Project/Area Number |
23K26033
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Project/Area Number (Other) |
23H01338 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杵淵 郁也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30456165)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | 分子流体力学 / 希薄気体流 / 気液界面 / クヌッセン層 / 分子線 / 相変化 |
Outline of Research at the Start |
蒸発や凝縮を伴う気液二相流の解析には,微視的描像に基づいて気液界面における質量流束や温度ジャンプなどを与える境界条件が必要である.しかし,液面から蒸発した直後の気体分子の速度分布に関する知見は乏しく,モデル構築のための障壁となっている.そこで本研究では,分子線実験と第二高調波発生分光法によって気液界面における相変化現象の微視的描像を明らかにする.さらに,得られた知見を反映した非平衡気体流れの解析から,マクロな流体解析に用いる気液界面の相変化モデルを構築する.
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Outline of Annual Research Achievements |
蒸発や凝縮を伴う気液二相流の解析には,微視的描像に基づいて気液界面における質量流束や温度ジャンプなどを与える境界条件が必要である.しかし,液面から蒸発した直後の気体分子の速度分布に関する知見は乏しく,モデル構築のための障壁となっている.そこで本研究では,気液界面における相変化現象の微視的描像を明らかにすることを目的として,分子線法,第二高調波発生分光法による気液界面の計測と,界面近傍の非平衡気体流れの数値解析に取り組んでいる. 今年度は主に,分子線法による蒸発分子の速度分布計測に関して検討を進めた.得られた飛行時間分布の解析により,蒸発直後の分子は液面温度のマクスウェル・ボルツマン分布と比較して遅い分子の割合が少ないことが確認された.これは過去に他グループによって行われた分子動力学シミュレーション[T. Ishiyama et al., Phys. Fluids 16, 4713 (2004)]と整合する結果といえる.蒸発分子が液面との相互作用ポテンシャルを抜ける際に運動エネルギーが変化することが原因であると考えられるが,物理的描像について更に検討を進めている.また,最近,光照射により気液界面からの蒸発流束が著しく増加する現象が報告されており,その蒸発促進の機構として,気液界面から複数の水分子がクラスタとして脱離するのではないかとの仮説が提唱されている[Y. Tu, G. Chen et al., PNAS 120, e2312751120 (2023)].この仮説の検証を行うため,既設の分子線装置の液面保持部に光ファイバを用いた光学系を追加するための予備実験と装置の設計を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子線法による蒸発分子の計測から,蒸発分子が液面温度のマクスウェル・ボルツマン分布からずれた速度分布を持っていることが示された.このことは過去に分子動力学シミュレーションでは予測されていたが,実験的に確かめられたのは初めての例であり,学術的価値が非常に高いと言える.また,気液界面における蒸発過程の詳細を調べることを目的に分子動力学シミュレーションの準備も進めている. 光照射による蒸発促進を検証するための分子線装置の改良についても,主要部分の設計は完了しており,次年度の半ばまでには計測が開始できる見込みである. 以上より,現在までの研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
分子線装置の液面保持部に光ファイバ等を用いた光学系を追加して計測を行い,光照射による蒸発流束の変化を評価する.本装置では蒸発分子を四重極質量分析計により計測しているため,水分子2分子以上の分子量に対する計測を行うことで,気液界面から水分子がクラスタとして脱離するという仮説の検証が可能である.この仮説を提案しているマサチューセッツ工科大学のG. Chen教授とは定期的にオンラインおよび対面での議論を重ねており,今後も協力して本研究課題に取り組んでいく計画である. また,蒸発が生じている気液界面に集積する溶質分子が相変化に与える影響を評価する.クマリン314などの溶質分子を含む溶液を相対湿度が低く保たれた環境制御チャンバー内に保持し,液面において蒸発を生じさせる.溶液の質量の時間変化から求まる蒸発流束と第二高調波発生分光計測により求まる気液界面における溶質分子の濃度の関係を整理し,界面に存在する溶質分子が相変化に与える影響を明らかにする.また,実験系に対応する分子動力学シミュレーションも併せて実施することで,相変化過程を詳細に検討する.
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