Project/Area Number |
23K25993
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Project/Area Number (Other) |
23H01298 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
下川 智嗣 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40361977)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,370,000 (Direct Cost: ¥14,900,000、Indirect Cost: ¥4,470,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | 力学特性 / サイズ効果 / 分子動力学法 / 格子欠陥 / 転位 |
Outline of Research at the Start |
分子動力学計算は個々の原子運動を追跡するため,金属材料中の格子欠陥の生成・運動・消滅・相互作用ダイナミクスが表現可能であり,ナノスケール組織を有する金属結晶材料の力学特性を調査する有力な道具である.しかし,分子動力学計算で見積もられる超微細粒材(バルクナノメタル)の強度は,実験で観察される強度に比べて過大評価されるというパラドックスが存在する.本研究の目的は,材料強度の原子シミュレーションにあらわれるパラドックスを,従来のアプローチとは全く異なり,実験と計算における粒内の転位組織の違いに注目して解明することである.
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Outline of Annual Research Achievements |
分子動力学計算は個々の原子運動を追跡するため,金属材料中の格子欠陥の生成・運動・ 消滅・相互作用ダイナミクスが表現可能であり,ナノスケール組織を有する金属結晶材料の 力学特性を調査する有力な道具である.しかし,予想に反する力学特性が得られるパラドックスが存在する.それは,分子動力学計算で見積もられる超微細粒材(バルクナノメタル) の強度は,実験で観察される強度に比べて過大評価されることである.本研究の目的は,材料強度の原子シミュレーションにあらわれるパラドックスを,従来のアプローチとは全く異なり,実験と計算における粒内の転位組織の違いに注目して解明することである.本研究では,原子モデルの粒内の転位組織を構築するアルゴリズムを開発し,単結晶モデルとバルクナノメタルモデルを用いて転位組織と強度の関係を系統的に調査し,このパラドックスを解明する.本研究により得られる成果は,バルクナノメタルの特有な力学特性の理解を深め, 計算科学と実験科学・理論科学の真の融合を与えることが期待される. 2023年度は,原子モデルの粒内に転位組織を構築できるアルゴリズムを検討した.転位組織を原子モデルに導入することを目指し,境界条件を満足するように完全結晶の原子配置を転位論に基づいて制御する.今回は粒内に2つの円盤領域を設定し,単軸変形下において,その円盤領域をすべり面に沿ってバーガースベクトルの逆方向に強制的に変位を与えることで転位ループを解析モデル中に導入し,その転位ループが発展することで転位組織を構築し,その後除荷を加えることで転位組織を有する解析モデルを構築可能とした.この初期転位構造を含む解析モデルに対して引張変形解析を実施すると,強度と転位密度の関係は転位論の枠組で表現できることを確認し,材料強度の原子シミュレーションにあらわれるパラドックスの解明に向けて準備が着実に進んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,原子モデルにおける転位組織を構築できるアルゴリズムを確立でき,強度と転位密度の関係を調査できる環境が整った.周期境界条件下の単結晶モデルを用いた単軸引張変形解析では,強度と転位密度の関係が転位論のベイリー・ハーシュの式で表現されることが確認できた.この理論式は実験結果をよく再現できる式であるため,原子シミュレーションで生じている転位集団の発展挙動は実験で生じている発展挙動と大きな違いがないことを示唆している.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究活動は順調であるため,引き続き当初計画通りに研究を実施していく.2024年度は単結晶モデルを用いて転位組織と強度の関係を調査する.転位密度や転位配置が単結晶モデルの応力ひずみ曲線に与える影響を詳細に検討する.まず,単一すべり系の[213]を引張軸とし,転位組織と強度の影響を検討し,その後,多重すべり系の [001]や[111]などを引張軸とする単結晶モデルを調査する.単結晶モデルにおいて,周期境界条件を適用した場合と適用しない場合を比較する.後者は自由表面を有することになり, 運動する転位が自由表面で消滅することが可能である.また,必要に応じて自由表面から転位を生成することも可能である.つまり,自由表面の有無を比較することで,転位組織の発展に対する転位の生成・消滅サイトの影響を検討する.
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