Project/Area Number |
23K26014
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Project/Area Number (Other) |
23H01319 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 切削 / エンドミル / 残留応力 / シミュレーション / ニューラルネットワーク |
Outline of Research at the Start |
航空機や医療産業においては、部品や製品の精度とともに疲労寿命の観点から仕上げ面の加工変質層や残留応力に対する要求が厳しくなっている。本研究では、航空機や医療部品に使用されているチタン合金とステンレス鋼のエンドミル切削を対象とし、切削シミュレーションとAI技術を併用して、以下の課題に基づき、残留応力の推定システムを開発する。 (1)切削シミュレーションによって切削力と切削温度を解析し、切れ刃先端部の力学的および熱的な特性が残留応力に及ぼす影響を明らかにする。 (2)材料に負荷する力学的、熱的特性の情報に基づいたニューラルネットワークにより残留応力を推定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
航空機や医療産業においては、部品や製品の精度とともに疲労寿命の観点から仕上げ面の加工変質層や残留応力に対する要求が厳しくなっている。残留応力の解析には、例えば有限要素法による解析が可能であるが、エンドミルによる形状加工は複雑な切削過程であり、残留応力を推定することは困難である。本研究では、航空機や医療部品に使用されている難削材のチタン合金とステンレス鋼のエンドミル切削を対象とし、切削シミュレーションとAI技術を併用して、以下の課題に基づき、残留応力を推定するシステムを開発する。 (1)切削シミュレーションによって切削力と切削温度を解析し、切れ刃先端部の力学的および熱的な特性が残留応力に及ぼす影響を明らかにする。 (2)材料に負荷する力学的、熱的特性の情報に基づいた多層型ニューラルネットワークにより残留応力を推定する。 2023年度は、エンドミルの切れ刃先端部の切削力特性と切削温度分布の解析技術を開発した。まず、エンドミルの切れ刃先端部の形状を解析モデル内で定義した。このモデルを研究実施者が開発してきた切削シミュレーションに取り込み、切れ刃先端部に負荷する力を解析した。なお、エンドミル切削で仕上げ面を創成している過程では、切削厚さに応じて、非切りくず生成過程と切りくず生成過程がある。そこで、これらの過程を考慮できる解析モデルを検討した。 切削温度に関して、エンドミル切削では切削厚さが切れ刃の回転とともに変化するため、オイラー型の解析手法に基づいたシミュレーションを開発し、工具、被削材、切りくずの温度分布の時間的な変化を解析した。また、ステンレス鋼およびチタン合金の切削試験でき、送り速度を変化させて残留応力を測定し、切削条件に対する残留応力の傾向を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度で予定したように、切削力解析では切れ刃先端部形状の定義と、これに基づく刃先力のモデル化を試みた。エンドミルによる仕上げ面の生成過程では、切りくずを生成せずに切れ刃が材料の押込み過程と、切りくずを生成し材料を除去する過程がある。切りくずを生成するための最小の切削厚さは「最小切り取り厚さ」と呼ばれているが、切れ刃先端部において仕上げ面と切りくずが分離する点を、最小切り取り厚さに基づいて決定した。なお現時点では、最小切り取り厚さは実験的に得ているが、今後はこれに関するモデル化が必要である。また、刃先先端部における応力のモデル化も検討が必要である。 一方、切削温度の解析ではオイラー法により、解析空間で工具、切りくず、被削材モデルを変更できるようになった。その結果、切れ刃の回転角度に応じて切削温度分布の時間的変化を解析できるようになった。 切削試験では、エンドミルの送り速度を変化させて、ステンレス鋼とチタン合金の残留応力を測定し、ある程度の傾向を見出した。 以上のように当初予定していた切れ刃先端部に負荷する切削力モデルと切削温度解析がほぼ完成し、残留応力についてもある程度の成果が得られていることから、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度からは、切削力および切削温度の解析結果と、切削試験によって得られた残留応力の結果とを関連付けたい。 本研究は実用的な観点から、切削力は有限要素法ではなく、研究実施者が開発したエネルギ解析法に基づいて高速かつ精度よく得ることが可能である。したがって切れ刃に負荷する力学的な効果と、材料および切れ刃先端部の熱的効果が残留応力に及ぼす影響を明らかにしなければならない。 既に今年度の試験により、残留応力は切れ刃が材料に負荷する力とその方向と相関性があることを見出している。今後は、このような力学的要因とともに、切れ刃先端部近傍の温度場が材質変化に及ぼす影響を調べたい。 なお、力学的モデルについても、仕上げ面生成過程における非切削過程と切削過程に対するモデル化を進めたい。これに基づいた解析ができれば、残留応力の推定精度が向上するとともに、その物理的な背景も明確になることが期待できる。
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