Project/Area Number |
23K25986
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Project/Area Number (Other) |
23H01290 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
氏家 由利香 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (20573041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Ulanova Dana 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (70610129)
佐野 有司 高知大学, 海洋コア国際研究所, 特任教授 (50162524)
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
石谷 佳之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 特任研究員 (60772043)
吉村 寿紘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (90710070)
遠藤 博寿 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60396306)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | 石灰化 / 発現量解析 / pH / 微量化学分析 / 有孔虫 / 生体分子 / 発現量 / 微量元素 / バイオミネラリゼーション / 石灰化関連遺伝子 / 遺伝子発現 / 微量元素分析 / 微細構造 |
Outline of Research at the Start |
有孔虫による石灰質殻の形成は、全海洋の約25%の炭酸カルシウム生産量を占め、地球規模の炭素循環に大きく貢献する。しかし、現在急激に進行する地球温暖化・海洋酸性化によってこうした石灰化が阻害され、炭素循環が崩壊することが危惧されている。そのため、環境変化(水温・pHなど)が石灰化を司る生体分子の機能にどのような影響を与え、生成物である殻の性質を変えるのか理解する必要がある。そこで本研究では、異なる環境条件で有孔虫を飼育し、カルシウムイオン膜輸送体の発現量やタンパク質の活性といった機能応答を明らかにし、その違いが殻の微細構造や化学組成に反映されているか、分子生物学+地球化学の複合的解析で解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
海洋生物による石灰化は、地球全体の炭素循環において主要な駆動力であるにも関わらず、石灰化の分子メカニズムの全容は不明であった。そこで、本研究グループおよび共同研究者らによって、有孔虫の石灰化メカニズムの解明に取り組んだ。有孔虫には、マグネシウムの含有量が異なる炭酸カルシウム殻を形成する2大系統(低Mg-CaCO3と高Mg-CaCO3)が存在する。そのうち、低Mg-CaCO3殻の系統について、石灰化の分子メカニズムを比較トランスクリプトーム解析によって世界で初めて解明し、論文発表に至った。この成果から、カルシウムイオン膜輸送体が、石灰化においてカルシウムイオンの供給や石灰質殻の元素組成に密接に関連すると予測された。現在、この膜輸送体に着目し、水温やpHなどの環境変化に対する機能応答を遺伝子の発現量解析やタンパク質の活性分析から調べ、さらにそうした環境下で形成された有孔虫の殻について、Mg/Ca比などの微量元素組成や構造分析を進めている。さらに、高Mg-CaCO3殻の系統について、精密な殻断面を作成しSEMで観察し、これまでの知見とは異なる構造を擁している可能性を示唆した。こうした研究は、環境因子がどのように石灰化作用へ直接影響するのか検証することができる。そして、地球温暖化や海洋酸性化といった劇的な環境変化が石灰化生物や炭素循環にどのような影響をもたらすかを解く鍵となることが期待される。また、本研究成果で確立された単一細胞を用いる比較トランスクリプトーム解析法は、海洋汚染物質の代謝など有孔虫だけでなく海洋微生物を用いた研究に応用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果の一部を論文発表し、また進捗を国際・国内学会で発表することができた。一方、当初計画と異なり、一部の実験行程で見直しなどが必要な部分もあり、次年度に改善を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
低Mg-CaCO3殻を形成する有孔虫を用いて、カルシウムイオンを殻形成場に放出する膜輸送体に着目し、水温別の飼育環境下でカルシウムイオン膜輸送体の発現量がどのように変化するか、そして殻のMg/Ca比にどのように反映されるかを検証する。また、カルシウムイオン膜輸送体のタンパク質について大腸菌による組み換えタンパク質の発現・精製の系を確立する。さらに、嫌気的環境下での有孔虫培養にも取り組んでいく。 高Mg-CaCO3殻を形成する有孔虫を用いて、殻の精密構造と結晶成長などの観察を行い、Mgの元素分布パターンを検証する。また、高Mg-CaCO3殻の有孔虫の石灰化メカニズムをトランスクリプトーム解析によって解明する。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)