不飽和地盤の微生物固化プロセスシミュレータの開発:遺構の基礎修復の理想像に向けて
Project/Area Number |
23K26196
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Project/Area Number (Other) |
23H01502 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 22030:Geotechnical engineering-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 涼太 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60805349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 倫史 関西大学, 社会安全学部, 教授 (20467450)
畠 俊郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (30435424)
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90508342)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
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Keywords | 遺跡建造物 / 地盤改良 / 微生物固化 / 数値解析 / 遺跡構造物 / MICP処理土 / 不飽和浸透特性 / 浸透-力学-微生物化学連成解析 / MICP / 不飽和土特性 |
Outline of Research at the Start |
令和5年度は,特定の砂試料を対象に,菌体培養液や固化溶液の条件,その通水条件に関する室内実験を行い,以降のMICP実験の条件を整理する. 令和6年度は,固化処理過程での炭酸カルシウム析出と不飽和浸透特性の関係を室内実験で観察する.測定した析出量に基づく間隙サイズの変化をパラメータとして,水分保持特性の変化をモデル化する. 令和7~8年度は,固化溶液の注入過程と炭酸カルシウムの析出量の分布を表現するシミュレータを構築し,水分保持特性モデルと合わせ固化処理地盤の遮水性能を評価可能にする.そして,中規模の模型浸透固化実験を実施し,その再現解析を開発したシミュレータによる再現解析を通じて妥当性を検証する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,降雨浸透による基礎地盤の強度低下に起因した遺跡建造物の劣化を抑制するための技術として,微生物代謝を活用した炭酸カルシウム析出(Microbially Induced Calcite Precipitation)を利用した地盤改良技術に着目し,その施工品質評価のための数値シミュレータを構築することを目的としている.特に炭酸カルシウム析出に伴う強度特性変化と間隙構造の変化に伴う不飽和浸透特性の変化をモデル化を行う. 2023年度は,モデル化の前提となる基礎データの収集に当たり,実験条件を決定するため,遺跡建造物の修復に適したMICPの施行方法の検討を室内実験により行った.MICP処理では通常複数回にわたって菌体培養液と固化溶液を通水するが,これを1回のみとした場合の固化状況を確認した.その結果,1回の通水でも強度増進効果が得られることがわかった.さらに,砂供試体に事前に固化溶液の成分を混合した後に菌体培養液のみを通水する場合と,菌体培養液と固化溶液ともに供試体作成後に通水する場合では後者の方が安定して固化処理できることが分かった.これにより,施工期間の短縮し観光資源としての利用不可能機関を削減した形でのMICP処理方法が確認できたため,次年度以降,この方法を標準としてMICP固化処理供試体を作成し,炭酸カルシウム析出量と強度特性の関係,ならびに間隙率や間隙構造の変化による浸透特性の変化を実験的に検討する. また,シミュレータ開発に当たっては,有限要素法による浸透-変形連成解析を実施可能にするとともに,MICP処理による透水性低下と強度増進が,カンボジアのアンコール遺跡の実構造物の支持力特性に及ぼす影響を示した.ただし,これは特定の固化段階における物性値を使用したものであり,最終的には強度・透水特性の変化も考慮可能なモデルへと次年度以降拡張していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,MICP処理土の水理・力学特性をモデル化する上で前提となる実験条件の探索を行い,遺跡建造物への適用に際し現実的に妥当な施工方法を確認することができた.これにより次年度以降の実験をスムーズに実行することができる. 加えて,固化処理シミュレータの構築に関して言えば,微生物機能による炭酸カルシウムの析出プロセスを除く,浸透-変形連成解析を可能にするとともに,カンボジアのアンコール遺跡の実構造物を対象とした支持力解析を実施した.ある特定の期間固化処理を行った供試体から得た物性値に限った検討ではあるが,透水性の低下による遮水機能によって,基礎地盤内の改良範囲を比較的狭い範囲に絞ったとしても,降雨浸潤時の安定性を向上できることを示せており,解析基盤の整備が進んでいる.以上のことから概ね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降,2023年度に決定した実験条件に基づき,MICP処理供試体中の炭酸カルシウム析出量や間隙構造の変化と,強度特性(応力-ひずみ関係)や不飽和浸透特性との関係明らかにするための実験を進める.間隙構造の観察に当たっては,研究代表者の所属研究機関現有の土供試体用X線CTを活用する. また,実験結果を踏まえて,炭酸カルシウム析出量を状態変数とする弾塑性構成則,水分特性曲線を定式化する.一方,開発する構成則を組み込むフレームワークとして,不飽和土を対象とした浸透-力学-微生物化学連成シミュレータの開発を進める.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)