Project/Area Number |
23K26100
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Project/Area Number (Other) |
23H01405 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岩田 晋弥 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主任研究員 (10642382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 亮太 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (90761619)
津屋 朋花 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (10963233)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
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Keywords | 絶縁劣化 / 絶縁破壊 / 複合要因劣化 / 部分放電 / トリーイング / 水トリー / 分子動力学計算 / 量子化学計算 / 電流積分電荷法 |
Outline of Research at the Start |
電気絶縁材料は電力インフラを支える重要な要素であり、使用される環境はその絶縁性に大きな影響を与える。本研究は、絶縁材料の部分放電の発生から電気トリーや水トリーの進展に至るまでを対象とし、熱、外力、水などの周囲環境の影響を考慮した上で、絶縁劣化現象の物理化学的背景を明らかにする。部分放電の発生からトリー劣化に至るまでの過程について、量子化学計算、分子動力学計算などを活用し、劣化過程における電子状態や分子間・分子内結合の変化を究明する。また、X線コンピュータ断層撮影や有限要素解析を中心とした計算機シミュレーションにより、破壊の進展プロセスを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
高分子電気絶縁材料は、電力インフラを支える重要な要素のひとつであり、機器や設備の安定的な運用のためには、その劣化や破壊における物理化学的メカニズムを解明する必要がある。近年、絶縁材料が使用される環境は多様化しており、本研究では、水、熱、外力等の要因を考慮した評価および解析を進めている。2023年度は、主に次の項目について実施した。(1)電力ケーブルの劣化要因のひとつとして、水トリーが知られており、その発生・進展には、水に加えてイオンが重要な役割を果たしている。しかし、詳細については未解明な点が多い。そこで本研究では、分子動力学計算を使用し、ポリエチレンを模した分子中におけるナトリウムイオンと硫酸イオンおよび水の挙動を評価した。特に外部電界下におけるクラスター化や拡散に着目し、温度の影響も評価した。(2)絶縁材の電気的劣化や破壊の初期過程として部分放電の発生が知られている。今年度は、部分放電波形の検出システムを作製し、電極条件や印加電圧周波数の影響を検証した。また、ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等を測定対象として、放電波形の差異についても評価した。さらに、過渡接地電圧測定時における電流経路や電磁波伝搬の解析を進めた。(3)近年、電流積分電荷法による絶縁材料内を流れる電荷および電流の計測が着目されている。今年度は、シート状試料を加熱した状態での測定を実施した。測定試料はポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等とし、電流と電荷の温度依存性を評価した。また、測定システムの回路モデルを構築し、実験データから回路パラメータが推定可能となった。得られた成果は、主に学術論文誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は次の理由によりおおむね順調に推移している。当初の予定通り、水、熱、外力等の外的要因と高電界が関与する絶縁材料の劣化について、計算機シミュレーションと実験を組み合わせた研究を実施した。計算機シミュレーションについては、量子化学計算、分子動力学計算、有限要素解析を中心としており、必要に応じ外部機関が保有する大型計算機を使用している。実験については、主に部分放電測定と電流積分電荷法による電荷測定を実施した。部分放電測定実験においては、高周波帯域電流トランス、過渡接地電圧センサ、電流プローブ、音響センサ等による測定システムを構築した。特に、過渡接地電圧センサによる測定を中心にデータ取得を進めた。部分放電の波形解析においては、外部機関の研究者の協力を得ており、伝搬特性を考察した。また、高分子絶縁材料内における電荷の振る舞いについても、外部機関の研究者と協力しながら実験と解析を進めており、電流積分電荷法における回路モデルの考察を実施した。さらに、水や添加物が関与する高分子材料の絶縁劣化について、コンピュータ断層撮影を実施し基礎的なデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
2024本年度以降は主に次の内容を実施する。量子化学計算、分子動力学計算、有限要素解析等を中心とした計算機シミュレーションと実験を組み合わせて研究を推進する。水および添加物(ポリエチレン架橋剤分解残渣、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン等)を含有する電気絶縁材料において、高電界印加時に母材密度、温度、電界の大きさ等が水や添加物の拡散と凝集に与える効果を解明する。さらに、量子化学計算を利用し、分子やイオンの電子状態、相互作用に与える影響を検証する。また、水トリー発生実験およびその観察により、水が関与する劣化形態の特徴を評価する。部分放電測定および電流積分電荷法による電荷測定によって、試料の劣化状態や測定環境に応じたデータを取得し、信号解析と測定系のモデル化を通じて劣化診断技術の高度化を図る。部分放電測定においては、検出原理の異なるセンサから得られた信号を比較し、使用環境に適した測定手法と解析方法を検討する。また、電流積分電荷法による電流と電荷計測については、周囲から受けるノイズの影響等を考慮しつつ、測定システムのモデル化を行う。
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