Project/Area Number |
23K26334
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Project/Area Number (Other) |
23H01640 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25010:Social systems engineering-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高嶋 隆太 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 教授 (50401138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 誠 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10377137)
近藤 潤次 東京理科大学, 創域理工学部電気電子情報工学科, 准教授 (20357049)
小田 潤一郎 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (90817256)
伊藤 和哉 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 助教 (00966244)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | カーボンニュートラル / 蓄電池 / 先渡取引 / 社会厚生 / 社会的受容性 / プロシューマー / 蓄電池, / 需給調整 / 支払意思額 |
Outline of Research at the Start |
第6次エネルギー基本計画に定められている2030年度の再生可能エネルギー電源比率36~38%の達成と,市場取引のさらなる活性化および安定供給のそれぞれが実現可能となるように,エネルギーシステム全体で効率化を図り,制度設計を構築していくことが重要である.本研究では,再生可能エネルギーや蓄電技術の普及,供給力の安定的確保を目的とした制度が,市場にどのような影響を及ぼすかについて明らかにし,社会的受容性について評価することにより,供給・需要両サイドの影響のダイナミクスを解明することを目的とする.本研究の分析・評価を通じて,脱炭素化に向けたエネルギーミックスの構築といった社会実装への展開が期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,下記のそれぞれの研究項目(a)-(e)を以下のように遂行した. (a)市場均衡モデル:電力だけでなく水素の供給も行うマイクログリッドを分析した.特に,水蒸気改質による水素製造に着目し,工程に必要不可欠な熱供給方法について,ガスボイラーシステム,電気ボイラーシステム,熱電併給システムを経済性・環境性の面から比較した.環境コストを考慮した上で,熱電併給システムは電気ボイラーシステムに比べて13.6%コスト面で優位である結果となった.(b)投資意思決定モデル:プロシューマーの再生可能エネルギーと蓄電システムへの投資意思決定問題や蓄電システム事業者の市場均衡モデルを中心とした分析を行い,蓄電システム導入による市場参加者の意思決定の変化や社会余剰への影響を明らかにした. (c)統合評価モデル・電源構成モデル:再生可能エネルギーの中でも相対的に電力供給が安定している洋上風力発電施設に着目し,洋上風力発電の経済性評価を行った.具体的には,洋上風力発電が先行し普及しつつある欧州の総事業費単価を収集整理し分析を行った.その結果,規模の経済性を確認できた一方,資材価格の影響も受けることが示された.(d)電力系統影響分析:太陽光・風力発電の比率が高い電力系統では,Dark Doldrumsが懸念されているが,太陽光・風力発電を同容量導入するなら,東北地方の高電力需要時にはほとんど発生しないことを示した。また,負荷制御による需給調整の実験を行った。(e)社会的受容性評価:社会調査を行い,再生可能エネルギーや原子力に関する支払意思額を推定した.また,一般的なエネルギー・環境についての情報提供による支払意思額への影響について分析を行った. 上記の研究進捗ついて報告会を実施し,それぞれの項目の補完について議論を行った.また,上記の成果の一部を,国内の学会や海外の国際会議,論文誌にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を変更はしたが,おおむね順調に進んでいるものと考えている.それぞれの研究項目についての詳細は,以下のとおりである. (a)当初の予定どおり,蓄電事業者が複数存在する場合について先行研究と比較し,それらが市場の社会余剰にどのように影響を及ぼすかについて明らかにした.また,電力のみならず水素の供給も行うマイクログリッドの分析や,先渡取引と再生可能エネルギー普及策との関係についての分析を開始した.以上より,本項目では計画以上に進展しているものと考えている.(b)送電事業者と発電事業者それぞれの投資意思決定を考慮したモデルを構築し,送電投資のインセンティブについて分析を行うことで,送電と地域供給との比較に対する不確実性の影響について分析した.また,プロシューマーの再生可能エネルギーと蓄電システムへの投資意思決定のモデルを構築したことから,順調に進捗しているものと考えている.(c)当初の予定どおり日本の各地域において,それぞれの市場が存在するとき,各地域の送電容量も考慮した評価モデルを構築した.また,将来,構成比率の増加が目標である洋上風力発電の経済性評価も行い,概ね順調に進んでいる.(d)本年度の計画は,再生可能エネルギー普及時の電力系統への物理的な影響を明らかにすることであり,東北地方の高電力需要時,Doldrumsはほとんど発生しないことを示し,概ね順調に進んでいる.(e)本年度は,再生可能エネルギーや原子力に対する支払意思額を測定したことや,一般的なエネルギー・環境についての情報を提供することによる支払意思額への影響について評価し,計画どおりに進展しているものと考えている. 本年度は,上記項目のいくつかの進捗を国内学会や国際会議等で発表し,さらに,オペレーションズ・リサーチ系の国際会議で関連研究者と議論することができ,来年度の研究目標が明確になったものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の実施内容,進捗状況を踏まえ,次年度以降,各項目において下記のとおり推進方策を講じて研究を遂行することを考えている. (a)市場均衡モデル:本項目では,先渡取引と再生可能エネルギー普及策との関係について,RPSやFIP等の異なる施策についてのモデルを構築することで,それぞれの市場への影響について分析を行う. (b)投資意思決定モデル:不確実性下の投資意思決定モデルを用いて分散型電源である太陽光発電や,洋上風力発電の投資の評価を行い,それぞれの普及と市場や競合他社の意思決定,エネルギー政策の不確実性の影響について解明する.特に,本年度は,送電事業者と発電事業者それぞれの投資意思決定を考慮したモデルを構築し,送電投資のインセンティブについて分析を行うことで,送電と地域供給との比較に対する不確実性の影響について考察する. (c)統合評価モデル・電源構成モデル:既存の市場にプロシューマーが浸透するときの電源構成,送電費用について分析を行う.また,日本の各地域において,それぞれの市場が存在するとき,各地域の送電容量も考慮した評価モデルを構築する.本モデルを用いることにより各地域の市場の状況や電源構成について評価を行う. (d)電力系統影響分析:本項目では,(a)~(c)で得られる発電事業者や送電系統運用者の意思決定による経済的な影響と,そのときの電力系統への物理的な影響との関係を明らかにする.特に(a)~(c)のモデルを組み込むための需給・周波数シミュレーション解析モデルを構築する.また,再生可能エネルギーの出力変動対策と市場との相互作用について分析,評価を行う. (e)社会的受容性評価:エネルギーミックス政策に対する(a)~(d)までの分析結果と需要サイドにおける社会的需要性との関係を明らかにするため,社会調査・実験を行い,再生可能エネルギーや原子力の利用に関する支払意思額の推定を行う.
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