Backcasting Materials Design through Uncovering Mechanisms of Electronic and Thermal Conduction by Control Dislocation and Grain boundaries
Project/Area Number |
23K26365
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Project/Area Number (Other) |
23H01671 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26010:Metallic material properties-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉矢 真人 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00399601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70791581)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,720,000 (Direct Cost: ¥14,400,000、Indirect Cost: ¥4,320,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
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Keywords | 転位 / 粒界・界面 / 熱伝導 / 電子伝導 / 第一原理計算 / 格子欠陥 / 分子動力学法 / 粒界 / 界面 |
Outline of Research at the Start |
社会実装に求められる材料を念頭に、既存理論を越えた特性の選択的制御および同時発現を可能にする、偶発的発見によらない新学理の構築が求められている。 本研究では、既存の物性理論に従えば相反関係あるいは相関関係となる伝導特性などの材料機能特性を、それらの関係から逸脱するために必要な条件を見出すことを試みる。特に熱電変換にも大きく関係し一般には相関関係にある電子伝導と熱伝導に焦点を当て、計算材料科学的手法や機械学習を併用して、十分条件としての特性支配因子群を抽出すると共に、それらの結果特性群発現に求められる原子配置や化学結合等の必要条件を見出し、新しい学術の構築を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多彩な実材料への応用を念頭に、計算材料科学およびデータ科学的手法を併用して、通常の構造-特性相関と逆方向の、特性から材料への材料設計指針を得ることを目的としている。この際、物性理論に基づく従来理論で示されることが多い、特性の相関・相反関係に囚われない材料設計とすることが肝要である。このために初年度は、計算材料科学的手法を用いて3元系化合物の完全結晶を対象材料モデルとして、従来理論では説明できない熱伝導メカニズムを明らかにするとともに、それを生み出す材料因子を明らかにした。 フォノン熱伝導度の従来理論は、離散格子に対して非線形弾性論を用いて構築されたため、格子間原子や大傾角粒界など不可避的に適用できない材料の特徴が少なからずあるのみならず、音響モードが熱伝導度を支配するという仮定に基づいている。初年度に複数の3元系化合物の熱伝導度を解析した結果、いずれも低周波数(低エネルギー)の音響モードのみがフォノン熱伝導を支配しているのではなく、高周波数(高エネルギー)の光学モードもフォノン熱伝導に寄与していることを明らかにした。更にこのことは、対象とした3元系モデル化合物のみに当てはまるものではなく、最近接原子対のみで考えても、完全結晶中においても原子間結合の種類が2種類以上となり、結晶中の結合の不均質性が生じている為であることを定量的に明らかにした。この原子間結合の不均質性のために全ての原子が協調振動を行わず、元素の組合せにより異なる周波数で異なる空間位置で協調振動してフォノン状態を大きく変え、またその結果としてフォノン散乱の様態も異なり、フォノン熱伝導度が大きく変化することが明らかとなった。 このことから、格子欠陥が存在する実材料では熱伝導度支配メカニズムも従来理論と異なるものであることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、多彩な実材料への応用を念頭に、計算材料科学およびデータ科学的手法を併せ用い、物性理論における特性の相関・相反関係を越えた最適化の為の特性制御指針を得ることを目的としている。初年度には3元モデル化合物の完全結晶での熱伝導に関して、既存の熱伝導理論と比較検討を行った結果、従来理論と異なる傾向を電子・原子レベル計算手法により数値的に明らかにした。 熱伝導度の従来理論は、1950年代に一応の完成を見た離散格子に対して非線形弾性論を用いて構築された理論が現在も広く用いられている。これまでにこの理論が果たした役割は非常に大きいが、昨今この理論が適用できない事例が生じている。それは音響モードがフォノン熱伝導度を決定しているという仮定や完全結晶でも原子間結合が均質であるという仮定に基づいている。既存理論を越えた熱伝導制御を行うために、本研究では計算科学的手法を第一の手段として用いている。また、データ科学的材料探索の為には、熱伝導度などの特性を支配するデータを予め把握しておかなければデータ駆動材料設計は行えない。 初年度に複数の3元化合物の完全結晶に対し、第一原理格子動力学法計算や古典的原子間ポテンシャルを用いた摂動分子動力学法計算にてフォノン熱伝導度の支配因子解明を行った結果、通常の従来理論では予見できない熱伝導機構が明らかになった。具体的には、完全結晶ではフォノン熱伝導度は音響モードのみならず高周波数(高エネルギー)の光学モードも支配的であることが初めに挙げられる。このことは、原子間結合を最近接原子対のみに限定したとしても、3元系化合物以上では、完全結晶中ですら原子間結合の不均質性が生じるためである。 完全結晶にて既存理論で説明できないフォノン熱伝導機構が生じたことから、当然ながら実材料中での格子欠陥によるフォノン状態や熱伝導度の変化メカニズムも異なると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実用材料に多い3元系以上の化合物に対し、初年度に既存の熱伝導理論で説明できない熱伝導メカニズムを見出した。実材料にはどこにでも格子欠陥が存在し、熱伝導度を大きく変える。この格子欠陥が3元系以上の化合物の熱伝導度を変えるメカニズムは、これも従来理論では説明できないと考えられる。具体的には、格子欠陥のうち点欠陥、線欠陥、面欠陥がそれぞれどのようにフォノン散乱を引き起こすかは、既存理論により周波数依存性で予見されているが、結晶中の原子間結合が均質ではなく、また音響モードのみならず光学モードもフォノン熱伝導を支配する場合に、これが適用できない可能性が高い。そこで2年度目は、結晶粒界や転位などの格子欠陥を完全結晶に導入したモデルを用いた計算材料科学的手法により、熱伝導度などの伝導特性の支配因子を抽出し、機械学習を行う際の説明因子に定量的に加える。これを通じて、特性からの材料設計に繋げる。 より詳細には、計算科学的手法により得られた結果を解析する際に、従来理論が基づく逆格子空間での解析のみならず、実格子空間での解析も併用する。熱伝導度解析の場合、逆格子空間では格子動力学法、実格子空間では分子動力学法を主として用い、それらに基づく独自の解析法を用いる。逆格子空間および実格子空間での解析では具体的にそれぞれ、どのようなフォノンモードの状態変化あるいはフォノン散乱に繋がるのか、そしてどの領域でどのようにフォノン状態の変化が生じるのかを明らかに、それらの変化を引き起こす材料的な支配因子を明らかにする。 これらの計算科学的手法による計算及ぶ解析では、個別の熱伝導度などの伝導特性の支配因子の解明に留めず、本研究の目的であるバックキャスト的材料設計を念頭に置き、まずは材料因子から結果特性への順方向への機械学習に普遍的に用いることが出来るよう留意して本研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(26 results)