形状記憶膜/有機半導体ハイブリッド型の高出力フレキシブル触覚ディスプレイ開発
Project/Area Number |
23K26066
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Project/Area Number (Other) |
23H01371 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 20020:Robotics and intelligent system-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
峯田 貴 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50374814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 嘉楽 和歌山工業高等専門学校, 知能機械工学科, 准教授 (30898200)
寒川 雅之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70403128)
松井 弘之 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (80707357)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 触覚ディスプレイ / 形状記憶合金薄膜 / 半導体素子 / フレキシブルデバイス / 形状記憶合金膜 / フレキシブル素子 / 薄膜半導体 / ハイブリッド / 有機半導体 |
Outline of Research at the Start |
指の曲面に装着し、高出力の振動刺激を広域の皮膚を通じて提示する超薄型フレキシブルMEMS触覚ディスプレイ開発に取り組む。大変位と力を発生するSMA膜を用い、垂直振動に加え、せん断方向への振動を発生する高密度のアクチュエータアレイ(ピッチ1.5mm前後)を開発する。また、有機半導体ダイオード等の個別通電用素子を形成したフレキシブル配線上にSMA素子を融合する。皮膚が高精細に感知可能な1-30 Hzの周波数域を中心に、文字、面内動作、物体を撫でる感触等の臨場感ある表示の可能性を検証し、また、触覚センサと手触り感の評価からの再現可能性も含め、実用デバイスとしての適用性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
指の曲面に装着して精細で複雑な情報を提示するフレキシブルMEMS触覚ディスプレイを目指し、以下の研究に取り組んだ。 (1) 皮膚の感知の分解能を考慮した1.5 mmピッチSMA膜アクチュエータを用いて垂直振動型の平板状デバイスを先行試作し、触覚官能評価により1ピンの振動でも15Hz前後で明確な刺激が感知できる見通しを得た。面内での動作ピン位置と文字の提示に適する駆動条件を絞り込み、素子数を7×7アレイへ倍増することで識別率が向上することも確認した。また、皮膚の感度が高いせん断振動を目指し、コイルばねとSMAで構成する1方向せん断型デバイスも試作し、低周波で強い刺激が提示できる目途を得るとともに、コイル型に代わる平板ばね構造を厚膜レジストで一括形成する要素技術も確立した。多軸せん断動作のSMA機構の構造設計にも取り組んだが、ねじれ変形が抑制困難であることがわかった。 個別通電用の基板貫通電極(TSV)構造をもつSi層をSMAへ接合した後に、背面からドライエッチングで各素子に一括分離してフレキシブル構造化する手法を考案し、プロタイプを試作した。 (2) SMAアクチュエータへの通電加熱に適する有機半導体膜のダイオードの素子構造を基本設計した。また、電極薄膜/有機半導体界面の酸化を防ぐ形成法を考案したが、試作の結果、作製過程での電極膜自体のバリア性の向上も必要となる可能性が判明した。並行してSiのTSV基板層へpnダイオードを搭載するタイプの試作にも取り組んだ。 (3) 触感と表面微細凹凸構造の相関を調べるために、Si基板の微細ドライエッチング技術を用い、微細周期構造をもつサンプルを試作した。また、多軸触覚センサによる物体表面の微小凹凸検知の感度向上を図り、センサ接触面へ指紋構造を模した微細形状を付加し、撫でる動作時に凹凸形状に対してより高感度な応答を得る有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直振動型については、先行して試作した平板状デバイスで15Hz前後で明確な刺激を提示できることを示し、面内での動作ピンの位置の動きと文字提示のための駆動条件の指針を得た。FPCへの実装時の導通不良でアレイ素子の動作歩留まりが低かったことにより、複雑な触覚パターンの評価実験には至っていないため、今後、デバイスを再試作して詳細な評価実験を継続していく必要がある。 せん断型についても、コイルばねタイプを試作し、低周波での高感度の触覚提示の見通しを得た。また、外力への耐久性を向上する平板ばね構造の最適形状と厚膜レジストでの一括形成手法も確立して、実用的なせん断型デバイス形成の見通しを得ている。 SMAの個別通電加熱用の有機半導体膜ダイオードの基本設計を確立したが、電極膜/有機半導体界面の酸化防止が十分ではなく、十分な耐久性を得るには、保護層に加えて金属電極膜にも高バリア性が必要であることを把握した。TSV接合後のフレキシブル化のための素子分離では、微細立体構造化した最終段階でのSi層の分離用ドライエッチング中に温度上昇することがわかり、高温で耐性の高いマスク材料の適用が必要があることを確認した。 触覚情報取得については、Si基板を微細加工して周期構造をもつサンプルを試作したが、十分な触覚官能評価に至らず継続して評価実験を実施していく必要がある。また、多軸触覚センサに指紋構造を模した微細形状を形成することで、撫でる動作での凹凸形状に対する高感度応答が得られることを明らかにし、皮膚の感覚により近いデータ取得の目途を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
FPCへの実装時の導通不良を改善し、配列アレイ数を増大した垂直振動タイプの平板チップ型触覚ディスプレイ素子を再試作し、面内での動きの提示や文字パターンの提示について、規模を拡大した官能評価試験を実施し、駆動条件やアレイ素子内での提示順の効果等を詳細に評価し、本デバイスの適用範囲を把握する。 高感度が期待できるせん断動作タイプについては、指からの圧迫への耐性のある平板ばね構造を厚膜レジストのリソグラフィで一括形成し、SMAアクチュータに接合してせん断型触覚ディスプレイ素子を試作する。低周波も含む広い周波数域におけるせん断刺激による種々の触覚パターン提示の可能性を明らかにしていく。また、1軸方向に動作を限定して振幅の拡大を目指したSMAアクチュエータを試作し、バイアス機構を設けずSMAへ初期変位を付与する素子形成法を構築し、振幅と発生力の拡大にも取り組んでいく。 個別通電用の半導体素子として、有機半導体の酸化防止のための高バリア性の電極および保護膜形成を検証し、安定した有機ダイオード形成に引き続き取り組むとともに、Si基板を用いたpnダイオードなど無機系の半導体の試作も並行し、SMAアクチュエータと接合してハイブリッド化した際の触覚ディスプレイ素子全体のフレキシブル化に適する構造、形成プロセス、および特性の安定性の選定を図る。 物体表面を撫でる動作での多軸触覚センサの計測実験と手触り感の評価を継続し、両者の相関より触覚ディスプレイで再現に適する触覚パターンを探索する。
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Report
(1 results)
Research Products
(15 results)