Project/Area Number |
23K26060
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Project/Area Number (Other) |
23H01365 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | Institute of Science Tokyo |
Principal Investigator |
中村 健太郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20242315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 有司 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (40725123)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 超音波 / 超音波浮揚 / 液滴 / 音響放射力 / 音響流 / 無容器プロセッシング / 音圧定在波 / 滴下 |
Outline of Research at the Start |
空中超音波の定在波の音圧の節に微小液滴を非接触で浮揚させることに関して、浮揚液滴の振動や蒸発、液滴内の微小流れ、複数の液滴間のコンタミネーションの性質などを詳しく調べる。このために浮揚液滴の動的挙動を周囲の音場との連成現象としてとらえ、詳細な実験・観測と高度な数値計算を行う。また、液滴周りの音響流と液滴の蒸発や回転との関係を明らかにする。また、液体の粘性や表面張力などと液滴の形状、その表面の振動との関係を20~100 kHzの広い周波数範囲において調べる。また、この現象の応用のために上方からの液滴導入と下方への滴下が可能な振動系と浮揚方式を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
空中超音波の音圧定在波の節に微小液滴を非接触浮揚することは研究代表者らを含め各国で検討されている。本研究では、薬剤・材料の開発・製造・分析などで必要とされる無容器プロセッシングにこの現象を利用するために、液滴の上方導入、下方滴下ができる液滴浮揚装置を実現すること、金属反応性の液体も扱える非金属振動体の開発、利用する超音波の高周波化によるサブmm液滴への対応などを行う。また、このために、浮揚液滴の振動や蒸発、液滴内の微小流れ、複数の液滴間のコンタミネーションの性質などを調べる。 今年度は、液滴の上方導入、下方滴下のために、超音波振動子と反射板を左右に配置した水平方向定在波による浮揚装置を検討した。この構成であると、従来の垂直方向定在波の場合よりも浮揚力が1/8程度に低下する。そこで、反射板をわずかに傾けて鉛直方向の力を増大させることについて、音場の数値シミュレーションと実測によりその効果を調査した。反射板の傾斜により音圧は低下するが、同一振動速度に対しては保持力が向上することが確かめられた。音圧分布の測定は、研究代表者らが開発している空気の屈折率変調を光学干渉計で検出する方法を用い、音場中に物体を挿入せずに実施したので、音場分布の乱れなく音場評価ができ、数値計算結果とよい一致が得られた。 また、水やエタノール以外に、より粘性の高い紫外線硬化接着剤の液滴の浮揚を実現し、1秒以下の紫外線照射で直径サブmmの透明樹脂球を生成することに成功した。 さらに、金属と反応する液滴へも本手法を適用するため、樹脂製の振動系を検討した。樹脂材料は高周波振動に対する吸収が大きく、大振幅超音波用途には向かないと考えられてきたが、ポリフェニレンサルファイドは数10 kHzの大振幅振動にも100程度の機械的Q値を保つことを明らかにしている。これを用いた超音波振動系を製作し特性評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液滴操作のために必須の上方導入・下方滴下が可能な水平方向定在波による液滴の浮揚が実現でき、反射板の角度などの条件を数値シミュレーションと実験を比較しながら進めることができた。この実験は28 kHzで行ったが、40 kHzでも同様の検討を始めている。一方、非金属の振動体による強力超音波振動子の試作を行い、その性能の試験を開始できた。樹脂の振動体は質量が小さいため振動の運動エネルギーが小さく、液中や固体中での大振幅超音波の励振には向かないが、空気中では十分動作することがわかった。また、水やエタノール以外の液体として紫外線硬化樹脂の浮揚を行い、硬化処理も非接触で可能であることを示した。これによりサブmmあるいはそれよりも小さい透明球を作ることがきできた。
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Strategy for Future Research Activity |
水平方向配置の超音波浮揚装置について、音圧分布だけではなく、そこから音響浮揚力も計算して、浮揚力を高められる条件を明らかにする。また、平面反射板のみではなく、曲面を導入して、より大きな保持力を獲得する。これにより液滴の浮揚位置の安定化、浮揚液滴の形状の安定化を行う。駆動源の超音波周波数は28 kHzあるいは40 kHzであったが、より高周波数の60 kHz以上を用いることで、より直径の小さい液滴の浮揚を実現する。小さい液滴のほうが表面張力の効果が大きく、真球に近づきやすい。さらに、紫外線硬化樹脂により、サブmmよりも小さい光学球が製作できると、光部品の製造法として価値がある。今後はより高周波の利用も検討するが、高周波数では空気の超音波吸収が増えるので、どの程度の次数の定在波を励振できるかを実験的に検討する。また、樹脂製の超音波振動系については、超音波浮揚に必要な振動速度振幅、音場分布を実現する形状などを検討する。樹脂材料中では音速が金属に比べて小さいため、均一な振動分布が得られる面積が小さくなると予想されるので、振動体形状の設計が重要になる。
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