Project/Area Number |
23K26371
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Project/Area Number (Other) |
23H01678 (2023)
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund (2024) Single-year Grants (2023) |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
増本 博 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (50209459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸聖 公益財団法人電磁材料研究所, その他部局等, 研究員 (70205475)
青木 英恵 東北大学, 工学研究科, 講師 (60733920)
池田 賢司 公益財団法人電磁材料研究所, その他部局, 研究員 (40769569)
川上 祥広 公益財団法人電磁材料研究所, その他部局等, 研究員 (20527361)
王 誠 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 特任助教 (60983707)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2025: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,850,000 (Direct Cost: ¥4,500,000、Indirect Cost: ¥1,350,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
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Keywords | ナノ複相構造薄膜 / 誘電体-磁性金属 / トンネル磁気抵抗効果 / トンネル磁気誘電効果 / 応力誘起 |
Outline of Research at the Start |
磁性、誘電性、光学特性などの複数の機能を変換できる機能変換材料へのニーズは、センサーデバイスの小型化・省電力化への要求から一層高まっている。これまでにもマルチフェロイックス等に代表される電気磁気効果や磁気光学効果材料などは世界的に多くの研究がなされているが、これらの材料は、化合物や単結晶などを対象とした研究が主流である。本申請では、新しい機能変換材料として、外部応力(静的応力および動的応力)により磁性、誘電性、光学特性などが変化する応力誘起トンネル磁気機能変換材料の創製と原理究明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループは、誘電体セラミックス中に均一に磁性ナノ粒子(直径約数nm)が分散した薄膜である「磁性体-誘電体ナノ複相構造薄膜」を作製し、これまでの電気磁気材料とは原理的に全く異なった新しい機能変換材料である『トンネル磁気誘電(Tunneling Magneto-Dielectric:TMD)効果」(磁場を印加すると材料の誘電率が磁場の強さに応じて変化する現象。室温で動作する。本研究グループで命名)』を見いだした。本研究は、スパッタ法で作製したナノ複相構造薄膜に、応力(曲げや引張りなどの静的応力や、圧電体による動的振動応力)を加えながら、磁化、電気抵抗率、誘電率、透過率、屈折率、などを測定し、「磁性」「電気・誘電性」「光学特性」などが変化する新しい機能変換材料の実現を目指し、そのメカニズムを明らかにする。 今年度の成果として、複機能材料の特性向上や、新しい組合せでの複機能特性発現の成功や、膜の変形応力による新しい現象の発見などが挙げられる。①大きいTMD効果を示すCo-フッ化マグネシウム系ナノ複相構造薄膜の作製し、スパッタ成膜中の基板温度を制御することで、Co系ナノ複相構造薄膜で得られた中で最大のTMD効果(7.2%)を実現することに成功した。②Co-酸化タンタル系ナノ複相構造薄膜による初めてのTMD効果の発現とトンネル磁気―抵抗効果の向上を、熱処理条件の制御により実現した。③曲げ変形による特性評価装置を設計・製作し、応力変化特性を測定した。得られたナノ複相構造薄膜の変形による各種特性変動挙動が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、本研究グループが発見した新しい機能変換材料である『トンネル磁気誘電(TMD)効果』を有するナノ複相構造薄膜自体の特性の大幅な向上、TMD効果を発現する酸化物系元素の組合せの可能性を拡張させたこと、曲げ変形による特性評価装置の設計・試作・本作製・初期不良改善・測定精度の向上を実現することでナノ複相構造薄膜の特性評価を可能にしたこと、実際に応力による特性変化の現象を見出したことが主な成果である。 特筆すべき成果は3つある。1つ目は、大きいTMD効果を示すCo-(Mg-F) ナノ複相構造薄膜の作製し、スパッタ成膜中の基板温度を制御することで、Co系ナノグラニュラー薄膜で得られた中で最大のTMD効果(7.2%)を実現することに成功した。これによりこの成果を国内学会(日本セラミックス協会東北北海道支部大会)および国際会議(MRM2023)で発表し、上記の結果が認められ、どちらも優秀発表賞を受賞した。2つ目は、Co-Ta2O5系ナノ複相構造薄膜による初めてのTMD効果の発現とトンネル磁気―抵抗効果の特性の増大(1.6倍)を、きめ細やかな熱処理条件の制御により実現することに成功した。この成果が認められ、日本セラミックス協会秋期シンポジウム「奨励賞」を受賞した。3つ目は、ナノ複相構造薄膜の電気特性および誘電特性に及ぼす静的曲げ変形の影響を測定すべく、まず、電磁石中で薄膜に曲げ変形を加えることができるようにする、磁場中曲げ変形による特性評価装置を作製した。その装置を用いて薄膜を曲げながら電気特性・誘電特性の測定が可能となり、薄膜を圧縮方向に曲げると薄膜の電気抵抗が下がること、および誘電率の緩和周波数が高周波数側にシフトすることなどを新たに発見した。現在詳細をまとめている段階である。 以上、論文発表や学会発表賞等で評価されたことから、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度に引き続きこれまで進めてきた「セラミックスマトリックス中に磁性金属ナノ粒子が分散したナノ複相薄膜の作製」を行いながら、得られた膜の基礎物性から複機能物性を評価し、特性向上や新材料の探査をするとともに、静的応力および動的応力による特性変化挙動の発現を目指して詳細に研究をすすめるとともに、その現象の原理解明をおこなう予定である。 ① ナノ複相構造薄膜の作製 トンネル磁気-誘電(TMD)特性は、磁性ナノ金属粒子の数、サイズ、形状、分布、界面状態によって特性が大きく異なる。様々な磁性金属とセラミックスマトリクスを組み合わせたナノ複相構造薄膜をスパッタ法により作製し、複機能変換特性の向上を図る。 ②静的応力を薄膜に印加する素子試料・評価装置の作製と特性評価:各種基板などに成膜したナノ複相構造薄膜に歪みセンサを接着した静的応力を印加できる薄膜素子を作製し、静的応力を加えながら各種機能変換特性を測定し、静的応力との関係性を明らかにする。薄膜の微細構造(粒径、粒子間距離、分散状態、結晶性、界面構造)などにより大きく変化することから、応力印加前後の詳細な特性評価を行う。 ③動的応力を薄膜に印加する素子試料・評価装置の作製と特性評価:各種基板などに成膜したナノ複相構造薄膜に圧電体を接着した動的応力を印加できる薄膜素子を作製し、動的応力を加えながら各種機能変換特性を測定し、動的応力との関係性を明らかにする。薄膜の微細構造(粒径、粒子間距離、分散状態、結晶性、界面構造)などにより大きく変化することから、応力印加前後の詳細な特性評価を行う。 得られた結果を取りまとめて、学会発表、論文発表などを通じて成果発表を行う。
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