 有機地球化学 / 遠洋域深海 / 古生代 / 中生代 / 古生代中生代境界 / 葉緑体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、約2.5億年前に起きた大量絶滅事件の際、古太平洋遠洋域の海洋最上部における無酸素状態が生態系の崩壊と回復の阻害につながった可能性を検証する。このために、大量絶滅期前後を記録した深海地層と海山上に堆積した炭酸塩岩層から試料を取り揃える。試料から嫌気性細菌に特徴的な有機分子化石を抽出する分析により、深海底より数千メートル上の海洋最上部における無酸素水の有無を判別する。本年度は、同様の試料から鉄の化学種分析をおこない、より定量的に海洋環境の溶存酸素・硫化水素環境の記録を評価する。明らかになった海洋表層の無酸素水の発生時期とその維持期間を、化石記録と比較して海生生物への影響を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の所属する名古屋大学において、研究作業の環境整備を行った。まず、岩石を粉末化する際に汚染が最小限になるようにクリーンベンチの作成を行った。さらに、岩石粉末を酸処理するためのドラフト排風装置を建造した。酸やアルカリの試薬を扱えるようにシンクを取り付けるなど周辺の実験環境の設営を行った。分担者の朝比奈博士と情報交換をおこない、実験設備の配置や選定をおこなった。 分担者の武藤博士と名古屋大学の学生・院生と協力して、大量絶滅期の堆積岩標本を採取する野外調査を行った。愛知県と岐阜県の県境を流れる木曽川流域において前期三畳紀、中期三畳紀の地質を扱う野外調査を行い、複雑に変形した地質構造を詳細に解明・記載し、海洋無酸素環境とその回復期を記録する堆積岩の連続採取を行った。宮崎県高千穂に位置する炭酸塩岩からなるペルム紀-三畳紀境界層を調査した。風化面と植生に覆われた露頭表面を掃除し、これまでにない詳細な地質層序の記載を行い、分析試料を採取した。また、京都府福知山において古生代ー中生代境界の見学を行い、地質の調査の計画を打ち合わせた。 野外調査で得たサンプルは、薄片に加工して顕微鏡観察をおこなった。さらに、岩石標本を水酸化ナトリウムを用いて加熱溶解処理を行い、微化石を得ることに成功した。試行錯誤したこの微化石の抽出方法について次回の地球惑星連合大会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
名古屋大学の既存の設備と保管試料をいかしつつ、地球化学分析の作業環境を整えることができた。近年の物価高の影響で予算の超過が懸念されたが、資材等を自分たちで加工するなどして予算の縮減に努めて必要なものを揃えることができた。 地質調査に頻繁に出向くことが出来、新しい露頭を発見するなど大きな成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に整備した実験室環境をもちいて、ブランク分析と標準試料の繰り返し分析をおこなう。結果を解析して分析作業課程で汚染の有無と再現性の確認を行い、地球化学分析が問題なく行える環境に整える。準備が整い次第、各大量絶滅期の堆積岩の化学組成分析を進める。 昨年度に打ち合わせを行った京都のペルム紀-三畳紀境界層について詳細な地質調査を行い、地質構造図と層序の復元を行う。明らかにした情報を基に、大量絶滅期を記録した連続試料を採取する。さらに、宮崎県高千穂、愛知県犬山の地質調査を継続して行い、層序、化石記録のデータを蓄積する。 地質調査所標準試料や既存岩石試料粉末を用いて、古生代-中生代の堆積岩からクロロフィル有機分子化石(マレイミド)を効果的に抽出する方法を確立する。具体的には、硫化物の含有量の高いサンプルから硫黄を除き、有機分子化石の検出を阻害するものを除く方法と、より確実に分子化石を認定するために抽出溶媒をカラム分離する方法を確立したい。それらの課程ができたあとに、これまでの調査で得られた岩石試料を、整備した実験環境を利用して粉末化する。粉末化したサンプルを酸化学処理を行うことで、クロロフィル有機分子化石を抽出する研究を進める。
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