Project/Area Number |
23K26363
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Project/Area Number (Other) |
23H01669 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25030:Disaster prevention engineering-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 亜妃 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (90371723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 優 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), グループリーダー代理 (40314041)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥10,270,000 (Direct Cost: ¥7,900,000、Indirect Cost: ¥2,370,000)
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Keywords | 海域火山 / リアルタイムモニタ / 海底地震計 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、海域火山の活動状況を準リアルタイムでモニタするための海底地震観測システムを開発する。本研究のシステムは、海底での地震観測を1年から2年の間継続しながら、同時に火山性地震の活動の情報を海上の船舶で随時受信することで、海域火山活動の準リアルタイムモニタを実現する。このシステム実現のために、データ収録装置にイベントの検出とデータ解析機能を追加し、イベントリストを海底地震計の内部で作成する。作成したイベントリストは音響通信によって船舶に送信される。このように、通常は地震計の回収後に行う処理を海底で行うことで、準リアルタイムモニタを実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では準リアルタイムに離島火山の活動を把握するための観測システムを構築する。過去10年以上にわたる海底地震観測で実績のある機器のハードウェアをそのまま利用し、データ収録装置と音響通信装置のソフトウェアに機能追加することで、3年という短期間で確実に目的を実現するシステムの開発を目指している。 初年度となる本年度は、データ収録装置に搭載するファームウェアの開発に取り組み、完成させた。ファームウェアに追加した主な機能は次の3つとなる。(1)火山性地震の検出 (2)地震の特徴を記載したイベントリストの作成(発震時刻、最大振幅、卓越周波数、継続時間) (3)音響通信によって船上に送信される情報の編集 (1)では通常の地震観測で用いられているSTA/LTA比に基づく計算アルゴリズムを活用した。(2)は火山性地震は卓越周波数や継続時間によって様々なタイプに分類されるため、火山活動の推移を詳しく把握するためにはその特徴の情報も必要となる。特徴量の計算についてはデータ収録装置の性能を考慮し、現時点で最適な手法を採用した。最後に、音響通信によってイベントリストなどの情報を海上で得るため(3)が必要となる。海底と海上間でのデータ送受信には通常、高機能な音響モデムを使用するが、本観測システムでは、簡易的な通信に用いられている音響トランスポンダのソフトウェアに改良を加えた機能向上版を使用する。そのため、トランスポンダの性能に合わせたフォーマットに情報を編集する機能を持たせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度にデータ収録装置のファームウェアを完成させることができた。ファームウェアの機能の一つである、地震の特徴を記載したイベントリストの作成においては、データ収録装置の計算処理能力に限界があるため、特徴量の計算方法について慎重に検討を行った。特に卓越周波数については室内の計算機で実施可能なFFTを安易に使用することができない。既存の観測データを用いて複数の方法を試した結果、Matoza et al. (2014)などで提案されているFI値(Frequency Index)を参考にした、独自の計算方法を実施することにした。具体的には、地震イベント波形に高周波、低周波の2種類のフィルターをかけてその振幅比を元にイベントの種類を分類する方法である。フィルターの値については使用する地震センサーに合わせ、観測前に適宜設定可能となるよう設計した。ファームウェア機能のうち、火山性地震の検出に必要な時間長さや振幅比に関するパラメータ値についても、適宜設定可能な設計を行なっており、各種地震センサーに対応したフレキシブルな観測ができるような設計を心がけた。 音響通信装置の改造については別予算によりすでに完了している。 以上により、計画全体として順調に推移していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画では、離島火山活動モニタに向けた新しい観測システムを完成させるために、初年度に開発したファームウェアを搭載したデータ収録装置を用いて、室内および実海域での試験観測を実施し、システムの総合評価を行う。 ファームウェアで実施可能なイベント検出やイベントリストの作成においては、使用する地震センサーに応じて各種パラメータを自由に変更できるような設計を行った。そのため、二年目となる来年度の前半には、各種パラーメータの設定について、既存の観測データを用いた検討を行う。まずは、地震センサーとして我々が多数所有している固有周期360秒の広帯域地震計を使用する場合に最適なパラメータを検討する。 パラメータ値を決定し次第、ファームウェアを搭載したデータ収録装置を海底地震計システムに組み込み、室内において模擬観測を実施する。海底地震計システムを実際に動かしながら、ファームウェアの機能が正常に動作するのか確認する。音響通信での情報取得が実施可能かどうかの確認も行う。 年度の後半には、南海トラフ海域または相模湾初島沖海域において約一年間の試験観測を開始する。秋頃の航海で設置したのち、数ヶ月ごとに観測点直上にて船舶による情報取得実験を行う。 三年目には引き続き船舶による情報収集を実施する。秋頃までには海底地震計の回収を行う。回収した地震計から連続収録データを取り出し、音響通信で既に取得したイベントリストの情報と連続波形データとの整合性を確認する。必要に応じてパラメータの再検討を行い、実運用に備えるためシステムの総合評価を行う。
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