20世紀前半期ドイツにおける住宅政策と建築形態をめぐる社会的葛藤についての研究
Project/Area Number |
23K26287
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Project/Area Number (Other) |
23H01593 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40324933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 哲 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90455105)
山本 一貴 福山大学, 工学部, 講師 (90533977)
堀内 啓佑 神戸大学, 工学研究科, 助教 (20912695)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 労働者住宅 / 住宅政策 / 住宅改良 / 近代建築 / 社会住宅 / 産業都市 / ジードルンク / 郷土保護運動 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、世界中の公共住宅の発展に多大な影響を及ぼしたとされるワイマール期を中心に、その前後の第二帝政期、ナチス政権期のドイツを対象として、住宅政策とその直近の住宅供給の実践を詳細に分析し、建築家による住宅や住宅地の計画・設計に対して、どのような政策的な誘導や圧力があったのか、またその政策の背景にはどのような思想・思潮あるいは政治的利害が作用し、いかなる社会的葛藤が生じたのか、そしてそれはどのような建築形態として現れるか、また、それらが日本の住宅政策、住宅供給にどのような影響を及ぼしたのかを、ドイツ及び日本国内の資料館、公文書館等で得られる資料をもとに明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、ドイツの労働者住宅の調査として、10月に渡独し、ベルリン市フリードリヒスハイン=クロイツベルク区において、20世紀初頭のミーツカゼルネ(賃貸兵舎)と呼ばれた過密で、採光・通風の点で好ましくない形式の集合住宅の実見調査を行った。また、ベルリン州立図書館で労働者住宅、社会住宅に関する文献資料収集を行った。 ドイツの郷土保護運動に関しては、伝統的な農村景観の保全を目的とした動向として、20世紀初頭の伝統的な屋根葺き建材についての耐火実験、特に藁に薬剤を含侵して造られた耐火藁葺き屋根の開発に着目して、資料収集・分析を進めた。耐火実験は、伝統的な建材の耐火性能を実証評価し、性能が証明された耐火藁葺き屋根は火災保険料を下げることができ、それによって藁葺き屋根による伝統的な景観が守られるということが企図されていたこと、これらの動向にはドイツ郷土保護連盟が関与していることが把握された。また、これに関連して、当時開催された農家住宅のための設計コンクールの資料収集も進めた。さらに、1910年代から20年代の新建材の使用による市街地景観の破壊をめぐる論争についても、資料収集・分析を進めている。 ドイツで発展した建築形態の日本への影響に関しては、労働者階級向け集合住宅の伝播状況の検討として、山田守著『ジードルンク』(1933)の参考文献の把握がほぼ完了し、掲載内容の詳細な分析を進めている。また、20世紀初めにドイツ語圏の建築・インテリア雑誌を複写・転載した日本の建築写真メディアについて資料収集・分析を進めた。ドイツ語圏から伝播した住宅や建築の形態について、その原典となった図書、雑誌の同定を行った。分析結果をまとめ、その一部を学術論文として成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた資料収集は,国内での資料収集・実見調査については、おおよそ順調に進んでいるが、ドイツでの調査は為替相場の影響で渡独できる期間が限定的となり、資料収集に関して少し遅れがみられる。一方で、ドイツ郷土保護運動に関する資料収集と分析で進展がみられる。総合的に評価して,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度前半は主に収集済み資料の分析・考察を行う。ドイツの郷土保護運動に関しては、20世紀初頭の耐火藁葺き屋根の実験的取り組み、新建材の使用をめぐる論争について分析を進める。ドイツで発展したジードルンクの日本への影響に関しては、1920年代から30年代に日本へジードルンクの実態を伝えた文献の原典の把握と日本の労働者住宅の建設状況への影響の分析・考察が進んできており、特に、山田守著『ジードルンク』(1933)の参考文献の把握および掲載内容の考察について、成果発表を行う予定である。 年度後半には,1920年代の社会住宅建設に関して、ベルリン州立図書館(ベルリン)、連邦公文書館ベルリン館(ベルリン)での調査・資料収集,その他海外事例の現地調査,資料収集を進める予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)